嘘つき

あぁ、この匂い

あの顔

あの声

思い出す

嘘つき

あぁ、そうだ

本当のスタートは

あの夏だった

好き同士

休みに会うどころか

付き合ってすらなかった

でも

曖昧な関係でも

見つめ合って笑ったり

こっそり2人きりになったり

純粋に、心から楽しかった

なのに

なのに

貴方が嫌いだって言ってた人

皆が可愛いって言う人

チヤホヤされる人

わからなかった

好きになったのは私の方が先なのに

なんでだろう

私、なんかしたっけ

どっかで間違えたっけ

…あ

思っても無かった事

汚い言葉が口癖になってたから

つい、意地っ張りで言ってしまった

嘘を平気で言う

私の悪い癖

気づいてないだけで

きっと、踏み間違えてたんだな

それからは何も無かった

前より何か言われることも無くなって

本当に普通

のはずだった

友達と遊んでいる時

たまたま遊び場所に居て

皆見慣れてたから

見てはいけない物を検索しては笑って

みんなで盛り上がって

盛り上がって…

そこから

また事件が始まる

家に行く意味はわかってた

でも、優しい性格だから

困るようなことはしないって

信じてた

だから

自分の家で会えるし、2人で一緒に居れる

2人で居れるから

家の扉を開けた

初めての浮気だった

近くで顔が見れて声が聞けて

ずっと一緒に居れる

これ以上の幸せはなかった

いけないことと分かっても

この泥沼からは

もう抜け出せなかった

本気の恋

なのは、私だけだった

思えばバカだった

本気だったら

彼女と別れて堂々とするはず

好きだったら

簡単に脱いでそういう事したり

自分から引き離すようなこと、言うわけが無い

今更気づいてしまった

本気だったのは私だけだった

周りが見えなくなって、1人で舞い上がって…

あぁ

私の悪い癖

あぁ

貴方の嘘つき

そこからはとことん駄目で

また嫌われて

私が遊んでいた友達と遊んで

案の定私をハブった

分かってたから

わざと予定を入れて

仲のいい女子からの誘いも

わざと毎日毎日断った

と、また事件が起こる

いつも遊びに誘ってきた仲のいい女の子

その子とあの人が、浮気していたらしい

それも、私と浮気した直後

女の子の方はあの人の事好きじゃなかったのに

勘違いして付き合わされ、キスされたらしい

そして、すぐに終わり

あの人はまた違う女の子に目をつけは、やめて

と繰り返して

付き合ってる正真正銘の彼女にちゃんと想いが戻ったとか

あーあ、本当に彼女が可哀想

こんなクズなことを知らないなんて

こんなクズのことを

愛してるなんて

みんな、嘘つきだ

あの人は好きだって嘘ついて

仲のいい女の子は私の悪口言ってないって嘘ついて

私はもうあの人の事嫌いだって嘘ついて

いつか、貴方言ったよね

好きな人を偽る意味がわからないって

…私にはわかるよ

だって、そういうの恥ずかしいし

そうしてなきゃ私だってさ

貴方にもっと嫌われてたと思うもん

…ねぇ

覚えてる？

私の親が離婚してるって言った時の話

パパの事私は大好きで

でも離れちゃって、あんま会えなくてって言ったら

俺も同じだから分かるよって共感してくれて

分かってくれて、察してくれて

お父さんの話題になったら話変えてあげるとか

すっごい優しくしてくれてさ

家に来た時も

辛かったよね、泣いていいよって

背中トントンってしながら

優しく抱きしめてくれて

私のちょっとした反応だけで

家で二人でいた時ずっとドキドキしてた事とか

本当は雷怖いとか

女の子の日は無理して遊んでるとか

ずっと辛くて泣きたかったとか

誰一人も見抜けなかった嘘を

貴方1人だけ、全部見透かしちゃったんだよ

ねぇ

見透かせちゃうんだからさ

もう、分かってるよね

これからも、きっとずっと変わらない

この私の気持ち─