学園七不思議
あなたも聞いたことあるでしょう?
あなたの学校にもあるはず……
あら?漫画やアニメの話だ、って?
………そう
では、こんな話はどうかしら…?
あなたの学校でも
起こっているかも──?
一樹
彼が教室の中心で 大きな声をあげると
皆が振り向く
まるでスポットライトが 当たったみたいに輝いて見える
いわゆる“陽キャ”ってやつ。
一樹
口々に話しだして ざわめく教室
私
私
うちのクラスを例えるなら 冷戦状態
一部の人の言うことは とりあえず聞く
団結してしまったら もう逆らえない
……ちょっと 息苦しい
私
私
一樹
一樹
一樹
えー、とか やだー…とか
そんな思いが教室に充満する
でも、誰も言わない
私
私
私も言えないんだけど。
葉月
私
葉月
私
私
葉月
私
私
葉月
葉月
私
私
葉月
葉月
私
私
葉月
葉月
私
葉月
私
午後9時半
校門前には一樹だけ
私
葉月
一樹
テンション高く 近づいてくる一樹
私
私
私
様々な負の感情が飛び交う中で
隣で友人は頬を染めていた
葉月
葉月
真っ赤な顔で言う葉月
一樹
恋する乙女の 精一杯のアピールを
盛大に無視していく一樹
私
一樹が提案した肝試しはこれ
うちの学園七不思議の一つ
「人体模型」の話
人体模型。 それは理科室にある人形
一見、何ともなく見えるが
実は“元人間”
毎晩、肝試しに来る子供を
次の身代わりにしようとしている
──という話
薄暗い廊下
響く足音
もしかしたら 他の足音もあるかも…
と思いながら怖くなって 思考を止めた
一樹
葉月
そのドキドキは 何のドキドキでしょーね…
皮肉っぽく思いながらも
緊張している自分がいる
一樹
私
私
一樹
葉月
一樹
私
何もしてないです。
言葉を発しただけです。
勝手に叫んだのは こいつらに聞いてください。
行くぞとか言っといて 一向に扉を開けようとしない
ビビりすぎだろ……
一樹
私
横目に頷く葉月が見えた
そして一樹は扉を開けた
キィ……ガララ…
古臭そうな音を立てて開く扉
私
思わず呟くと失笑が漏れた
私
薄く笑うと 一樹が真っ先に頷いていた
一樹
葉月
教室の隅を指差して呟く葉月
細長い指の先は、いつも人体模型が置かれている場所だ
私
私
私が言うと、二人は準備室に続く扉の前にいて
私
なんて、雰囲気に 合わないことを思った
キィ…
今度はすんなり開く扉を開けた
私
ざっと見回すと不審なものが 視界に入った
何、あれ……?
葉月
葉月の悲鳴
呼ばれたかのように “それ”はこちらを向いた
カタ…カタカタカタ…
一樹
一樹の息を飲む音
そして葉月が座り込む衣擦れの音
全てが鮮明に聞こえる気がして
“それ”はニタァと笑った
人体模型だ
人体模型
人体模型
笑顔を崩さず 誘うように手を揺らす人形
少しずつ、近づいてくる
カタ…カタ……カタカタ…
関節がぶつかる音を立てながら
ゆっくりと… ゆっくりと……
ゆっくりと
近づいてきた
一樹
さっと踵を返す一樹
トントン、と葉月の肩を 叩いて立ち上がらせた
流石イケメン←
人体模型
人体模型
気味悪い声
背筋が凍る音がした
人体模型
背筋と共に体も凍ったみたいに
動けなくなっていた
逃げることができなくて
それでも逃げたくて
迫りくる恐怖を 受け入れるしかなかった
人体模型
一樹
肩を掴まれた一樹
人体模型
人体模型は笑みを消して 口を大きく開いた
一樹
グチャ…ッ
一樹の悲痛な叫び声
皮が剥ける音がする
筋肉が裂ける音がする
骨が砕ける音がする
グシャッ…
頭を噛んだ
綺麗に半分に
脳内が見えるように
細胞を引き裂く人形はまるで 人間が入った着ぐるみだった
人体模型
人体模型
私
葉月
震える葉月の声
絶叫に近いそれが私を動かした
私
言葉の語尾は震えていたかも しれない
でも、そんなの気にしている 場合じゃない
私達はすぐさま 学校を飛び出した
それからの事はよく覚えてない
一樹が行方不明だ って知らされて
その代わりみたいに
3年前行方不明になった 男子生徒が帰ってきた
葉月は…ずっと落ち込んでて
一週間ほど学校を休んだ
たったそれだけ
それだけなんだ
私は悪くない
悪くなどないのだ
私
私
そうなの
私が一樹にしよう、って言って
一樹が広めただけ
私
私
帰ってきたのは お兄ちゃんなんだ
3年前、同じように 肝試しをしたらしい
兄妹揃って 馬鹿なことするよねw
私
私
私
私
今度はどうやって 消そうかなぁ
コメント
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これミラティブで読ませてもらったよぉ!!2回目だったけど、やっぱ凄いね……!
了解笑