TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

氷と太陽

一覧ページ

「氷と太陽」のメインビジュアル

氷と太陽

15 - 未来に向かって、前を向け

♥

400

2024年06月29日

シェアするシェアする
報告する

〜次の日〜

朝から人が沢山来ていた

人の話し声が、沢山聞える

それに、若干の眩暈を覚えた

こんな炎天下の中、人々は涼しい顔をして……

……否

冷たい顔をして、こちらを見ている

 

あの沙羅家に、3代目の巫女様が来たらしい

 

えぇ?本当に?

 

今まで何も音沙汰が無かったのに?

 

風魔様は何をしているのかしら

 

それこそ、風魔様がトップに立つべきなのに…

 

あの時代の、唯一の生き残りだものね

 

……本当に、どうして2代目様は亡くなってしまったのかしら

 

あの方のことは、みんなが大好きだったのに

 

でも、夢の大陸の人間なら分からないわ

 

ほら、1回騒ぎを起こしたじゃない

 

そうね……

 

その夢の大陸の人間を倒した方も生きているらしいわ

 

その人も、ここにいてくれれば良かったのに…

 

ない事を言ってもしょうがないわよ

 

とりあえず、見届けましょう

 

あの時代の

 

2代目様の時代の神の使いである

 

風魔様が認めた方ですから

皆、口を揃えて言うのだ

「2代目様の跡継ぎ」

「風魔様が認めたから」

「自分達も、見届ける」

皆、3代目である私を見てない

……それも、そうか

私ですら、ここに居る理由があんまり分かってない

多分、沙優門も同じ

でも、ここの居心地が好きで

この大陸のために

この身に流れる血が役立つなら

殺しにしか使えなかった血が

神の使いの血が

ここで、人を救えるなら

それに、全てを賭けたい

仁詠

(……本当に、白刀・白雪を見せるだけでいいのだろうか?)

仁詠

(……いや、私の気持ちを伝えないと)

仁詠

……始まる、私の人生を賭けた演説が

風魔

皆様、本日はお集まり頂きありがとうございます

風魔

本日は、新たな沙羅家巫女である

風魔

3代目巫女

風魔

沙羅仁詠様のお披露目となります

風魔

2代目様が亡くなられてから随分と空席だった沙羅家巫女の地位に

風魔

赤の他人が座ったことに

風魔

違和感を覚える人もいるでしょう

風魔

ですが、

風魔

一旦、仁詠様のお言葉に耳を傾けていただきたいと思っています

風魔

それでは、仁詠様

風魔

よろしくお願いします

ぱちぱちと、乾いた拍手が響く

私に、視線が集まる

仁詠

(……大丈夫)

仁詠

(私が、沙羅家巫女だ)

仁詠

……皆様、初めまして

仁詠

この度、沙羅家3代目巫女になります

仁詠

沙羅仁詠と申します

仁詠

……正直、皆様の言葉が手に取るように分かります

仁詠

「なんであんな小娘が沙羅の巫女に?」

仁詠

「例え風魔様が認めても信じられるとは思えない」

仁詠

皆様の、仰る通りです

仁詠

ですが、1度だけ

仁詠

私に騙されたと思って、信じていただけませんか?

仁詠

私には、沙羅の血が流れてます

仁詠

過去にそれを知らずに

仁詠

残酷なことも沢山しました

仁詠

その力を、今度は皆様を守るために使いたいと思ってます

仁詠

……ですが

仁詠

いくら言葉で言っても伝わらないこともあると思います

仁詠

なので、ここに宣言し、証明します

白い刀を取り出して、上に掲げる

 

あ……あれは……!?

 

もしや、2代目様が使ったと噂の……?

仁詠

この刀の名は、白刀・白雪

仁詠

沙羅家の者にしか使えない刀を、私は使えます

仁詠

ここに、この刀に誓いましょう

仁詠

沙羅家に、不変をもたらしましょう

仁詠

私の力と、私の友人の力を借りて

仁詠

もう二度と、2代目様のようなことが起こらないように

仁詠

この刀に、誓います

仁詠

以上となります

仁詠

信じていただけたら、とても嬉しいです

仁詠

それでは、失礼します

出てきた時とは違う

暖かな、柔らかい拍手に送られ

私は中に戻っていった

そして、皆が口にした

 

あの方なら、大丈夫かもしれない

 

信じても、いいかもしれない

という言葉に

心の底から、それに答えたいと思う

数年後

沙羅仁詠という名前は八大陸で安心の象徴とされ

その名声は

2代目巫女、沙羅桃香と並んだ

当時の情景を、皆同じように語る

「氷のような冷たい視線と」

「暖かな太陽のような笑顔に」

「私達は信じてもいいと思えた」と

そして、更に数年後

沙羅家4代目巫女になる人間が見つかり

影から仁詠を支えていた沙優門はその子に全ての力を預け

溶けたように、消えてしまった

女手1つで育て上げ

側近に風の神の使い、風魔がついた

もう、2代目様のことを思い出す人間がいなくなった頃

4代目様は、成長していた

その、4代目を見て風魔は思う

風魔

(薄い桃色の髪に、赤色の目)

風魔

(まるで巫女様とクルトを足したような見た目)

風魔

(そして、日を浴びるのが好きという沙優門様の特性も引き継いだ)

風魔

(……本当に、巫女様のことを誰も覚えてない)

仁詠様を守り、4代目様の側近として生き抜くのだろうと

その時の風魔は思っていた

ぼんやりと過去の記憶に縋っていると

「風魔〜」と呼ぶ声が聞こえ

微笑みながら、返事をする

風魔

どうかしましたか?メシン様

メシン

それが、沙羅家4代目の巫女の名前であり

沙羅家最後の、当主の名である

 

氷と太陽 完結

次回→風魔過去編「去華就実の風」

この作品はいかがでしたか?

400

コメント

2

ユーザー

お疲れ様!!そして完結おめでとう🎉✨ 人々の不安な声や冷たい視線にも負けず自分の気持ちを言葉にして白刀・白雪に沙羅家に不変をもたらす、と誓った仁詠さんは立派な「3代目沙羅の巫女様」だね😖💕 そっか……!仁詠さんは皆に認められ桃香さんと同じくらい慕われて、4代目も無事に見つけたんだね……!! 沙優門さんもお疲れ様……!! 4代目沙羅の巫女、メシン様……ほんと、桃香さんとクルトさんを

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚