あの日から、数日たったある日。
りうら
もっかい作ってよぉ〜
僕は人間になれる薬を作るように 親友に頼んでいた
ないこ
りうら
親友…ないこは人差し指を突き出し 俺の唇に当てた
りうら
陸を歩かないと会えない
んだもん!!
そう、ここ数日ユウスケと話すことは おろか、 会うことさえできていなかったのだ
ないこ
ないこ
忘れたわけじゃないでしょ?
りうら
僕はないこから目を逸らした わかってはいるのだ。 それでも、僕は…
ないこ
もう一度言うけど。
そうしてないこは口を開いた。 一度聞いた、副作用の話をするために
ないこ
徐々に人魚としての形は
失われていく
ないこ
戻る時、酷い乾きを
感じただろう?
りうら
ないこ
ゆっくりとはっきりといつもより 低い声でないこは話を続けた
ないこ
魚となるか、
ないこ
ハッピーエンドか、
ないこ
その二択しか残されていない
ないこ
りうら
残酷な事実のみを伝えられては 僕の心が先に折れてしまいそうになる だから、続きは塞ぐことにした
りうら
だから、言わなくて良いよ
ないこ
バカな真似は……!!
りうら
心配してくれる親友を前に、 それでも変わらない心は突き動く。
りうら
ユウスケが大好きだから
ないこ
ないこの表情が歪んだ。 申し訳ないとは思うが、仕方ないのだ
ないこ
アイツのことを…!
ないこ
付き合いだろ!?
ないこ
アイツなんかに
アピールするんだ!
中々に痛いところをついてくるなと 思いながら、それでも、と 僕はまた言葉を紡いだ
りうら
好きなの。
ないこ
りうら
初めて目にした時の光景はいまだに 脳裏に焼き付いて離れない
りうら
僕の心を焼き付ける
ことは誰にだって…
そう、家族や親友でさえ、 宝石のようだとと称される女の人魚 でさえも
りうら
ないこ
ため息を一つ吐いている。 きっと家族とかに説明するのは 彼の役目なのだろうと思う
ないこ
りうらってやっぱり
頑固だよね
りうら
これが僕だからね
お得意の笑顔で僕は変わらないことを 示した
ないこ
作ってあげる。
りうら
ないこ
僕の歓声を遮って声を上げたないこに 耳を傾け…なくても聞こえる。
ないこ
それ以上は許さない!!
ないこ
りうら
まるで母親のように心配の怒声を あげられ、すっかり僕は萎縮して、 情けない声をだした。
りうら
ないこ
ある程度距離をとったところで 僕は声を上げてどこに行くつもりか 叫んだ
りうら
探してくる!!
ないこ
近くで聞けば確実に鼓膜はやられてた であろう声の大きさに、離れて正解だ と思った僕なのであった…
ないこ
りうら
僕らは別に、約束した場所が あるわけではない。 だから彼の名前を叫んで呼んでみる
りうら
遊びに来たっていうのに!
りうら
半分おふざけの大声でユウスケを 求めた。そうすると意外なことに
悠佑
小さな声で返事が返ってきた
りうら
先ほどまで少しナイーブな気分に なっていたのが嘘かのように 今日の空のように晴れ渡っていく
悠佑
僕を見つけたことを理解したのか 僕の名前を何度も呼んでこちらへ 走り出してきた。
りうら
ここまで浸かったら
また風邪ひくでしょ?
悠佑
今この時、足さえあればユウスケを 抱きしめにいけたのにと、 ユウスケの泣き出しそうな顔を見て 後悔した。
りうら
尾鰭が少し海水につくくらいの 浅い場所へと移動した。
悠佑
いいよ、と言ったのと同時くらいに 僕の胸の中へと飛び込んできた
りうら
ユウスケを泣かせたのは誰だ
りうら
真っ先にそんなドス黒い感情が 出てくるがまずはユウスケから 状況を聞くのが先決だと、心を 落ち着かせた
りうら
悠佑
ユウスケは無言を貫いた。
りうら
内容なの?
悠佑
言葉に詰まっている。 きっと、図星なのだろう。
りうら
りうら
悠佑
抱き合っているせいか、距離が 近くて、ユウスケが困ってるのに 僕は顔に熱が集まってきそうだった
りうら
そう思った時に言ってよ
りうら
りうら
優しく、ユウスケの輝く髪を 撫でた。
悠佑
あ、りがとう"、っ
鼻声になりながら、お礼を言う ユウスケに僕は誓った
りうら
ユウスケ泣かせた奴ぶっ殺す
りうら
と。
あれから、少し時間が経ち
悠佑
落ち着いた様子のユウスケは 僕の胸を離れていった
りうら
もっと抱き合ってたいのに!
悠佑
悠佑
ええんよ!!
頬を赤らめて必死に僕のいった事に 反応するユウスケはやっぱり可愛い
りうら
りうら
りうら
りうら
りうら
浜辺に膝をついて、笑いながら 僕はユウスケに言った
悠佑
悠佑
ユウスケは一瞬戸惑って、 小さく、頷いた。
りうら
ユウスケ!







