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ねぇ、熊が私のお腹を食べてる -惨劇、再び-

ねぇ、熊が私のお腹を食べてる -惨劇、再び-

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3

ねぇ、熊が私のお腹を食べてる -惨劇、再び- 第3話 家族

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2020年09月06日

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平井家で発生した惨劇の翌日。

鶴田

電気柵が倒れてる…

鶴田

まったく、役場の連中め…

鶴田

いつもクマ対策の強化を訴えておきながら

鶴田

設備のメンテもままならないとは

鶴田

村長も口ばかりだ

鶴田

ワシが村長をしていたときは──

鶴田はブツブツ文句を言いながら、畑に向かった。

鶴田

む、マスミたちはまだ来てないのか

鶴田の娘、マスミは、平井家に嫁いだ。

家が近いこともあり、よく畑仕事を一緒にしている。

鶴田

マスミは、たしか妊娠7ヶ月だったか

鶴田

まだ生まれるには早いが…

鶴田

何かあったのか?

先ほど目撃した、倒れた電気柵が脳裏に過ぎる。

鶴田

まさか、な…

鶴田は、不安を覚えながら平井家に向かった。

森久保

おはよう

森久保がリビングに入ると、リオがテレビを消した。

リオ

おはよう、あなた

森久保とリオは、以前に経験したクマ事件の後、交際を始めた。

現在結婚7年目で、4歳の娘もいる。

しあわせな生活を送っていたのだが……。

森久保

今、俺のニュースを見てたんだろ

リオ

う、うん…

森久保

ニュースで取り上げられたせいで

森久保

うちにまで誹謗中傷の電話がかかってくるし

森久保

俺のせいで、迷惑かけてごめんな…

リオ

そんなことないっ!

リオ

あなたの行動は間違ってないよ!

リオ

いつも正しい行動をしてきたじゃない

リオ

だから、あなたも私も、こうやって生きてるんだよ

森久保

…………

リオ

あ、でも

リオ

あなたにも間違いはあったね

森久保

え?

リオ

あの事件の後、あたしが告白したとき

リオ

あなた、こう言ったでしょ

リオ

『吊り橋効果による、一時的な感情の高揚だから長続きしない』

リオ

そう言って、最初は断ったものね

森久保

そんなこともあったな…

リオ

でも結婚して7年

リオ

あたしの気持ちは変わってないよ

リオ

あなたが間違えたのは、それっきり

リオ

今回もあなたが正しい

リオ

自信を持って!

森久保

リオ、ありがとな…

森久保

元気が出たよ

森久保が、リオを抱きしめようと近づいたとき。

サヤ

パパおはよう!

娘のサヤがリビングにやって来た。

森久保

おはよう、サヤ

サヤは駆けてきて、森久保に抱きついた。

森久保はサヤを抱っこし、頭を撫でてやる。

リオ

あらあら、相変わらずパパッ子なんだから

リオ

そんなにパパのことが好き?

サヤ

うん!

サヤ

パパ大好き!

リオ

じゃあママは?

サヤ

ママは2番!

森久保

ふふ、悪いなリオ

リオ

ま、どうせ今だけよ

リオ

もうちょっと大きくなったら

リオ

パパきらーいになるから

森久保

こ、怖いこと言うなよ…

リオ

さあ、早くご飯食べましょ

リオ

パパはこれから大事なお仕事があるの

森久保

(そう、また村議会だ…)

森久保

(結局、昨日は結論が出なかった)

森久保

(今日も責められるだろう)

森久保

(特に、長谷部さんにな…)

森久保

(なぜか、俺へのあたりが強いんだよな)

森久保

(どうしてだろう?)

鶴田は、平井家の鶏小屋にやって来た。

鶴田

な、なんということだ…!

クマ

グチ、ミチ…

子グマ

クチャクチャ

2匹のクマが、娘の夫、平井を喰っていたのだ。

顔の大部分は消失し、臓物、骨も露出している。

地べたには血の海が広がっており、

平井のものらしい、眼球も転がっていた。

その近くには、マスミらしき死体も転がっている。

大きく膨らんでいた腹も、無残に食い荒らされていた。

鶴田

あ、あ…

クマ

グルルル…

クマは、鶴田に近づいてきた。

しかし、鶴田は一歩も動けないでいた。

鶴田

(娘、婿、生まれてくるはずだった孫…)

鶴田

(みんな、死んじまった…)

唐突に訪れた絶望が、彼の身体を縛ってしまったのだ。

クマ

グオオオオ!

クマは鋭い爪で鶴田を引き裂く。

鶴田

ぐがっ…!

鶴田は、そのまま引き倒されてしまった。

目の前には、怪物のようなクマの顔がある。

遠のく意識の中、鶴田の脳裏に過去の映像が過ぎった。

彼が、まだ村長をしていた頃のことだ。

村尾

お前のせいで、娘は死んだ!

村尾

お前が、クマを甘く見ていたから!

村尾

絶対、許さない…!

鶴田

(村尾よ…)

鶴田

(お前の気持ち、やっとわかったよ…)

鶴田

すまん、村尾…

その言葉を最期に、鶴田の意識は途切れた。

ねぇ、熊が私のお腹を食べてる -惨劇、再び-

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コメント

11

ユーザー

胸糞やばいよぉ、、

ユーザー
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