テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
_wki side_
深夜3時。
LINEで「来て」と送られた時間。
こんな時間に呼ぶ理由は、ひとつ。
wki
月明かりすら照らさない暗闇で、名前を呼ぶ。
返ってきたのは、“無”だった。
見つけて欲しいけど、遠慮する。
見つかりたくないけど、アピールする。
そんな矛盾も不安な夜を過ごすために、欠かせない。
元貴にとっては生きるために必要なもの。
俺には想像できないぐらい、色々なことを考えてる。
だから、望んでない考えに呑まれそうになる。
その時に手を差し伸ばした先が、俺だった。
…助けないと。
元貴がいつも居る部屋のドアを開けた。
_mtk side_
ガチャ
静かにドアが開く。
若井だ。
こんな時間でも来てくれた。
wki
声が近くに聞こえる。
ゆっくりと声の方に顔を向ける。
mtk
mtk
泣くな。
泣いたら、ますます困らせるだけ。
早く泣き止め、と願いながら涙を拭う。
乱暴に動かしてた腕は、 若井のゴツゴツとした手で止められた。
wki
mtk
wki
wki
手を広げてこちらへ来るように誘われる。
素直に若井の腕の中に入る。
とくっ、とくっ
若井の心音が聞こえる。
wki
wki
若井の体温
若井の匂い
若井の心音
背中をさする、手の感覚
若井の全てが、安心する材料になってる。
幸せだなぁ。
うとうとしてる頭で考えられたのは、それだけだった。
太陽で照らされた空が、朝を告げた。
体を起こす。
寝る前の虚しさは何処かにいった。
それはきっと、隣で添い寝してくれた若井のおかげだよね、
ありがと、若井。
頭を撫でる。
撫でるとシャンプーの優しい香りがしてくる。
丁寧にケアしてるなぁ
どんな事でも手を抜かない。
mtk
wki
wki
wki
こっちを見ながら、声を掛けられる。
呼んだら来てくれる所。
素直に褒めてくれる所。
何も追求しないで、そばに居てくれる所。
そういう所が___
好き、なの。
wki
mtk
mtk
微笑む若井。
普段はカッコ良くて、笑うと可愛くなる。
好き、が溢れる。
wki
wki
家から出る時にも微笑んで、手を振ってくる。
小さく手を振り返すと、ドアが閉まった。
若井が居なくなった家は、少し寂しい。
だけどこれ以上、求めちゃいけないよね。
若井は___
涼ちゃんの彼氏、だから。