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元社畜の俺が魔王退治?!

第8話 - 選ばれなかった人間編

227

2024年08月23日

#冬類

#RPG

#司類

あかまる🍓🐾໊

冬弥

ｶﾀｶﾀｶﾀｶﾀ…

冬弥

(あれ…手が勝手に動く…というか、ここは…？)

冬弥

(目の前にはパソコン…それに、この机は…)

上司

青柳くん。

冬弥

(！？)

上司

進んでるじゃないか。やはり君は有能だね。

上司

じゃあこれ。すまないが、私は用事があってな。

冬弥

…！

冬弥

(声が出ない…！断りたいのに、断わりたいのに…)

上司

青柳くん、頼むよ。

冬弥

…っ

冬弥

ﾊｯ！

冬弥

ﾊｧｯ、ﾊｧｯ、ゆ、夢…？

司

冬弥！大丈夫か？酷く魘されていたが…

類

汗すごいよ。大丈夫？

冬弥

あ……

冬弥

よ、良かった……っ

司

？？

類

う〜ん…状況的には何も良くないよ？

冬弥

え？

司

周りを見てみろ。

冬弥

……ここはどこだ？！

冬弥

さ、さっきまで買い物をしていたはずじゃ…まさか、あれも夢？？

司

いいや、それは現実だぞ。

類

覚えてないかい？ほら、シャグランのダンジョンに行く途中…

〜買い物が終わった後〜

冬弥

またラビランスのダンジョンに行き着いたりしないだろうか…？

司

いや、あれは低確率だから、そんな頻繁には無いと思うが…

類

あ、じゃあちょっとだけ道変えてみるかい？そっちの方が近いし。

類

それに、そっちの道には珍しい材料が沢山生えてるんだ♡

司

お前そっちが本命だろう

冬弥

類さんがそう言うなら、違う道で行くか。

▼ラールの森▼

冬弥

わ…薄暗くて何だか不気味だな。

類

この森には危険な植物も沢山あるから、無闇に触れないように気を付けてね。

冬弥

ああ、分かった。

司

…

類

わ〜！見て見て！八足花があるよ！

冬弥

は、はっそくばな？

類

八本の足が生えた花の事さ。ほら、これだよ。

冬弥

う、うわ…

司

な、なぁ。早く先に進みたいんだが。

冬弥

ああ、そうだな。類さん、そろそろ…

ブーン

大きな羽音を立てて、目の前に何かが飛んできた。

司

ぎ、ギャアアアアアア？！！？！？！

冬弥

！？

突然の悲鳴に驚き、思わず尻もちをついた

冬弥

わっ…！！？

類

！！二人とも、大丈夫かい？！

司

る、るるる、類！！！類！！

類

はいはい。ごめんね、忘れてたよ。

冬弥

ど、どうしたんだ？大丈夫なのか？

類

ああ、司くんは虫が大の苦手なんだ。すっかり忘れていたよ。

司

うぅ……まさか森だとは思わんかった…っ！！

類

よしよし、ごめんね。もう虫はいないよ。

冬弥

そうだったのか…

類

冬弥くんも大丈夫かい？立てる？

冬弥

ああ、大丈…

立とうと手に力を入れた時、プチッと何かが弾けたような音がした。

冬弥

？！

類

！！

ばふっ

冬弥

ああ…そうだ。たしか、辺りが何かに包まれて…

類

あれは"転送花"って言う植物なんだ。

類

転送花は花の状態だと無害で綺麗なだけなんだけど、その実を潰すとどこかにランダムで転送されてしまうんだよね。

冬弥

そ、そうなのか…厄介だな、

司

すまん、冬弥。俺が驚かせてしまったばっかりに…

冬弥

いや、そもそも周りを見ていなかった俺のせいだ。すまない。

類

まぁ、あの道を提案したのは僕だからねぇ…ごめんね、二人とも。

…

司

…こうしていてもどうにもならんな。まず、どうやって戻るかを考えんとな。

冬弥

あ、類さんなら魔法でワープとか…出来たりしないのか？

類

う〜ん、出来るんだけど…

類

ここがどこなのか分からない以上、転送魔法を使ってもランダム仕様になってしまうんだ。

類

ここがどこなのか分かれば、自由に移動出来るんだけど…

冬弥

なるほど…

司

…暑いな。冬弥、水分を摂った方がいい。

冬弥

あ、ありがとう。

類

よりによって砂漠だもんねぇ〜…

司

むぅ…マップも機能してくれないからな…

冬弥

え、そうなのか？

司

ああ。持ち主が把握出来てなかったら機能しないんだ。

類

この仕様面倒だよねぇ

冬弥

(あれ？でも、俺はこの世界の地名や地形なんて把握してないのに機能していた気が…)

▶マップを開く

▽現在地シュドの砂漠

冬弥

ん？

冬弥

あの…現在地出たが…

司

何！？！？

類

え、嘘？

冬弥

"シュドの砂漠"らしい。

類

い、色々言いたいことはあるけど…後にしようか。

司

そうだな。それより、戻ることが先決だ。

類

じゃあ…一旦、シュマンの道まで戻るよ。

類

"転送魔法(トランスファー)"

▼シュマンの道▼

冬弥

ありがとう、類さん。

類

いえいえ。

司

それより冬弥、お前のそのマップは…？

冬弥

えっと…俺も分からない。ここに来た時からポケットに入っていたから…

司

ふむ…その時点で俺たちと違うな。

類

だね。僕らは役所まで貰いに行かなきゃいけないから。

冬弥

そうなのか…

冬弥

これって、俺が違う世界から来たって言うのと関係あるのだろうか？

類

まぁ、そうかもねぇ。君がどこからやって来たのかは知らないけれど、この世界の住人では無いのなら…

司

ち、ちょっっっと待て！！！

類

どうしたんだい？

司

いやいや、さらっと流したが「違う世界から来た」って何だ？！

冬弥

あ…言ってなかったか。

冬弥

多分、俺は異世界から来たんだ。

司

い、異世界…？？！

司

…じゃあ、その腰の剣も異世界から来た人間だから引き抜けたというのか？

冬弥

え？いや、これは貰い物だ。

司

は？貰い物？

冬弥

ああ。ここに来て目覚めた時、目の前にいた男の人に渡されたんだ。

冬弥

その人は名前すら分からないんだが…

司

…そんな知らない人間からの貰い物の剣で勇者になったというのか？

類

司くん。

類

それはそれ、これはこれだよ。貰い物だっていいじゃないか。

司

し、しかし…

類

君の気持ちは分かるよ。けど、それを本人にぶつけるのは、相手を傷付けてしまう。

司

……そうだな。すまん。

司

少し頭を冷やしてくる。

冬弥

えっ？

司

すぐ戻る。…すまない。

冬弥

あ…

冬弥

俺は…何か気の触ることを言ってしまったんだろうか、

類

う〜ん…君は悪くないよ。

冬弥

けど…

冬弥

司さんは…何か怒っていた。この剣が貰い物だからか？

類

まぁ、そうだねぇ…

類

貰った剣で勇者になるのは、別に悪いことじゃない。あれはただの司くんの私情だよ。

冬弥

私情…

類

…勝手に話すのも気が引けるけど、司くんはきっと自分からは言わないからね。

類

ちょっとだけ昔話をしようか。

冬弥

い、いいのか？勝手に聞いても…

類

君には聞く権利がある。仲間だからね。

類

あれは…そうだね、僕が司くんと出会った時からになるかな。

10年前

▽リュミエールの街▽

司(16)

類、見てくれ！やっと片手で振れるようになったんだ！

類

おや、凄いじゃないか。

司くんと出会った時の話は特に関係無いから省くね。

司くんは勇者に対して強い憧れを抱いていた。

幼い頃、勇者に助けてもらったらしい。

司(16)

これで1000本振れるようになるまで素振りする！

類

ふぅん…

類

ねぇ、何でそこまで頑張るんだい？

司(16)

…夢なんだ。

司(16)

絶対、あの人みたいなカッコイイ勇者になりたいから…もっと頑張らないといけないんだ！

類

へぇ…立派だねぇ

この世界で、勇者になれる人間は限られていた。

大体1万人に1人くらいの割合だ。

勇者になるには、あの剣を岩から引き抜かないといけない。

そしてその人間は、生まれた時から既に決まっている。

つまり、元から選ばれていない人間はどれだけ努力しても無駄だった。

それでも、彼は自分を信じて日々努力していた。

司(16)

96、97、98、99、100、101…

類

…ねぇ、そろそろ休憩したらどうだい？

司(16)

あと10本だから！

類

はいはい、お水置いとくね。

司(16)

ありがとう！

勇者の剣を引き抜くのに挑戦できる年齢は18歳からだった。

18歳になれば、そこから何度でも挑戦できる。

司(16)

類！もし、オレが勇者になったら、一緒に魔王を倒しに行ってくれるか？

類

魔王…

類

…いいよ。僕に見合うくらい強くなったらね。

司(16)

！！！

司(16)

分かった！！約束だぞ！

類

ああ、約束。

司くんなら、いい勇者になるだろうとは思った。

生まれた時から運命は決まっていたとしても、司くんならそれも覆してしまうんじゃないか…なんて、馬鹿なことを思ったりもしたな。

それでも、僕は純粋に応援していたんだよ。

けど、司くんは岩から剣を引き抜くことは出来なかった。

司くんはそれから、何度も何度も挑戦した。

けれど…1年経っても、その剣を引き抜くことは出来なかった。

司(19)

…ダメだ、

類

もう少しのように感じるけどねぇ

類

まぁ、今日は帰ろうよ。また来ればいいさ。

司(19)

…

司(19)

なぁ…これ以上続けて、意味はあるのだろうか？

類

ん？

司(19)

勇者になれる人間は、生まれた時から決まってるんだろう？努力してなれるものじゃない。

司(19)

それなのに…続けることに意味はあるのだろうか？

類

さぁ…意味があるかないかは、君が決めることさ。

類

続けるも続けないも君次第だよ。

司(19)

…類は、

司(19)

オレが勇者になれなくても…嫌わないでくれるか？

類

え？嫌う？

類

何言ってるんだい？勇者になれてもなれなくても、君を嫌いにはならないよ。

司(19)

なら、勇者じゃなくても、お前に見合うくらい強くなったら、一緒に魔王を倒しに行ってくれるか？

類

ああ、もちろん。僕に見合う強さなら申し分ないよ。

司(19)

そうか……

司(19)

オレは戦士になる。

司(19)

父さんも戦士だし…それに、

司(19)

オレは…選ばれた人間じゃなかったから、

類

…そうかい。

類

君がどの道に進んでも、僕は応援するよ。

類

ほら、とりあえず帰ろうか。

司(19)

…ああ。

それからしばらくして、司くんが戦士になるための修行の旅に出ると言った。

類

もう行くのかい？

司(19)

ああ。次に会うのは、オレが類に見合う男になった時だな。

類

そうかい。楽しみにしているよ。

類

頑張ってね。

司(19)

ああ！必ず強い戦士になって迎えに行くからな！

類

それから、僕もぶらぶら旅して…まぁ、色々あって今に至るのさ。

冬弥

そ、そんな事が…

冬弥

(司さんが怒るのも当然だ。俺に、この剣を持つ…ましてや、勇者になんてなる資格がない、)

冬弥

俺は…何の努力もしてない、

類

そんな事ないさ。

類

司くんは優しいし、馬鹿じゃない。戻って来たら元通りだろうさ。

冬弥

だ、だけど…司さんの気持ちを考えたら、俺は勇者になるべき人間ではないと…思う、

冬弥

というか、そもそも二人と一緒にいていい存在ではないだろう。

冬弥

それなら…

類

やめるのかい？

冬弥

…この剣は、他にもっと持つべき人がいる。

冬弥

何の努力もしていない俺なんかが、ここにいていいとは思えない…

類

ふ〜ん…

類

らしいけど？

司

類…冬弥を一発殴る許可をくれ。その後オレも殴られる。

冬弥

え？！つ、司さん？！

類

うん、許可するよ。

冬弥

類さん！？

司

よし、歯食いしばれ

冬弥

わ、分かった！

司

いや分かるなよ。

冬弥

え？？

類

ふふっ、本当に殴るわけないでしょ。

冬弥

で、でも…司さんには俺を殴る権利はあると思う。

司

権利って…はぁ、

司

いいか？冬弥。オレは…ハッキリ言って悔しい。

司

俺は勇者にはなれなかった。選ばれた人間じゃなかった。

冬弥

…お、俺も、別に選ばれた人間なんかじゃない、

冬弥

ただ、貰い物の剣を…

司

違うな。

司

選ばれなかった人間は、勇者の剣を使いこなす事は出来ないんだ。

司

それに、軽々しく振ることすら出来ない。

司

冬弥、ちょっとその剣振ってみろ。

冬弥

えっと…こうか？

相変わらず剣は軽く、まるで枝のようだ。

司

…で、ちょっとその剣貸してみろ。

冬弥

あ、ああ。

司さんは剣を持った瞬間、まるで重さに耐えられなかったかのように体を崩し、剣は地面に突き刺さった。

司

…ははっ、分かったか？

冬弥

え…

司

一応類もやってみろ。

類

え〜？僕？

類さんが地面に突き刺さった剣を掴み、引っ張る動作をした。

類

んー…無理。

類

冬弥くん引き抜いてよ。

冬弥

わ、分かった。

地面に突き刺さった剣を引き抜いたが、相変わらず枝のように軽い。

司

…これで分かるだろう？お前は選ばれた人間なんだ。

冬弥

で、でも…

司

例え貰い物でも、選ばれた人間であることには変わりない。

司

…さっきはあんな態度を取ってしまって、本当にすまなかった。

冬弥

あ、謝らないでくれ！

冬弥

俺こそ…すまない。司さんの気持ちを分かってなかった。

類

まぁ、言ってなかったし、そもそも出会って日が浅いからねぇ。

司

それもそうだな。オレも、イマイチ冬弥について理解出来ていない部分はあるし。

冬弥

俺もだ。二人についてもっと知りたい。

類

ふふ、そうだね。僕ももっと知りたいかな。

司

ふむ、お互いをもっと知るには…そうだな、やはり…

▼食堂▼

ガヤガヤ

司

冬弥、酒は強い方か？

冬弥

そうだな…多分、強い方だと思う。

冬弥

(会社から帰った後はよくヤケ酒してたから…)

類

おお〜、いいねぇ。司くん弱いからなぁ

司

いや、普通だろ！お前が強すぎるだけだ！

冬弥

それにしても、何で飲みに？

司

1回腹割って話すのがいいと思ってな。

類

アルコール入ってた方が素面より話しやすいもんね。

冬弥

なるほど…

司

おーい、寧々！とりあえずジョッキ3本頼む！

寧々

はーい、了解。すぐ持ってくるね。

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元社畜の俺が魔王退治?!

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誰が一番お酒弱いんだろ？

次回楽しみ！司くんお酒弱いんかぁ～可愛いやんけ～！wktk

飲み会編が楽しみすぎる

あかまる🍓🐾໊

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