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橘靖竜
さつまいも

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数年前――。
早くに両親を失ってしまった姉弟がいた。
働きに出ていたのは長女だけで、次女と長男は姉に養ってもらう形。
とにかく妹と弟を食わせて行くために。
不自由なことがないように。
長女は文字通り身を切り売りして、なんとか生計を立てていた。
そうしなければ、生活費に加えて妹や弟の学費までは賄えなかったのである。
この日は、妹が大学を卒業し、長女の肩の荷が少しだけ降りた日だった。
ユキ
ユキ
玄関から飛び込んで来るなり、長女と長男のことを呼ぶ次女。
マサキ
高校から帰って来た弟が出迎える声で、長女は目を覚ました。
夜の仕事に備えて、ごくごく短い睡眠を摂っていた時のことだったから。
ユキ
ユキ
自分のことが呼ばれている。
長女はベッドから出ると、下着姿のまま玄関に向かった。
マサキ
ユエ
ユエ
ユキ
ユキ
ユエ
ユエ
マサキ
ユエ
ユエ
ユキ
ユキ
ユキ
ユキ
ユエ
ユエ
ユキ
ユキ
ユエ
ユエ
ユキ
ユキ
ユキ
ユエ
ユエ
マサキ
マサキ
ユキ
マサキ
マサキ
ユキ
ユキ
ユキ
マサキ
ユキ
マサキ
マサキ
ユキ
ユキ
ユエ
ユエ
ユキ
ユエ
ユエ
ユエ
マサキ
マサキ
ユキ
翌年。
ユエ
ユエは久方ぶりに、妹と食事に来ていた。
ユキ
ユエ
ユエ
ユエ
ユエ
ユキ
ユキ
ユキ
ユエ
ユエ
ユキ
ユキ
ユエ
ユエ
ユエ
ユエ
ユエ
テーブルの上には、ユエがオーダーしたサラダと、2人分の飲み物だけ。
ユキ
コーヒーカップを口に運ぼうとしたユエは、その手を止める。
ユエ
ユキ
ユキ
ユキ
ユキ
ユエ
ユエ
ユエ
ふと、その時のこと。
ユキがスマートフォンを取り出す。
ユキ
断りを入れて電話に出るユキ。
その手が少し震えていることに、ユエは首を傾げる。
ユキは電話をするために、どこかへ行ってしまった。
この時のことを、いまだにユエは後悔している。
なぜ、気づいてやれなかったのか。
妹はずっと、SOSのサインを出し続けていたというのに。
某年某月某日、某新聞の小さな記事。
――屋上から飛び降り図ったか。女性社員死亡。
某日未明、大手化粧品メーカー宰省堂の本社ビル屋上から、女性社員が飛び降りたとの通報があった。
消防、警察が現場に駆けつけ、意識不明だった女性を病院へと搬送したが、死亡が確認された。
宰省堂の担当者の話だと、女性社員は仕事のことで悩みを抱えていたとのことで、警察は女性社員が自ら身を投げた可能性も視野に入れ、捜査を続けている。