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65 - 第六十五話:突然の涙

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2022年06月25日

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病院からの帰り道

みなみ

この辺、初めて来たけど

みなみ

結構、賑やかなんだね

みなみ

あんな大きい病院があるのも知らなかったし!

みなみ

私、勝手に田舎っぽいイメージ持っちゃってたかも……

委員長は俺のことを気遣ってたくさん話しかけてくれた

もしも俺、一人きりだったら

寂しさとか不安でいっぱいになっていたかもしれないけど

委員長のお陰で落ち着いた穏やかな気持ちでいられる

明日夢

ありがとう

みなみ

中崎君……

明日夢

最近はいつも一人だったから

明日夢

みなみさんがいてくれてよかった

みなみ

私はただ……

みなみ

着いてきただけだから

明日夢

そんなことないよ

明日夢

ありがとう

俺はただ

素直に感謝の気持ちを伝えたつもりだった

でもその表情が暗く見えたのか

委員長が凄く心配そうに俺の顔を覗く

みなみ

大丈夫?

明日夢

え?

みなみ

そんな悲しい顔しないで

明日夢

別に……

明日夢

悲しい顔なんて……

みなみ

中崎君!?

明日夢

あれ……

明日夢

何で……

突然、涙が溢れ

洪水のように流れて止まらなくなった

本当はずっと……

涙を堪えて我慢していた

俺は母ちゃんが大好きだから

週末には必ず会いに行くようにしていたけど

母ちゃんはずっと眠ったまま

俺の問いかけに答えてくれることはない

いつか目を覚ますかもしれないと言う希望と

ずっとこのままかもしれないと言う不安

その二つがぐちゃぐちゃに入り交じって

涙となって溢れ出てくる

例えば既に亡くなっていて

会えなければこんな風に思わなかったかもしれない

でも母ちゃんはまだ生きていて

会いたくなったら会いに行けるけど

行けば行くほど寂しくて

一人で歩くこの道が果てしなく遠く感じて

凄く辛いのをずっと堪えていた

沼田さんに会う時もかなり無理をしていた気がする

今日、委員長に会わなかったら

いつものように俺は……

みなみ

中崎君!

明日夢

みなみさん……

明日夢

俺……

ダムが決壊したみたいに

本当に涙が止まらなくなってしまった

心配そうに見つめる委員長に

明日夢

もう俺一人で……

思わず出た言葉に委員長は透かさず反応した

みなみ

一人になんてさせられないよ

みなみ

そんな泣いてる中崎君……

明日夢

でもこれ以上……

明日夢

みなみさんを……

明日夢

付き合わせるわけには……

まだ涙も止まらないのに

本当は一人になるのが怖いのに

変なところで強がって

変な風にカッコつけて

平気なふりをしようして止められた

明日夢

ごめん……

明日夢

ありがとう……

そのまま帰ろうとしたのを委員長に止められ

近くの公園に移動した

しばらくしてようやく涙も止まり

深呼吸をして何気なく空を見る

明日夢

晴れてる……

みなみ

ホントだ!

みなみ

一日中、曇りの予報だったのに

いつもそうだった

俺が母ちゃんに会いに行く日は何時も曇りで

雨に降られたことはなかったけれど

今にも泣き出しそうな雨雲が空を覆い尽くしていた

それがいつのまにか薄れていき

雲ひとつない青空が広がっていた

気温も少し上がったのか

出かける時よりも少し暖かい気がした

みなみ

少しは落ち着いた?

明日夢

うん

明日夢

ありがとう

偶然だった

俺があの電車に乗らなかったら

少しでも時間がずれていたら

委員長に会うことはなく一人で病院に行っていた

こんな気持ちになることもなかったと思う

みなみ

なんかお腹、空いちゃったなぁ

みなみ

中崎君!

明日夢

何?

みなみ

この後、時間ある?

明日夢

あるけど……

みなみ

美味しいもの食べに行こうよ!

委員長の笑顔が眩しくて

まるで天使のように見えた

明日夢

(委員長って……)

明日夢

(スタイルいいんだな……)

みなみ

何?

明日夢

い、いや……

明日夢

何でもない……

みなみ

よし!

みなみ

ガッツリ肉、食べよう!!

ちょっぴりワイルドな委員長にドキドキしたけど

これは本人には秘密

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