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今日も…
今日も雨が降っている。
傘と、濡れないように艶掛かったパンプス
周りに溶け込むような黒のスーツ
慌ただしく行き交う人の流れの中で
落としてきた物はいくつあるんだろう
生きる為に仕方なく受け入れたルールと
考える暇すら与えてくれない時間。
私
そんな疑問さえ遠い記憶の中に封じ込められていたのだと思う…
親戚
親戚
私
お母さん
お母さん
私
私
お母さん
その頃の私はまだ「死」という概念がなくて
私
ただひたすらに冷たく固くなった父を
ただの無機物としか思えなかった。
親戚
親戚
私
泣くべきなの?
私
お母さん
私
母はそんな無頓着な私に苛立っていたと思う。
私
私
お母さん
私
私
お母さん
私
私
お母さん
私
私
お母さん
小さい頃にあった本音は
幾度となく"違うもの"だと教えられ
元の絵が分からなくなるほど
塗りつぶされていった…
私
私
生暖かく濁った水滴が肌を伝い
気持ち悪さすら感じる。
こんなのが気持ちいいと思っていただなんて…
もはやその気持ちに触れることなどなく、
絵の具が剥がれないように
今日も黒いキャンパスに傘を差す。
ざぁざぁ…
ざぁざぁ…
憂鬱な雨音が私の眠りを起こしにきた…
…つづく