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散らかった机の上で私はため息をついた。
あの事を思い出すと今でも頭が痛くなる。
小学校2年生の頃、図工の授業で植物を描いていた。
この私、「天音 久子」は絵を描くことが好きだ。
図工が好きなだけに、いつも一番乗りで作品を完成させる。
今回もきっと一番乗りだろう。
だって、あと土を茶色く塗るだけで完成なのだ。
久子はいつも通りの笑顔で茶色の絵具をパレットに出す。
その時久子はあることに気が付いた。
自分の茶色の絵具がチョコレートにしか見えないのだ。
ひょっとしてこの絵具はチョコレートでできているのではないか。
そうだ。
わからないことは先生に聞けばいいのだ。
天音久子
そう聞くと先生は困ったように言った。
先生
先生
私は昔から大人が言ったことは全て正しいことだと親からさんざん言われてきたので、いつも大人が言ったことに納得していた。
だが、今回ばかりは納得ができなかった。
当時の私の目から見ればやっぱりチョコレートにしか見えない。
そうだ。
私がこの絵具を食べてこの絵具が食べ物だということを証明すればいいのだ。
今考えてみれば、無茶苦茶なことだが、その頃の私はそんなこと1ミリも思わず、気が付けば茶色の絵具は口の中に移っていた。
クラスの皆が叫び声をあげる。
先生が駆けつける。
だが久子の眼にはそんなものは見えていなかった。
今久子の口の中にあるものは、自分の想像していた甘くておいしいチョコレートの味ではなかった。
口の中にあるものは苦くてどろっとした変な塊。
一秒時が進むたびにこみ上げてくる気持ち悪さ。
たちまち久子は戻した。
再び叫び声をあげるクラスメイト、駆けつける先生たち。
久子にはそんなものは見えず、目の前は真っ暗闇になった。
最後まで読んで頂きありがとうございます。続きは好評でしたら投稿いたします。