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高校生の時に初めて付き合った彼女と別れて、10年の月日が流れた。

きっかけなんて覚えてない。

きっとくだらない。

日常の些細な出来事。

大人になりきれなかった僕らだったから。

周りの復縁を求める声を無視してしまった。

僕も彼女も意地を張ってしまった。

大人に、なれなかった。

そんなある日の事だった。

優花

久しぶり

優花

元気にしてた?

奏汰

え、優花?どうしたの?

奏汰

あ、いや、元気だけどさ

優花

元気ならよかった

優花

久々に話したいなーって思って、会いに行ったのに居ないんだもん

奏汰

高校の時に住んでたアパート、卒業と同時に引っ越しちゃったからさ〜

優花

あれ、そうだったっけ(笑)

奏汰

覚えてねぇのかよ。

奏汰

まぁ無理もないか、昔のことだもんな...

優花

ほんと。昔のこと。

優花

聞いてよ、しかもさ、そのアパート取り壊されてんの!原型なかった!

奏汰

まじ?それは知らなかった

優花

えぇーそっちの方がビックリなんですけど??

奏汰

だってそんな連絡来ないからさ、取り壊したかどうかなんて。

奏汰

...それで、どうしたの?連絡なんかしてきて。

優花

とにかく顔が見たいって思っちゃった。

優花

会いたいよ、奏汰

そして彼女に今の住所を伝えて会うことになった。

正直、緊張はしていなかった。

それより楽しみが勝っていた。

奏汰

久しぶり

優花

久しぶり

優花

なんか大人になってるね

奏汰

一応大人になったんだよ

優花

一応かい

奏汰

そういう優花だって大人になってるよね

奏汰

可愛い素敵な女性になってる

優花

そんなこと言ったって何も出てこないぞ!

奏汰

お菓子ぐらい頂戴よ

あの頃と何も変わらない

ただ少しお互い 大人になれた僕らがいた

たしかにそこに存在していた。

奏汰

それでどうしたの?会いたい、なんて

奏汰

何かあった?

優花

何かあったというか、お願いしたいことがあって

奏汰

なに?

優花

奏汰にしかお願い出来ないこと

奏汰

「金貸して」?

優花

違う!そんなこと言わない!

奏汰

分かってる、冗談だって

優花

もーー...。

奏汰

で、本当はなあに?

優花

引越し、しようかと思っててさ

優花

部屋の片付け1人じゃ終わらなくって

優花

奏汰に手伝って欲しいなーなんて思ったり。

奏汰

部屋の片付け?

優花

ほら...私部屋が汚いから迂闊に友達にお願い出来ないんだよ

奏汰

あーーーー!優花片付け苦手だったの忘れてた

優花

仮に可愛い素敵な女性になれてたとしても、悲しいことにお部屋はダメダメなんだなぁ〜

奏汰

いいよ、手伝ってやろう。

奏汰

ダメダメちゃんのお部屋片付け

優花

出来るだけ早い方がいいんだけど大丈夫?

奏汰

そんな急ぎなの?

優花

急ぎっていうか、まだいっかって考えちゃうといつまで経っても引っ越せないから

奏汰

なるほどね、じゃあ明日行くよ

優花

明日!?

優花

本当、大丈夫!?無理してない!?

奏汰

大丈夫大丈夫。任しといて。

奏汰

明日のお昼頃家に行くから、待ってて。

ピンポーン

奏汰

優花ー?

奏汰

いる?起きてる?

ガタン

奏汰

なに、今の音...

奏汰

優花入るよ!

優花

...

奏汰

優花?大丈夫?

奏汰

具合でも悪いの?

優花

...

玄関に立ち尽くす優花は 何も答えなかった。

そして虚ろな目で右側を指さした

そこは

彼女の部屋があるところだ

奏汰

なんだよ、そんなに優花の部屋やばいの?

奏汰

言葉失うほど散らかってるのか

奏汰

開けるよ

ドアを開けた瞬間、人生で嗅いだことのない異様な匂いがした

奏汰

優花!何この匂い!

奏汰

何をどうしたらこんな匂いが...

奏汰

え?

振り向くと優花はいなくなってた

その瞬間全てが分かったような気がした

部屋をゆっくり進むと

変わり果てた優花がそこにいた。

警察へ電話をしたは良いけれど

僕が殺したんじゃないかと疑いの目で見られてしまった。

しかし、検死の結果病死と判断されて

僕の疑いは晴れていった。

彼女の願いは叶えられたのだろうか

片付けて欲しい、の意味が。

あのとてつもない異臭の中から

ほんの僅か、彼女の優しい香りが混ざっていたような気がした。

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