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『5年前の兄』
新宿でのとある夜
大通りから少し裏手に入った
薄暗い道を男が歩いていた
男
男はブツブツと呟きながら
友人からもらった メモを見ていた
男
男
そこには「占」と書かれた 紙が貼られた机を前に
若い女が座っていた
男
男
男がそう聞くと
占い師
占い師
占い師は答えた
男はあまり占いなどは 信じてはいなかったが
少しだけ占い師に 占ってもらうことにした
男
男
『兄の事を占って欲しい』
男がそう言うと
占い師は頷き 名前と年齢を聞いてきた
男は自分の名前と
5年後の年齢を答えた
男に兄はいない
冗談のつもりで言ってみた
男
『◯◯さん、 29歳でよろしかったですよね?』
占い師は確認し
水晶玉に手をかざし 占い始めた
が
途中で顔色が変わり
周りに積み上げられている本を 片っ端から調べ始めた
一通り調べた後に
大量の汗を拭きながら 占い師は言った
『失礼ですけど ◯◯さんご健在ですよね?』
男は答えた
男
男
占い師
男
占い師
占い師
そう何度も繰り返し始めた
男
男は聞いた
占い師は少し戸惑い
こう言った
『…お兄さんは』
『占いの結果によると』
『5年前の今日』
『亡くなってるはずなんですよ…』
男は青ざめた…
青ざめた理由は…?