テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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「終焉」の秘宝

第17話 - 逃避行

712

2023年08月26日

#司類

#ファンタジー

#ホラー

#ミステリー

#冬彰

あかまる🍓🐾໊

えむ

ダメ、ダメだよ！

えむ

類くんのお願い、叶えるんだから！

類

えむくん…

司

そうだ！邪魔するな！

彰人

こっちにも事情があるんだよ。

杏

それに、能力が使えない今なら…！

司

勝てる、とでも？

司

甘いな…能力なんぞ使わんくても、お前たちになら勝てる。

冬弥

でも…悪魔ならどうです？

司

悪魔か…魔人しか相手してなかったから分からんな。

司

いい機会だ。俺とサシで殺り合うか？

冬弥

…！

類

司くん！！辞めてくれ！

司

ﾋﾟﾀ

類

冬弥くん、すまない。無礼を詫びるよ。

冬弥

え…いいえ、そんな…

類

君たちにも事情がある様に、僕たちにも事情がある。分かってはくれないか？

こはね

和解…って事ですか？

類

それが1番良いだろう？誰も血を流さなくていいんだ。

彰人

(あれ、コイツさっき俺の事刺したよな)

類

その節はすまない。冬弥くんの中の悪魔を目覚めさせるために…ね？

彰人

だから心を読むんじゃねぇ、変態

類

( ◜𖥦◝ )ﾖﾖﾖ

司

類、何故和解なんだ。

類

分からないかい？争うことに意味が無いからさ。

司

何故だ？意味のあるないなど関係ないだろう。

類

全く、君はなんにも分かってない。この状況がどれだけ＿

えむ

2人ともっ！辞めて！

司

！

類

あ…えむくん？

えむ

私…お願いしたよ？みんながずっと笑顔でいれますように、って。

司

…すまない。

類

ううんごめんね、言いすぎたよ。

司

いや、俺も言いすぎた。

えむ

そうだよっ！みんな、ニコニコわんだほいだよ！

寧々

ふふっ、何それ。

えむ

えへへ〜！みんながニコニコだと、私もつられてニコニコになっちゃうよ〜！

類

ふふっ、そうだね。

司

ま、確かに笑顔は大事だな！

こはね

(すごく楽しそう…)

杏

(この人達、秘宝に何を願ったんだろう…)

冬弥

…

冬弥

(裏表のない純粋な心…そして、お互いに思い合う心が繋がっている)

冬弥

(こういう人間もいるのか)

えむ

類くん、早くお願い事して！私たちが守るから！

類

え、いいのかい？

司

もちろんだ！

寧々

手短にお願いね。私、戦闘向きじゃないから。

類

ありがとう、みんな。

杏

そうはさせないんだから！

冬弥

俺は司さんを相手する！彰人は類さんの所まで行ってくれ！

彰人

おう、分かった！

こはね

杏ちゃんは草薙さんお願い！

杏

了解っ！

えむ

なんで…なんで邪魔するの？

えむ

私はただ…みんなと笑顔でいたいだけなのに…ｯ！

こはね

わ、私達だって、この世界が好きなの！

こはね

だから、世界を守りたいの！

えむ

…なんの事？

こはね

え？

えむ

世界を守るって…？

こはね

えっと、あの秘宝は世界を滅ぼす力も持ってるから…

えむ

世界を…滅ぼす？

えむ

そんな事…私達しないよ？するわけないもん！

こはね

え？

えむ

私達はただ…幸せになりたいの。笑顔でいたいの！普通に暮らしたいの！

えむ

だってもう…お人形さんじゃなくて、本当のお友達が出来たんだもん…

えむ

えへへ、私、みんなに会えて本当に良かったと思ったんだ。１回、みんなとはバイバイしようと思ったけど…

えむ

やっぱり…みんなといたいの。だから、邪魔しないで…

こはね

…

こはね

(私…どうしよう。どうすればいいんだろう…)

こはね

(今言った事は嘘かもしれない。けど、嘘じゃないかもしれない。そうだ、決めつけることなんてできないんだ…)

えむ

(…寧々ちゃんがお人形さんだって知った時、私はちょっと希望を持った)

えむ

(だって、寧々ちゃんは本当に人間みたいで…楽しくて、可愛くて、お歌が上手で…私の知るお人形さんじゃなかった。)

えむ

(ねぇ、おじいちゃん…私、見つけたよ)

えむ

…むかーし、昔、あるところに、

こはね

？！

えむ

森の奥の小さなドールショップがありました。

えむ

そこには人形職人のおじいちゃんと、1人の女の子が2人で暮らしていました。

女の子

あなたのおよう服すてきね！あら、ありがとう！

女の子

一緒にパーティへ行きましょう？

女の子はお人形遊びが大好きだった。

おじいちゃん

えむは本当に、お人形が好きなんだな。

女の子

うん！だって、おじいちゃんの作るお人形さん、とーっても可愛くて綺麗なんだもん！

女の子はおじいちゃんの事が大好きでした。

おじいちゃん

ありがとうなぁ…

女の子

えへへ〜！

女の子

もちろん、おじいちゃんの事もだーいすき！

おじいちゃん

はっはっは！おじいちゃんもえむの事大好きだぞ〜！！

女の子は腰が悪いおじいちゃんのために、水を汲みに行くのが日課でした。

水汲みの時は決まって、お気に入りのお人形をお守り代わりに持っていきます。

女の子

お水〜♪お水〜♪

子供

あーー！！あの悪魔の人形ハウスの魔女だ！！！

子供

魔女は森へ帰れっ！！！

女の子

きゃっ！！

子供

ちょっと、やめようよ！

子供

あそこは呪われてるんだぞ！俺たちまで呪われたらどうするんだ！

子供

さっさと帰れっ！！

街の子供たちは危険な存在でした。

女の子を見かけたら石を投げたり、傷つく言葉を投げかけるのです。

女の子

おじいちゃん！お水汲んで来たよ！

おじいちゃん

おお、えむありがとう！

おじいちゃん

…泥だらけじゃないか。それに、頬の傷はどうした？

女の子

ほえ？

女の子

あ、これは…あのね！つまづいて転んじゃったの！

おじいちゃん

そうか…おいで。手当してあげよう。

女の子はおじいちゃんに心配かけないよう、笑って誤魔化していました。

手当する時、おじいちゃんは決まって女の子に「ごめんな、ごめんな」と言います。

女の子はそれでも1番幸福でした。

女の子

お人形さん、私が読み聞かせしてあげる！

女の子は絵本を読むのが大好きでした。

女の子

むかーし、昔、ある所に＿

女の子

……この女の子、「おともだち？」がいるんだ。

女の子

ねぇねぇ、おじいちゃん。おともだちって何？

おじいちゃん

お友達って言うのはな…一緒に過ごす時間が楽しいと思えるような人の事だ。

女の子

じゃあじゃあ！お人形さんは私のお友達だね！

女の子

お友達かぁ…えへへ〜！お人形さん、もう一個絵本読んであげるね！

おじいちゃん

……

女の子は決して1人ではありませんでした。

大好きなおじいちゃんもいて、お友達もいたのです。

ですがある日、おじいちゃんの具合が悪くなりました。

女の子

おじいちゃん！おじいちゃん！大丈夫…？

おじいちゃん

ｹﾞﾎｯ、えむ、儂なら大丈夫だ。心配しないでくれ。

女の子

でもでも…

おじいちゃん

えむって名前は、おじいちゃんが「みんなが笑顔になるように」ってつけた名前だ。だから、えむには笑ってて欲しいな。

女の子

そうなの…？分かった！私、ずっとニコニコでいるね！

けれど、おじいちゃんの容態は日に日に悪化していきます。

女の子

どうしよう…こんな時、どうすればいいの？

女の子

えほん…あ、びょうきの人にはお薬をあげるんだ！！

女の子

お薬はきっと、街にあるはず！

街へ行くのはとても怖かったけれど、女の子はおじいちゃんのためにお薬を貰いに行くことにしました。

女の子

わぁ…！！

女の子

お薬…お薬ってどこにあるんだろう

女の子

ねぇ、お人形さん、どこだと思う？

子供

あーーー！！魔女だぁぁ！！！魔女が街まで来たぁぁあ！！！

子供

何しに来たっ！！出てけっ！！

子供

こんな薄気味悪い人形なんか持って…こうしてやる！！

女の子

駄目っ！！！！

街の子供は、女の子の1番のお友達を壊しました。

女の子

あ…あ…お人形さん……

女の子

うっ、うぅ…ｸﾞｽ

子供

わ……泣いてやがる

子供

たかが人形１個で泣くとか…

女の子

おじいちゃんが作ってくれた、1番のお友達だったの！！

子供

人形が友達…？

子供

気味悪…やっぱり魔女だ！！

女の子

違うもん！！魔女なんかじゃないもん！

女の子

私はただ、お薬を探しに来ただけなの！

子供

薬？

子供

お金がないと無理だぞ。お前、お金なんて持ってるのか？

女の子

おかね…？

女の子

持ってない…

子供

じゃあ駄目だ、帰りな

女の子

でもでも！おじいちゃんの具合が悪いの！

子供

そんなの、俺達にはどうしようもねぇよ…

子供

薬草とかあればなぁ

女の子

薬草？

子供

薬になる植物のことだ。森にもあるんじゃないか？

女の子

…ありがとう！探してくる！

街の子供に薬草を教えてもらった女の子は、森へと探しに行きました。

女の子

やくそう…薬草ってなんだろう

女の子

ねぇ、お人形さ＿

女の子

……うぅ、ごめんね…守ってあげられなくて…

女の子

お家に帰ったら、おじいちゃんに直してもらおうね！

女の子は薬草を知りませんでしたが、必死に探しました。

そして、綺麗な葉っぱをいくつか持って帰りました。

女の子

おじいちゃん！

おじいちゃん

えむ！こんな時間まで何をしていたんだ？心配したんだぞ！

女の子

ごめんなさい！ねぇねぇ、「やくそう」を持ってきたの！

女の子

お薬はおかねがなくて買えなかったけど、これでおじいちゃん良くなるかなぁ？

おじいちゃん

！

おじいちゃん

えむ……ありがとう。

女の子

えへへ！

女の子

あ、あと、お人形さん壊しちゃったの…本当にごめんなさい！直せるかな…？

おじいちゃん

ああ、直しておくよ。

おじいちゃん

…えむ、もしもここに誰もいなくなっても、お前は1人じゃないよ。

女の子

？

おじいちゃん

おじいちゃんがえむのために、心をこめて一体の人形を作った。

おじいちゃん

この人形をえむにあげよう。この壊れたお人形のお友達にするといい。

女の子

わぁぁぁ！！ありがとう！！

女の子は気づきませんでした。

おじいちゃんにはもう、時間が無いことを

女の子

んーー！！お人形さんおはよう！

女の子

あっ、壊れちゃったお人形！

女の子

おじいちゃんが直してくれたんだ！お礼言わなきゃ！

女の子はいつも通り、おじいちゃんの所へ向かいました。

女の子

おじいちゃん！！おはよう！お人形さん直してくれてありが＿

おじいちゃん

…

女の子

……おじいちゃん？

女の子

あれれ、冷たい…お布団持ってこなきゃ！

女の子

えへへ、よく眠ってるなぁ。疲れちゃったのかな？

女の子

おじいちゃん、早く良くなってね！

女の子

パーティはまだ始まったばかりよ！みんなで踊りましょう？

女の子

踊った後はお紅茶を飲んでスイーツも食べましょう！

女の子

……おじいちゃん、起きないなぁ

女の子

ねぇねぇ、お人形さんどう思う？

女の子

……そろそろ起こしに行こっか！

女の子はおじいちゃんを起こしに行きました。

女の子

おじいちゃーん、そろそろ起きて〜！

女の子

それとも、まだ具合悪い？

おじいちゃん

……

おじいちゃんはとても優しい顔で眠っていました。

女の子

…きっと、いい夢を見てるんだね！

女の子

お人形さん、お水汲みに行こ！

女の子

お水〜♪お水〜♪

子供

あっ

女の子

あ！

子供

ほら、謝るんでしょ？

子供

……

子供

その…人形、壊してごめん。

女の子

！

女の子

大丈夫！おじいちゃんが直してくれたの！

子供

あ、そのおじいさん…どうなった？

女の子

まだ寝てるよ〜！お布団かけても、いくらお部屋を暖かくしても冷たいままなの。

女の子

それに、もう2日もずっと寝てるの。けど、きっととてもいい夢を見てるんだよ！

子供

え……それ、

子供

そのじいさん…もう死んでるんじゃないの？

女の子

へ？

子供

馬鹿！

子供

あっ！ご、ごめん。けど、だってそれおかしいぞ。

子供

……確かにおかしいな

女の子

死んでる…？どういうこと？

女の子

おじいちゃん…寝てるだけだよ？

街の子供たちはおかしな事を言うんです。

おじいちゃんはただ寝てるだけなのに。

女の子

そうだ！おじいちゃんが寝てるから、私がお人形さん作ってびっくりさせよう！

女の子

えーっと、おじいちゃんはいつもこうやって…

女の子は見よう見まねで、お人形を作りました。

女の子

できたぁ！おじいちゃんみたいに綺麗にはできなかったけど、うん！可愛い！

女の子

今日からこの子もお友達！

その時です。不思議な事が起こりました。

人形

٩̋(ˊ•͈ ꇴ •͈ˋ)و

女の子

え！！

人形

(っ´>ω<))ω<`)ｷﾞｭｯ♥

女の子

わっ！

女の子

お人形さん…動いた！！

人形

‹‹\(´∀` )/››‹‹\( 　´)/›› ‹‹\( ´∀`)/››

女の子

わーい！！わーい！

女の子

よーし！お友達いっぱい作るぞー！！

女の子はお人形を作り続けました。

来る日も来る日も…

ある日、女の子がいつも通りお人形と遊んでいると、ドールショップの扉が開きました。

類

動く人形がいると聞いたから見に来てみれば…君がやったのかい？

寧々

わ、すご…人形がいっぱい

女の子

わぁぁぁ！お客さんだ！

女の子

えへへ！この子達はみんな、私のお友達なの！

人形

«٩(*´ ꒳ `*)۶»

類

ふむ…なるほど、「愛情」の能力者か。

寧々

どうすんの？

類

仕方ないだろう。彼女には…

女の子

あっ、ちょっと待ってね！おじいちゃん起こしてくる！

類

おや…？もう1人いたのか。

女の子

おじいちゃーん！起きて！お客さんだよ！

おじいちゃん

…

寧々

……ねぇ、類

類

言わないでくれ

女の子

ごめんなさい！おじいちゃん今日も寝てるみたい…

寧々

類、このままじゃダメだよ。

類

うーん、そうだねぇ…

寧々

ねぇ、私は寧々。貴方名前は？

女の子

私？私はえむだよ！

寧々

えむ、私とお友達になってくれない？

女の子

お友達…？あなたと？

寧々

うん。どうかな、

女の子

わわわわ〜！！なる！お友達になるっ！

女の子

えへへ〜！お友達増えちゃった！

寧々

ねぇ、えむ。私達「秘宝」を探してるの。一緒に来る？

女の子

ひほう…？けど、私にはおじいちゃんがいるから。

寧々

大丈夫、ちょっと遊びに行くだけ。おじいちゃんなら…そうだ、お友達に任せたらどう？

女の子

うーん…行ってみたい…けど、お人形さん、どう思う？

人形

( *・ω・))ｺｸｺｸ

人形

(*ˊ˘ˋ*)ﾆｺ

女の子

……分かった！じゃあ、おじいちゃんをお願いね！

女の子

私、行く！

寧々

うん、ありがとう。

類

当初の予定とは別プランだけど…まぁ、いいか。

こうして女の子はお人形さんにおじいちゃんをまかせ、寧々ちゃんというお友達について行きました。

えむ

それからその女の子は3人の仲間ができました。

えむ

女の子は仲間がだーいすきです。みんなでずっと、笑顔でいたいと思いました。

こはね

…

えむ

女の子は本当は気づいていたんです。おじいちゃんの事も、お人形さんの事も。

えむ

でも、ずっと逃げてました。

えむ

今、女の子は幸せになろうとしています。

えむ

例え邪魔されても、私はみんなとずっと笑顔でいたい！

こはね

…

こはね

(こういう時、何を言えばいいのか分からなくなる)

こはね

(可哀想、そんな事ない。この子は幸せになろうとしてる。だから、秘宝を求めてる)

こはね

(私達も同じ。ずっとみんなといたいから守ろうとしてる。)

えむ

(私を見つけてくれたみんな、居場所をくれたみんなだから、私の宝物だから、)

えむ

(宝物は自分で守る！今度はもう、壊さないように。)

類

ごめん、本当にごめん、僕は…

類

僕の願いが…分からない、

類

みんなと一緒にいたい、けれど…

彰人

！いた！！

類

おや…

彰人

それ、こっちに渡してもらうんで

類

……駄目だ

類

駄目なんだよ、誰かがやらなきゃ。そうさ、初めから決まってたんだ

彰人

はぁ？

類

僕は魔術師、魔法使いじゃない。箒で空は飛べないし、魔法は使えない

類

所詮、ただの人間。無力なんだよ

彰人

さっきから一体何の話を…

類

ねぇ…ただの無力な人間だったなら、どんなに良かったと思う？

彰人

は？

類

きっと…物語は幸せだったさ

続く！！

「終焉」の秘宝

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712

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類くんの過去気になりますな( *¯ ꒳¯*)

えむちゃんにもちゃんと事情があったんだね…🥲神代の願い事も気になる🤔

あかまる🍓🐾໊

プロフィール

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