灰谷蘭視点
蘭
蘭
襲いかかるつもりだった いつも通り、少しイラついてたし けど、見た瞬間、背中が "冷たくなった"
殴ったつもりの拳は空を切り、 次の瞬間、 地面を見てた あんな簡単に、 完璧に、 叩き伏せられたのは初めてだ
蘭
笑ってたけど、あれは "笑ってる顔"じゃねぇよ
全部見透かしてるくせに 何も期待していない目だった
鶴蝶視点
本気でぶつかって、初めて知った。 ....強いってこういうことか
拳をぶつけた 本気で、全部込めた それでも、届かなかった
いや、違う。 "避けなかった" あえて、受けて、止められた "差"ってこういうことかと思った 手が震えてるのは痛みじゃない 悔しさだ
鶴蝶
鶴蝶
どれだけ努力しても、 届かない天井がある でも、それでも
鶴蝶
鶴蝶
鶴蝶
鶴蝶
鶴蝶
鶴蝶
ココ視点
金じゃ買えないもんって、確かにある。 ....クソ
ナイフが折れたの、初めてだった 材質も、 角度も、 完璧だったのに、
目が合った瞬間、 背筋が凍った あの女、 俺たちの全員を "データ"を処理してる 無駄なく、 正確に
ココ
ココ
ココ
ゾッとした けど、惹かれた
ココ
ココ
ココ
ココ
ココ
ココ
ココ
モッチー視点
「俺は壊すだけ。そう思ってた。 ....でも、アレは "世界ごと壊す"」
最初、舐めてた 都市伝説だの、 教科書のバケモンだの そんなの俺には関係ないって でも、 拳がぶつかった時、分かった
モッチー
衝撃じゃない "質" が違った 生きてきた数も、 重みも、 目的も。
モッチー
モッチー
モッチー
後悔してるわけじゃねぇ けど、 認めざるを得ねぇよ
"あいつは世界に選ばれた化け物だ"
あの夜以降、 天竺は表の抗争から手を引いた それぞれの幹部が 何かに "ぶち当たった"ように
敗北感ではない 喪失感でもない "理解"だった
世界には、 自分たちでは決して掴めない存在がいるという 痛みを伴う "理解"
そしてその名は 教科書のページでこう記される 「天竺、血の嵐との接触により沈黙。 敗北ではなく、 "変化"と記録される」