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殺戮ホテルの案内人

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殺戮ホテルの案内人

5 - 殺戮ホテルの案内人 第5話

♥

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2019年06月28日

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私の頭の中で、

断続的な映像がフラッシュバックする。

夜の学校

真っ赤に染まった少女たち

生臭い肉の匂い。

ナツキ

(なに…これ?)

ナツキ

(ダメ、やっぱり思い出せない)

ナツキ

う、うぅ…

ヨミ

ナツキ様?

ナツキ

…あ、はい

ヨミ

どうしました?

ナツキ

…い、いえ、別に

ヨミ

…ならば良いのです

ヨミ

私はマスターキーを探してきます

ヨミ

ナツキ様はここで

ナツキ

はい…分かりました

ヨミさんはその場から去って行く。

足音を一切立てず

床を滑るように移動する様子は幽霊みたいだ。

ナツキ

(よかった、フラフラするの治ったみたい…)

ナツキ

(でも、さっきのなんなんだろ…)

ナツキ

(…あんま思い出したくないな)

これだけ豪華なホテルなのに

やっぱり従業員も客もいない。

ナツキ

(…静か)

ナツキ

(本当に誰もいないんだ)

シャンデリアにはやはり人が吊るされており、

ゆらゆらと揺れている。

ナツキ

(わ、凄い絵)

ナツキ

(でも真っ白…)

ナツキ

(あれ?)

絵が飾られている大きな柱の裏に、

奥の部屋と続く廊下があった。

ナツキ

(誰か、いる?)

そこは小部屋になっていて、

部屋の中央にはベッドが一台置かれている。

ナツキ

(マッサージルーム?)

ベッドの上には、うつ伏せになっている人がいた。

紳士のようなキチンとした服装の高齢な男性だ。

すぐ隣には、スーツ姿の女性が立っていて、

男性の体をマッサージしている。

女性の額にはチャックがついていた。

紳士

おぉ、良い!良いですぞぉ!

マッサージ師

力加減はいかがですか?

紳士

最高です!最高ですぞおぉおお!

紳士

こんなに良くなりますか!?

紳士

こんなに良くなるものですか!?

紳士

でもまだ行けますよ!まだ上を目指せますぞぉおお!

ナツキ

(なに…これ?)

ナツキ

(あまり見ちゃいけないもの…だよね?)

紳士

おや!?

紳士

もしもし、そこのお嬢さん

ナツキ

私、ですか?

紳士

そうですそうです

ナツキ

はい…?

紳士

先ほど大き物音がしたのですか

紳士

何かトラブルでも起きましたかな?

ナツキ

あ、なんかドアマンさんが怒ってしまったみたいで

紳士

ほう!それは大変だ

紳士

ということはエレベーターは使えない?

ナツキ

そうなんです

紳士

困ったな。あぁ!!そこ良いですぞぉ!!

紳士

41階に行かなくてはならぬのに…

ナツキ

41階って、死者のフロアっていう?

紳士

ええそうです!その通りですぞ!

ナツキ

ということは、あの…死んでいるんですか?

紳士

私が?

紳士

ハハハ、まさか!

紳士

死んでるように見えますか?

ナツキ

いえ!全く!

紳士

そうでしょ?これからですから

ナツキ

え?

紳士

おぉ、良い良い!

ナツキ

あの、それってどういう

紳士

気持ち良いぃいいいいい!

紳士

気持ち良いですぞぉおおおおお!

その時、

ぶち

ぶちぶちぶち

ナツキ

!?

ナツキ

え、だ、大丈夫ですか!?

マッサージ師が

紳士の右腕を上半身からちぎり取った。

ナツキ

う、腕!取れていますけど!!

紳士

えぇ、気持ち良いですぞ

紳士

ちょうど良い強さだぁああああ!

ぶちぶちぶち

さらに次の瞬間には、

紳士の頭部が、胴体と切り離される。

切断面からは白い骨のようなものが見え、

真っ赤な血は止まることなく床にこぼれていた。

紳士

ふぅ…

紳士

いやぁ、スッキリしました!

生首となった紳士は、

痛がる様子もなく私に話し続ける。

紳士

ふんっ!!

ナツキ

…え?

私は自分の目を疑う。

紳士の首から、手が生えてきた。

紳士

よっと

その手を蜘蛛のように這わせながら、

生首が床を歩き始める。

ナツキ

だ、大丈夫なんですか?

紳士

えぇ、もちろん!

紳士

しかしマッサージがお上手ですな

マッサージ師

いえいえ

紳士

体が軽くなった気がしますぞ!

ナツキ

(気がするって言うか…)

ナツキ

(本当に体なくなってるけど!)

紳士

時にお嬢さん

紳士

死は良いものですぞ

ナツキ

え?

紳士

死は良いものだ

ピタピタピタ

生首は凄い勢いで壁を這い、

紳士

死は良いものだ。良いものです

次の瞬間、

まるでカエルのように私の肩に飛び乗った。

ナツキ

ふぎゃっ!

紳士

死になさい、あなた

ナツキ

いや、それは出来ないです!

紳士

できない?

紳士

死にたくないと!?

紳士の顔が憤怒の表情へと変わり

紳士

死を受け入れないのですか?

私の肩を持つ彼の手に

徐々に力が込められる。

ナツキ

い、痛っ

紳士

死になさい死になさい今すぐ死になさい

マッサージ師

ダメですよ、お客様

マッサージ師

彼女にもコンシェルジュがいるんですから

紳士

しかし!死ぬのは早いに越したことはない!

ナツキ

(どういう理屈!?)

マッサージ師

それも人それぞれです

マッサージ師

それよりお客様

マッサージ師

私ともっと楽しいことをしましょう

マッサージ師が額のチャックを開けると、

そこから長い長い舌ができた。

そしてその舌は、紳士の耳の中へと入ってく。

ナツキ

ひっ!

紳士

おおおぉおおおお!

紳士

気持ち良いぃいいいいいいいですぞぉおおおおおおおお

紳士の目は充血し、

口からは白い泡が出てくる。

そして…

マッサージ師の舌は伸び続け、

ナツキ

(鼻の穴から出てきた…!)

ナツキ

(反対の耳から入って…)

やがて彼の顔は、

全て彼女の舌によって覆い尽くされた。

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