私、サノ アヤカの席は、廊下側の一番前。
前の方の席って、先生の目につくから、さされやすいんだよね。
だから、キライだったんだけど……。
今はこの席が大好き!
その理由は……隣の席のアイツ。
今は、国語の授業中。
だけど、先生の話なんて耳に入ってない私。
ねぇ、ミッチ。私、隣の席のアイツを好きになったみたい♡
な〜んてウキウキ、手紙書いて。
後ろの席のミッチにまわそうとした時……。
先生
いっけない。
先生に見つかっちゃった!
先生が、こっちへ近づいてくる。どうしよう〜!
その瞬間、隣でアイツが立ちあがった!
キムラ トモキ
キムラ トモキ
キムラ トモキ
キムラ トモキ
キムラ トモキ
キムラ トモキ
って。
その言い方がなんともいえずおかしくて、
クラス中が大爆笑。
先生もつられて笑いながら
先生
って。
一言で、すんじゃった。
助かったぁ!
私をかばってくれたのは、キムラ トモキ。
キムトモって呼ばれているコイツのことが、
最近気になってしょうがないんだ。
後から、
サノ アヤカ
って言ったら、
キムラ トモキ
キムラ トモキ
キムラ トモキ
キムラ トモキ
キムラ トモキ
だって。
実は私、こう見えても料理は得意中の得意。
でも、好きな男の子にお弁当作ってあげるなんて、ドキドキ。
次の日。
お弁当箱を開けたキムトモは……。
キムラ トモキ
って喜んでくれた。
キムラ トモキ
って言いながら、おいしそうに食べてくれたんだ。
おにぎりに、得意のタコさんウインナー。
玉子焼きもほれぼれするほどキレイにできた。
ポテトサラダのかざりには、星形に切ったにんじん。
早起きして頑張った自信作だったんだよね。
よかった〜。
キムトモは、見た目けっこうイケてるんだけど
(女子の人気も高いんだ)、
気さくでめんどう見もいい。
私にとっては、頼りになるアニキ……みたいな感じ?
私が授業中にさされて答えられたら、
キムラ トモキ
って、Vサインを送ってきたり。
教科書忘れちゃった時は、
キムラ トモキ
なんて言いながらも、自分からさっとつくえをくっつけてくれたし。
授業中眠そうにしてると、
キムラ トモキ
とか言って、シャープペンの先で突いて教えてくれる。
考えてみると、いつも助けてもらってばっかだなぁ。
キムトモととなりの席になってから、毎日楽しくってしょうがない。
……ところが、この幸せはある日突然、打ち砕かれたんだ。
先生が私の連絡をしようとした時。
セリナが手を挙げて、
セリナ
って言い出して……。
セリナは美人だけど、ツンとした感じの子。
人を見下すようなところがあって、
私はちょっとニガテ。
それから最近気づいたんだけど……。
セリナは多分、キムトモの事が好き。
キムトモと話す時は、ニコ〜ッとして、
セリナ
なんて言いながら、キムトモの肩をポンポン叩いたりするんだ。
後、キムトモと喋ってて、ふと視線を感じる事があるんだよね。
そんな時、振り向くと、
遠く離れた席からセリナがじいっと見てるんだ。
先週、私のおニューのペンケースを、みんなが、
みんな
って褒めてくれた時も、セリナはわきを通り過ぎながら、
ちっちゃい声で、
セリナ
って言ったんだよ。
今日の体育で、バスケの試合中に思いっきりぶつかってきたのも、
なんかわざとっぽかったし。
しょっちゅう意地悪してくるのは、
アイツと隣の席で仲良くしてる私が気に入らないせいだと思うんだ。
ほら、その証拠に……。
先生
って先生が言うと、セリナったら、嬉しそうな笑顔。
そして、横目でチラッと……私の方を見てきたもん。
委員長が、早速クジ引きの紙を作り始めてる。
隣のキムトモを見ると、のん気にフワワ〜ってあくびなんかして。
キムトモは、私と離れても、何でもないのかな。
そう考えたら……。
ズキン。胸が痛い。
私は……キムトモと席が離れちゃうなんて、絶対にイヤだ……。
そうだ!
私は、ネットで見た、席がえのおまじないを思い出した。
サノ アヤカ
お願い。
お願いです!
どうか、またキムトモととなりの席になれますように!
小指が痛くなるくらい強く、ギュッと絡めてたのに……。
セリナ
セリナが、また手を挙げた。
セリナ
セリナ
セリナは言い終わってから、私を見て嫌味っぽく笑ったんだ。
委員長
委員長が聞くと、みんな、どうでも良さそうに賛成する。
そんな〜……。
目が熱くなって、うるんできた。
セリナは、本気だ。
意地でも、私とキムトモを隣の席にしない気だ。
こうなっちゃったら、一生分のクジ運を使っても、
私はキムトモの隣の席になれっこないよ。
委員長が黒板に書いた席順表には、それぞれ番号が振ってある。
みんな順番にクジを引いて自分の番号を読み上げ、委員長が名前を書く。
キムトモは10番だって。
廊下から2列目の一番後ろだ!
隣は無理でも、少しでも近くに慣れたら……!
私は必死に小指に祈りかけてから、クジの箱に手を入れたんだ。
恐る恐る開いたクジに書かれた番号を、私は読み上げる。
サノ アヤカ
11番の席は……、ああ、また1番前。
それに、今度は教たくの真ん前だ。
しかも……。
セリナ
セリナがはしゃいだ様子で、クジをヒラヒラさせてる。
セリナ
セリナ
ウソ……。
私は、呆然として黒板を見つめる。
キムトモと、すっごく離れちゃった。
続きは、❤︎が1000行ったら!!!
コメント
5件
私、この話スキなんです! 一期一会の話デスよね?
はい!!よく分かりましたね!!
これって一期一会のやつですか?