藤浪 りん
(…ここは、どこだろう)
藤浪 りん
(そっか私、塾帰りに誘拐されちゃったんだ)
藤浪 りん
(なんでこんなに冷静なんだろ、私…)
藤浪 りん
(…もう人生を諦めてるから、かな?)
誘拐犯
もしもし?あぁ、母親に連絡はついた
誘拐犯
これから身代金を要求する
誘拐犯
鈴木は警察にでも声明文を送っといてくれ
藤浪 りん
(…無駄だよ、誘拐犯さん)
藤浪 りん
(落ちこぼれの私の事なんてお母さんは心配しない)
誘拐犯
ちっ!どういうことだよ!
誘拐犯
「別にどうなったって構いません 」
誘拐犯
「出来の悪い子は私の子じゃありませんから 」
誘拐犯
…とか、本当に母親なのか?
藤浪 りん
(やっぱ、思った通り)
誘拐犯
まあコイツには絶望を味わせるけどな
誘拐犯
じゃあな誰からも必要とされない可哀想な奴
その時、2つの光が射し込んできた。
…あれは、車のヘッドライト?
誘拐犯
ようやく鈴木が到着したか
真波先生
藤浪はいるか!返事をしろ!
藤浪 りん
(真波先生!?どうして!)
誘拐犯
お前、誰なんだよ
真波先生
俺の事なんてどうだっていいだろ…
真波先生
あっ、いた!帰るぞ、藤浪。
先生は私を縛り付けていた縄とガムテープ、手錠を外した。
藤浪 りん
…はあ、はぁ。なんでここが分かったんですか?
真波先生
母親から連絡あったんだよ
真波先生
誘拐犯には興味のない母親のフリしといたから
真波先生
助けに行って欲しいって
真波先生
間に合ってよかった
誘拐犯
おい、よく余裕ぶっこいてられるな
誘拐犯
俺が凶器持ってるとも知らないで
真波先生
残念だがお前には負けないよ、俺は。
真波先生
護身術も古武道もやってるしお前よりは強い
真波先生
ふっ、よし今のうちに逃げるぞ藤浪!
真波先生
なあ、藤浪
藤浪 りん
なんですか、先生?
真波先生
お前は要らない子じゃないんだよ
真波先生
必要とされない人なんてこの世に居ないんだ
藤浪 りん
でも、母親からしてみれば私なんて不必要な子供でしかない
真波先生
…俺はお前が必要だし、大切な存在だけどな
そう言った先生の顔は照れているようで、こっちまで恥ずかしくなった。
けど、先生の言葉は私にとって「希望の光」になった事は間違いない。