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21gを笑う天使

21gを笑う天使

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約束

♥

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2022年12月17日

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それは、ある曇った一日だった。

朝の通勤ラッシュ時、 電車を待つ人々の群れ。

鳴り響くアナウンス、 肌に触れる冷たい風。

何気ない風景、 しかしアタシにとっては 特別な日だった。

それは長い入院生活から 一時的な学校生活の復帰が 許可されたのだ。

それなのに、“あんなこと”に 巻き込まれるなんて...

さみぃ...

早く電車来いよ...

...ん?あれは...

アタシの目に飛び込んできたのは 黄色の点字ブロックを 超えて立っていた少女の姿だった。

おい...何やって...

周囲の人々は、その少女の姿が 見えていないのか携帯に 目を向けていた。

まさか...

と、その時 快速電車を知らせる アナウンスが鳴った。

それから間もなく 快速電車の姿が見えた。

この...ッ‼︎

アタシは脇目も振らず 少女へ向かって走り 彼女の腕を掴んで ホーム側に引き寄せた。

馬鹿かお前ッ‼︎何やってんだッ‼︎

...えっ?

それがアタシと遊の出会いだった。

はぁ...はぁ...

何で...何で私を助けたの?

トラウマになりたくなかったから?

周りから称賛されたかったから?

ちげーよ...

じゃあ何でッ‼︎あともう少しで死ねたのにッ‼︎

ふざけんなよッ‼︎お前のせいだッ‼︎お前のせいだお前のせいだお前のせいだぁぁッッ‼︎‼︎

落ち着けよッ‼︎アタシはただ...

死ぬなら別の場所で死ねって言ってんだよッ‼︎

...は?

何...言ってんの...?

アタシは貴重な学校生活を邪魔されたくねーんだよ‼︎

なのにお前が人身事故を起こそうとしたから、アタシは止めたんだ‼︎

アタシはなぁ...長い間病院で入院していて、ようやく今日から学校に通えるようになったんだよ‼︎

だから...1分1秒も無駄にできねーんだ...

だからお前はアタシに迷惑かけんな

死にたいならアタシに迷惑がかからないところで死ね

じゃあな

思っていた感情を吐き出し その場を去ろうとした時 その少女はアタシを呼び止めた。

あ?何だよ

わ、私のこと...可哀想と思って止めたんじゃないの...?

...はあ?何で初対面の死にそうなヤツに可哀想って思わなきゃいけねーんだよ

じゃあさ...死ぬのは悪いことだと思う?

そんなん考えたことねーよ、本人次第だろ

そ、そっか...

もういいか?

う、うん...

じゃあ気を付けて帰れよ

そしてアタシはその場を 後にしようとした。

あ、や...やっぱり待って‼︎

と再び呼び止められた。

あ?何だよ

あ、あのさ...初対面で言うのは間違ってるかもしれないけどさ...

と、友達にならない...?

...は?友達?

悪りぃけどアタシは急いでるかr

じゃあ私は死ぬ‼︎

はあ?

選んで‼︎私と友達になるかどうか‼︎

...だるっ

(...まあ、目の前で死なれてもアタシの登校が遅くなるだけだしな)

はい、友達な分かった分かった

それじゃ

まだ待って‼︎

何だよ‼︎

私と...“約束”してくれない?ずっと友達でいるって...

何言ってんだお前

“約束”が守られてる間、私は絶対に死なない...どう?

付き合いきれねーな

...いいの?遺書にあなたのことについて書くよ?

なっ...

ね?“約束”してくれる?

...分かったよ

あ、でもそうすると私にメリットがない‼︎

じゃあ、“私の言うこと何でも聞いて”よ‼︎

...は?

あ、そんな酷いことは言わないよ‼︎

例えば○○に行こう‼︎とか○○しよう‼︎とか友達としてできるようなことだけだから‼︎

それでどう?

...アタシのメリットは?

え?分からないの?

“約束”が守られてる限り、私が死なないことと遺書にあなたのことが書かれないことだよ?

私のメリットが1つの代わりに、2つもメリットがあるじゃん

(急に腹立つ態度になったな)

で、どうかな?

...分かったよ

決まりだね‼︎

そういえば、私の名前は風祭 遊‼︎あなたは?

蛇ヶ崎 茜...

制服同じ...だよね?私は1年A組なんだ‼︎

げっ...

もしかして...あなたもA組だったり?

ああ...残念ながらな...

じゃあ転入生...扱いなのかな?

何はともあれ、これからよろしくね‼︎

こうした奇妙な“約束”が 遊との出会いだった。

瑠流

そんなことが...

瑠流

じゃあ2人が友達なのは“約束”した上でのものなの?

まあ、そういうことだな

瑠流

でも2人は普段、仲良さそうに話したりしてるじゃん‼︎...それも嘘なの?

ああ、そうだな

瑠流

そんな...

アタシは自分の学校生活を、遊は友達がいるっていう自分を守るためにあの日“約束”をしたんだ

瑠流

じゃあさ...さっき話してたプレゼントとかいうのは何なの?

それも聞いてたのか

瑠流

いや、そのフレーズが聞こえた程度だけど...

なら、それもついでに話すか

プレゼントっていうのは...

“約束”が最後まで守れたら、お互いに贈り物をしようっていう提案だ

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