テラーノベル
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気づいたのは、ほんの些細な変化だった。
和人
そう声をかけたとき、彼は少しだけ―― ほんの少しだけ、顔をそらした。
雅哉
和人
気のせいかと思った。
でも、次の日も。 そのまた次の日も。
彼は目を合わせてくれなかった。 まるで、壁を作られたような感覚だった。
あの日から、急に――だった。
でも、心当たりはなかった。 俺たち、うまくいってたはずなのに。
笑い合った放課後の図書室、 缶ジュースを分け合った帰り道、 何気ない会話が、
どれも宝物みたいで。
和人
やがて、それは確信に変わった。
雅哉は、俺を避けてる
そして思い出した。 あの、数日前の昼休みのこと。
何人かのクラスメイトに囲まれたまま、 何も言えなかった自分を。
クラスメイト2
クラスメイト2
――思い出すたび、胸が痛んだ。
あの時、俺は何も言えなかった。
ただ、黙って聞いていただけ。 止める勇気も、否定する言葉も出せなかった。
和人
雅哉の目に、 俺は何も言えない卑怯者に映ったんだ。
和人
声に出しても届かない。
でも、言いたかった。何度も、何度も。
自分があのとき、 ちゃんと「違うよ」って言っていれば、 今も笑い合えていたかもしれないのに。
それでも、俺は信じたい。 まだ、遅くないって。
もう一度、向き合える日が来るって。
たとえ時間がかかっても、 たとえ雅哉に何度拒まれても、
俺はあの子の手を――もう一度、繋ぎたい。
その決意だけを胸に、 俺は明日も声をかけようと思った。
和人
雅哉
返事はなくても、目を逸らされても、 俺は何度でも、呼ぶよ。
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