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中島side 大きな地震から1ヶ月後。 美波の居場所を突き止めることができずに 今日も彼女を探し続ける。 まだ彼女の伯母さんから 遺体で見つかってはいないと 連絡を受けているため 生きている可能性が高い。

黒川

大輔いた?

中島

いない。そっちは?

黒川

全く情報なし。

史陽の話を聞いていると 古謝が大きな声で呼んでいた。

黒川

なんかあったん?

古謝

美波ちゃんの家族のお墓がある高台にトロンボーンを持った女性がここ1週間ずっと曲を吹いてるって情報貰った!

中島

ありがと。

黒川

あ、ちょっと待てよ。

古謝

まぁいいじゃん。

黒川

そうだけどさぁ…

そんな2人の会話を聞き 彼女の家族が眠る霊園に向け 走り出した。

美波side あれから1ヶ月の間に 元いた病院の場所よりも 高台に避難してみたら 家族が眠る霊園のそばだった。 それから毎日のように トロンボーンで街に向かって 曲を吹き続けていく。

少女

お姉ちゃんの楽器綺麗。

美波

ほんと?ありがとう。

少女

お姉ちゃんの彼氏いつ来るの?

美波

わかんないけど、多分もうすぐ来ると思う。

少女

そっかぁ〜。

私自身 手術の傷自体は回復傾向だが 震災によるフラッシュバックと 体調不良が続き 入院時期を引き伸ばしていた。

少女

ちょっとトイレ行ってくる。

美波

気をつけてね

少女

はーい

あの日から私の懐が落ち着いたのか ずっとそばにいる女の子が トイレに向かった。 ちなみに女の子の家族は 全員無事だったみたい 少し前に退院した 彼女の姿を見送り もう一度さっきまで吹いていた曲を 最初から吹こうと深呼吸をした瞬間 後ろから名前を呼ばれ振り返った。

美波

え?うそ…

中島

嘘じゃないって。

生きているかも分からなかった 彼が目の前で泣いていた。 私も安心したのか足元から崩れる。 彼がゆっくりと私に近ずいて 背中を摩ってくれている。

中島

美波ほんとごめんな。意地になって家飛び出して…

美波

私もほんとごめん、ちゃんと言ってなかった

中島

俺、美波のこと何も分かってなかった

美波

そんなことないのに

中島

津波がさ、ここら辺全部飲み込まれていくのほんとに怖くてさ

美波

うん

中島

この間美波が入院してた病院いったら原型ないし…

美波

私飲み込まれたかと思ったん?

私の肩に頭を乗せて 涙を流す大輔。 こんな経験なんて 滅多にしないから 不安と恐怖が入り交じっていた様子。 そんな彼の背中を 優しく撫でるのだった。

古謝side 大輔の後を追いかけると 花が沢山咲いているところに 彼女に支えられながら 号泣している大輔の姿があった。 少し離れたところから 史陽と一緒に 2人の様子を眺めると 小学生の女の子が話しかけてきた。

少女

お兄ちゃんたち、あのお姉ちゃんの知り合い?

古謝

うん。そうだよ。

黒川

あのお姉ちゃん知ってるの?

少女

あのお姉ちゃんずっと私の話し相手になってくれたの。津波の時も守ってくれた優しい人。

古謝

そうなんだ…

少女

あの泣いてる人ってお姉ちゃんの彼氏?

黒川

うん。あのお兄ちゃん彼女のことが心配でさっきまでずっと探しててん。

少女

前お姉ちゃん言ってたけど、彼氏と喧嘩したってほんと?

古謝

うん。ほんと。

黒川

俺ら2人あのお兄ちゃんと同じ仕事しててさ、お兄ちゃんから色々話聞いててん。

古謝

ねぇねぇひとつ聞いていい?

少女

うん。

さっき2人を眺めていると 不意によぎった疑問を 目の前の女の子に聞いてみた。

古謝

前にいた病院壊れちゃったけど、ここまでどうやってきたの?

少女

自衛隊の人が助けに来てくれた。それで、ここまで連れてきてもらったの。

黒川

なるほどねぇ…

少女

その自衛隊の人の中にね、あのお姉ちゃんの幼なじみの人いたよ。

古謝

そうなんだ

少女

幼なじみの人も婚約者の彼女いてね、ずっと探し続けてたんだって。

黒川

見つかったん?

少女

うん。しかもね、その婚約者さんお姉ちゃんと私が入院してた看護師さんでさ。

古謝

どこの病棟?

少女

整形外科らしい。

黒川

幼なじみの婚約者さんも大変やな。

古謝

そう思う。

黒川

てかお母さんとお父さんは?

少女

お父さんは自衛隊で救助に行ってるて、お母さんは警察官て仕事行ってる。

古謝

お父さんとお母さんかっこいいね

少女

でしょ?

そんな話をしながら 大輔の方に視線を戻すと 未だに泣いている様子だった。 その先には この当たりを一望することが出来る 景色のいい所で 津波の影響力が目に見えた。 今後どうなるか分からない不安もあるが 一刻も早い復興に対して 何をしようか悩むのだった。

中島side あれから2週間後。 美波の容態が安定して今日退院した。 けど未だに瓦礫が散乱としていて まともに歩くのが難しい状態。

中島

美波、ほら手。

美波

ありがとう

瓦礫を乗り換えているため 足場が不安定な状態で危ないから 彼女の手を握る。 美波のペースに合わせて とある目的地に向かって歩いていく。

美波

ここら辺だよね…?

中島

そう。やっぱりそうだよねぇ…

美波

自然の力はほんとにすごい。

中島

感心するとこそこなんだ…

マイペースで楽観的な彼女の 言葉に関心を向けながら視線を戻すと 目の前に拡がったのは 一緒に住んでいたマンションだった。 津波の影響なのか 1階部分はほとんど流されている 状態だった。 とりあえず階段を使って 俺らの部屋に向かうことにした。

黒川side 大輔と美波ちゃんが 家の片付けに行っている間に 球団の施設の掃除に取り掛かっていく。

古謝

あれ?大輔は?

黒川

家の片付け。

古謝

あ、そうなんだ。通りで既読つかないわけだ

黒川

下行く?

古謝

うん

黒川

このゴミ袋持って行ってよ。

古謝

どこに?

黒川

外出たらゴミを置くスペースあるからそこに置いてきて。

古謝

はーい。

ゴミを沢山入れた袋を 抱え込みながら 階段を下っていった。 まだ階段にゴミがあるため 集めていると 仲良しな先輩二人が降りてきた。

伊藤

黒川、古謝見てない?

黒川

古謝ならゴミ袋押し付けて捨てさせに行きました。

小郷

下?

伊藤

下しかないやろ。

いつもの茶番を繰り広げる 裕季也さんと裕哉さん。 2人の手には ちりとりとほうきが にぎりしめられていた。

黒川

確か裕季也さんと裕哉さんって3階担当ですよね?

小郷

古謝がトイレ掃除やってたんやけど、どっか行ったの。

黒川

それで僕に?

伊藤

そう。

黒川

あ、戻ってきた。

ノコノコと階段をのぼりながら 手元のスマホをのぞきこんでいる 古謝の姿があった。

古謝

あれ?どうしたんですか?

小郷

お前探しててん。

伊藤

新品のゴミ袋は?

古謝

あ、そうだった。史陽ちょーだい。

黒川

もうしっかりしてよ。大輔の方がしっかりしてるって。

伊藤

そういや、大輔見てないけどどこいったん?

黒川

家の片付けっす。彼女と一緒に。

古謝

さっき連絡ついて、最初彼女さんだけが片付けする予定だったけど、手術明けで何があるかわかんないからついて行くって言ってました。

妙に納得した表情を浮かべて 空を見上げ始めた先輩2人。 見上げた先に何があるのか気になり 2人の視線を追いかけるも 何も無かった。

黒川

どこ見てるんですか?何も無いっすよ?

古謝

あれだって。大輔のカップルに対して嫉妬してる。

黒川

そうなんすか

小郷

裕季也、若いっていいよな。

伊藤

ほんとにそう。

黒川

そっか、もうすぐで三十路か、

伊藤

三十路言うな。歳を感じる。

小郷

でも実際そうじゃん。体は嘘つかないもん。

伊藤

お前現実突きつけるなって。

古謝

電話…

黒川

だれ?

古謝

大輔

大輔から電話がかかってきたらしく すぐに通話を開始した。

伊藤

大輔お前どうしたん?

小郷

人が足りひんの?

中島

『いや、そうじゃなくってゴミ袋どこに固めておいた方がいいかなって…』

黒川

美波ちゃんに言えって

古謝

美波ちゃん何してるの?

中島

『美波はキッチン周りを掃除してる。』

小郷

大輔は?

中島

『僕はリビングと玄関に繋がる廊下を掃除し終わって今から水回りを…』

電話で話していると 遠くの方から 大輔を呼ぶ美波ちゃんの声が聞こえ 心做しか呼ばれて嬉しそうな 大輔の返事を境に電話が切られた。

伊藤

…呼ばれて嬉しそうな声だったけど

小郷

しょうがないじゃん。大好きな彼女が生きてたんだし。

古謝

大輔幸せですね

伊藤

幸せならいいよ。俺らも見てて微笑ましいし。

そう話しながら 空をのんびり見上げていると 遥楓さんが大きな声で サボっていると密告され 慌てて自分の持ち場に走り出した。

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