紬
蜥蜴哭し、泣き叫ぶ少年を見て、ギルルはその手を握った。
二人は固く手を握り合ったまま、涙を流し続けた。
その時、天から声が響いた。
「私はあなた方二人を引き裂こうとしているわけではありません」
それは、今まで聞いたこともないような美しい女性の声だった。
「私の力では、あの石像を完全に破壊することはできません。しかし……」
「それなら大丈夫です!」
少年は涙を拭って言った。
「僕一人だけ残ればいいんです!そうすれば島は救われます!!」
ギルルは何も言わず、そっと少年を抱き締めてくれた。
少年の心の中にあった暗い気持ちが晴れていくようであった。
やがて、決心がついた。
少年は石像に手をかけ、破壊しようとしたその時―――。
突然、空から雷が落ちてきて、石像は粉々になった。
少年の手の中には、1枚の紙切れだけ残った。それは手紙だった。
少年に宛てた母の手紙だ。母は、少年のことを愛していたのだ。
姉からも手紙が来た。内容は同じだったが、封筒の色は違っていた。
姉もやはり、少年を愛していたのだ。
最後に、父からのメッセージが届いた。
少年は父に対して素直になれなかった自分を恥じたが、父はそんな息子を受け入れてくれていた。
少年の目からは涙が流れ落ちた。
同時に、少年は自分の中にあった黒い塊が溶け出て行くような気がした。
心の底では、少年はこの島での生活を楽しんでいたのかもしれない。
あるいは、少年はまだ子供なだけで、本当は現実から逃げたいと願っているだけだったのだろうか? 少年自身にも分からないことだった。
ただ分かるのは、自分はもう大人になったということだ。
自分の意志で決めることが出来るようになった。
少年は手紙を破り捨てると、ポケットの中へとしまい込んだ。
こうして、少年は新しい一歩を踏み出したのである。
(了)
ある所に一人の青年がいた。
彼はごく普通の人間で、どこにでも居そうな顔をしている。
しかし、彼を取り巻く環境は普通ではなかった。
彼はいわゆる異世界
二人は固く手を握り合ったまま、涙を流し続けた。
その時、天から声が響いた。
「私はあなた方二人を引き裂こうとしているわけではありません」
それは、今まで聞いたこともないような美しい女性の声だった。
「私の力では、あの石像を完全に破壊することはできません。しかし……」
「それなら大丈夫です!」
少年は涙を拭って言った。
「僕一人だけ残ればいいんです!そうすれば島は救われます!!」
ギルルは何も言わず、そっと少年を抱き締めてくれた。
少年の心の中にあった暗い気持ちが晴れていくようであった。
やがて、決心がついた。
少年は石像に手をかけ、破壊しようとしたその時―――。
突然、空から雷が落ちてきて、石像は粉々になった。
少年の手の中には、1枚の紙切れだけ残った。それは手紙だった。
少年に宛てた母の手紙だ。母は、少年のことを愛していたのだ。
姉からも手紙が来た。内容は同じだったが、封筒の色は違っていた。
姉もやはり、少年を愛していたのだ。
最後に、父からのメッセージが届いた。
少年は父に対して素直になれなかった自分を恥じたが、父はそんな息子を受け入れてくれていた。
少年の目からは涙が流れ落ちた。
同時に、少年は自分の中にあった黒い塊が溶け出て行くような気がした。
心の底では、少年はこの島での生活を楽しんでいたのかもしれない。
あるいは、少年はまだ子供なだけで、本当は現実から逃げたいと願っているだけだったのだろうか? 少年自身にも分からないことだった。
ただ分かるのは、自分はもう大人になったということだ。
自分の意志で決めることが出来るようになった。
少年は手紙を破り捨てると、ポケットの中へとしまい込んだ。
こうして、少年は新しい一歩を踏み出したのである。
(了)
ある所に一人の青年がいた。
彼はごく普通の人間で、どこにでも居そうな顔をしている。
しかし、彼を取り巻く環境は普通ではなかった。
彼はいわゆる異世界
紬
ククルカが奏でるチェンバロの音に乗って、想いが溢れていく……! ***
「―――これが、私の知っている全てですわ」
話し終えたギルルの顔は、少しだけ晴れやかに見えた。
僕は、なんと言えば良いのか分からなかった。
「……えっと」
「なんですの?」
「とりあえず、これ食べる? おいしいよ!」
僕はお弁当箱に入ったサンドイッチを差し出した。
「そんなもの、食べませんわ」
差し出したサンドイッチを引っ込めようとした時、僕の手の上に、ギルルの手が重ねられた。
「でも、いただいてもよろしくってよ」
僕たちはベンチに座って、一緒に食べた。
ギルルはとても美味しそうに、たくさん食べた。
「ところで、あなたの名前はなんていうのですの?」
「ああ、ごめんね。まだ名乗っていなかったね。僕の名前は……」
その時、誰かの声が聞こえた気がして、振り向く。
だけど誰もいなかった。
「どうしましたの?」
「ううん、なんでもないんだ。ちょっと、人を探していてね」
「まぁ、それは大変ですわね。私で良ければ力になりますわよ」
そう言って、少女は微笑んだ。
「ありがとうございます!お姉様!」
「ふぇっ?……私は貴方より年下なのですけれど?」
「あっ!?ごめんなさい!!つい!!」
「いえいえ、気にしませんわ」
少女は優しく笑みを浮かべると、少年の頭を撫でた。
「えへへ~♪」
少年は嬉しそうな声を上げる。
「ところで、貴女の名前を聞いていなかったわね」
「僕はロゼッタって言います!!」
「良い名ですね。ではロゼットと呼びましょう。私の事はマリーと呼んで下さい」
「はい!!!マリーお姉ちゃん!!」
「んー……なんか少し違和感を感じるけど、仕方ないですわね……」
「―――これが、私の知っている全てですわ」
話し終えたギルルの顔は、少しだけ晴れやかに見えた。
僕は、なんと言えば良いのか分からなかった。
「……えっと」
「なんですの?」
「とりあえず、これ食べる? おいしいよ!」
僕はお弁当箱に入ったサンドイッチを差し出した。
「そんなもの、食べませんわ」
差し出したサンドイッチを引っ込めようとした時、僕の手の上に、ギルルの手が重ねられた。
「でも、いただいてもよろしくってよ」
僕たちはベンチに座って、一緒に食べた。
ギルルはとても美味しそうに、たくさん食べた。
「ところで、あなたの名前はなんていうのですの?」
「ああ、ごめんね。まだ名乗っていなかったね。僕の名前は……」
その時、誰かの声が聞こえた気がして、振り向く。
だけど誰もいなかった。
「どうしましたの?」
「ううん、なんでもないんだ。ちょっと、人を探していてね」
「まぁ、それは大変ですわね。私で良ければ力になりますわよ」
そう言って、少女は微笑んだ。
「ありがとうございます!お姉様!」
「ふぇっ?……私は貴方より年下なのですけれど?」
「あっ!?ごめんなさい!!つい!!」
「いえいえ、気にしませんわ」
少女は優しく笑みを浮かべると、少年の頭を撫でた。
「えへへ~♪」
少年は嬉しそうな声を上げる。
「ところで、貴女の名前を聞いていなかったわね」
「僕はロゼッタって言います!!」
「良い名ですね。ではロゼットと呼びましょう。私の事はマリーと呼んで下さい」
「はい!!!マリーお姉ちゃん!!」
「んー……なんか少し違和感を感じるけど、仕方ないですわね……」
紬
競走もない。喧嘩もない。そんな平和な世界で生きてきて、 今更、命をかけて戦うことなど出来ない。
それでも少年は決断しなくてはならない。
ここで逃げれば、少年は二度と現実に戻ることは出来ないだろう。
少年は自分の意志で決めた。石を砕き、大神様を目覚めさせる。
そして、自分の運命と戦うことを
それでも少年は決断しなくてはならない。
ここで逃げれば、少年は二度と現実に戻ることは出来ないだろう。
少年は自分の意志で決めた。石を砕き、大神様を目覚めさせる。
そして、自分の運命と戦うことを
紬
肉まんの匂いとか、お風呂上がりの姉の胸の膨らみとか、一緒に見たアニメの主題歌とか……
少年の心の中で、色々なものが混ざってゆく。
やがて、少年の顔からは表情が失われていく。
ただただ無感動な顔で、少年はギルルを見つめる。
そんな少年を見て、ギルルは悲しそうな顔をして言った。
「私はあなたを愛しています。ですからどうか、私のことも愛してくれませんか?」
そう言って、ギルルは少年を抱き締めようとする。
しかし、それは出来なかった。
なぜなら、少年の姿はすでに人間ではなかったからだ。
そこにいたのは、巨大なドラゴンだった。
少年はドラゴンになりながらも、まだ人としての意識を保っていた。
少年の頭に、ある考えが浮かぶ。
(お母さんに会いたい)
それを考えると同時に、少年の目から涙が流れた。
そして、その瞬間――
少年はドラゴンではなく、人間の姿でその場に立っていた。
「ありがとうございます。私のために泣いてくれて」
ギルルの言葉を聞いて、少年は自分の頬に触れた。
確かにそこには濡れた後があって、自分が涙を流したことを示していた。
でも何故? どうして自分は泣けたのだろう? それが不思議でならなかった。
少年が戸惑っている間に、
少年の心の中で、色々なものが混ざってゆく。
やがて、少年の顔からは表情が失われていく。
ただただ無感動な顔で、少年はギルルを見つめる。
そんな少年を見て、ギルルは悲しそうな顔をして言った。
「私はあなたを愛しています。ですからどうか、私のことも愛してくれませんか?」
そう言って、ギルルは少年を抱き締めようとする。
しかし、それは出来なかった。
なぜなら、少年の姿はすでに人間ではなかったからだ。
そこにいたのは、巨大なドラゴンだった。
少年はドラゴンになりながらも、まだ人としての意識を保っていた。
少年の頭に、ある考えが浮かぶ。
(お母さんに会いたい)
それを考えると同時に、少年の目から涙が流れた。
そして、その瞬間――
少年はドラゴンではなく、人間の姿でその場に立っていた。
「ありがとうございます。私のために泣いてくれて」
ギルルの言葉を聞いて、少年は自分の頬に触れた。
確かにそこには濡れた後があって、自分が涙を流したことを示していた。
でも何故? どうして自分は泣けたのだろう? それが不思議でならなかった。
少年が戸惑っている間に、
紬
河岸の葦原に腰掛けながら、二人は他愛もない話をしていた。
しかしやがて、話題は次第に暗くなっていく。
「お姉ちゃん……」
「うん?」
「お母さんやお父さんに会いたくない?」
「会いたいけど、もう会えないと思う」
「そっかぁ……でも私は会いたいな」
そう言って少女は俯いた。
「私だって本当は会いたいよ」
「じゃあなんでそんなこと言うんだよぉ」
少年は声を
しかしやがて、話題は次第に暗くなっていく。
「お姉ちゃん……」
「うん?」
「お母さんやお父さんに会いたくない?」
「会いたいけど、もう会えないと思う」
「そっかぁ……でも私は会いたいな」
そう言って少女は俯いた。
「私だって本当は会いたいよ」
「じゃあなんでそんなこと言うんだよぉ」
少年は声を
紬
柚子湯の匂いが鼻腔を刺激し、空腹感を覚える。
ふと気付くと、そこは自分の部屋だった。時計を見ると夜中の2時を指している。
どうやら夢を見てしまったようだ。しかし妙な感覚が残っている。
少年は布団から出て立ち上がる。何か大切なことを忘れてしまっている気がするのだ。
部屋の中をぐるりと眺めると、壁に貼られたポスターが目に入った。
それは、自分が好きなアニメの主人公のイラストである。
どこか見覚えのあるキャラクターだった。
そうだ
ふと気付くと、そこは自分の部屋だった。時計を見ると夜中の2時を指している。
どうやら夢を見てしまったようだ。しかし妙な感覚が残っている。
少年は布団から出て立ち上がる。何か大切なことを忘れてしまっている気がするのだ。
部屋の中をぐるりと眺めると、壁に貼られたポスターが目に入った。
それは、自分が好きなアニメの主人公のイラストである。
どこか見覚えのあるキャラクターだった。
そうだ
紬
食べ物とぬいぐるみのお土産を買って帰るつもりだったとか、 もうすぐテストなのに、こんなところに来てる場合じゃない、とか、 このまま帰れなかったらどうしよう、とか……
少年の心は揺れ動き、決断を迫られる。
結局、少年は自分の心を優先させた。
自分の気持ちに従い、自分が一番大事だという結論に至ったのだ。
少年は、ギルルと共に石像を破壊しようとする。
しかし、破壊しようとする直前、石像が爆発して粉々になった。
ギルルも巻き添えになって、吹き飛んでしまう。
少年が慌てて駆け寄ると、そこにいたのは、別人になっていた。
それは少年自身だった。少年は元の世界に戻ってきたのである。
そうして、少年は再び日常に戻るのであった。
少年の心は揺れ動き、決断を迫られる。
結局、少年は自分の心を優先させた。
自分の気持ちに従い、自分が一番大事だという結論に至ったのだ。
少年は、ギルルと共に石像を破壊しようとする。
しかし、破壊しようとする直前、石像が爆発して粉々になった。
ギルルも巻き添えになって、吹き飛んでしまう。
少年が慌てて駆け寄ると、そこにいたのは、別人になっていた。
それは少年自身だった。少年は元の世界に戻ってきたのである。
そうして、少年は再び日常に戻るのであった。
紬
消えてしまう食べ物とは? 消えるとはどういう意味なのか? 少年の心が揺れ動く中、決断の時が訪れる。
少年は石像を壊した。
その時、空が割れ、太陽が現れた。
同時に、島が崩れ始め、海に沈んでいった。
最後に残ったものは、浜辺に打ち上げられた1枚のカード。
そこにはこう書かれていた―――『あなただけの物語』と…………。
(出典:小説家になろう)
「お兄ちゃん!起きてってば!」
妹の声と共に布団を引っぺがされ、僕は目を覚ました。…………んー……朝っぱらから何だよぉ……まだ6時じゃねぇかよぉ……もうちょっと寝かせてくれぇ
少年は石像を壊した。
その時、空が割れ、太陽が現れた。
同時に、島が崩れ始め、海に沈んでいった。
最後に残ったものは、浜辺に打ち上げられた1枚のカード。
そこにはこう書かれていた―――『あなただけの物語』と…………。
(出典:小説家になろう)
「お兄ちゃん!起きてってば!」
妹の声と共に布団を引っぺがされ、僕は目を覚ました。…………んー……朝っぱらから何だよぉ……まだ6時じゃねぇかよぉ……もうちょっと寝かせてくれぇ
紬
記憶は意味がないモノではない。それは確かに存在したのだ。
それを消してしまっていいはずはない。たとえそれが辛い過去であっても……。
「私はあなたを愛しています」
少年の心の中に入り込んだギルルの声が響く。
少年は自分の気持ちを確かめるために、石像を破壊しようとする。
その時、少年の身体から光が溢れ出した。
光に包まれながら、少年は思う。
もし自分の中に、誰かを愛することが出来る強さがあれば、きっとこれからも生きていけると。
『リライト』完 【まえがき】
それを消してしまっていいはずはない。たとえそれが辛い過去であっても……。
「私はあなたを愛しています」
少年の心の中に入り込んだギルルの声が響く。
少年は自分の気持ちを確かめるために、石像を破壊しようとする。
その時、少年の身体から光が溢れ出した。
光に包まれながら、少年は思う。
もし自分の中に、誰かを愛することが出来る強さがあれば、きっとこれからも生きていけると。
『リライト』完 【まえがき】
紬
いつもどこか遠くを見ていて、何を考えているかわからなかった姉。
口うるさくて、勉強しろとばかり言ってくる母。
何かある度に、「死ねば?」と言ってくる妹。
何も言わずに見守ってくれる父。
友達の顔が次々と浮かんでは消える。
自分の気持ちがわからなくなってきて、少年の心は揺れ動く。
そんな時、少年の頭に、声が響いた。
それは、かつて自分を救ってくれた、あの人の声。
少年はその言葉に従い、石像を破壊した。
すると、空は晴れ渡り、海は輝きを取り戻し、島は息を吹き返した。
こうして少年は島の人々に受け入れられ、平和な日々を過ごすようになる。
しかし、少年は知らなかった。
自分が破壊してしまった石像が、本当にただの石像だったことを……。
***
口うるさくて、勉強しろとばかり言ってくる母。
何かある度に、「死ねば?」と言ってくる妹。
何も言わずに見守ってくれる父。
友達の顔が次々と浮かんでは消える。
自分の気持ちがわからなくなってきて、少年の心は揺れ動く。
そんな時、少年の頭に、声が響いた。
それは、かつて自分を救ってくれた、あの人の声。
少年はその言葉に従い、石像を破壊した。
すると、空は晴れ渡り、海は輝きを取り戻し、島は息を吹き返した。
こうして少年は島の人々に受け入れられ、平和な日々を過ごすようになる。
しかし、少年は知らなかった。
自分が破壊してしまった石像が、本当にただの石像だったことを……。
***
紬
4人のご主人様で選んだのは……? ◆第3回カクヨムWeb小説コンテスト 特別賞作品◆ 【あらすじ】
主人公・星見ハルカはごく普通の女子高校生である。
ある日、バイト先の喫茶店で『お嬢様』と呼ばれる美少女と出会う。
彼女は、とある大企業の社長令嬢であり、彼女の父親が経営する会社のために、 アルバイトをしているのだという。
そんな彼女と出会ってしまったせいで、平穏な日常は終わりを告げる。
毎日のように彼女からの電話が鳴り響き、デートに誘われる日々が始まるのだ。
「あなたを私のものにしたいのですわ」
少女はそう言って微笑み、今日も電話をかけてくる――。
【キャラクター紹介】
■星見ハルカ 15歳/高2 ヒロイン1号。
黒髪ロングヘアーの清楚系美女。
誰に対しても優しい性格の持ち主で、クラスでも人気者。
ただし恋愛経験は一切ない。
■桜庭アリサ 17歳/高2 ヒロイン2号。
金髪ツインテールのギャル系美少女。
いつも明るく元気な性格で、クラスのムードメーカー。
見た目とは裏腹に勉強が得意で学級委員を務める優等生の少年は、 クラスメイトとの遊びよりも本を読むことが好きな、おとなしめな少女が好きだった。
明るく元気でいつもクラスの中心にいる人気者の女の子に憧れていたし、 スポーツ万能で誰からも好かれる男の子のことを尊敬していた。
少年にとって、元いた世界は何より大切なものだったのだ。
そんな気持ちを胸に秘めたまま、少年は決断を下す。
自分の想いを犠牲にしてでも、島の人を守りたいと願って。
ギルルの涙を見て、少年は自分の選択が正しいことを確信する。
こうして少年は、大神様とともに消えた。
石像は砕け散り、少年がいた形跡は何もなくなった。
だが
主人公・星見ハルカはごく普通の女子高校生である。
ある日、バイト先の喫茶店で『お嬢様』と呼ばれる美少女と出会う。
彼女は、とある大企業の社長令嬢であり、彼女の父親が経営する会社のために、 アルバイトをしているのだという。
そんな彼女と出会ってしまったせいで、平穏な日常は終わりを告げる。
毎日のように彼女からの電話が鳴り響き、デートに誘われる日々が始まるのだ。
「あなたを私のものにしたいのですわ」
少女はそう言って微笑み、今日も電話をかけてくる――。
【キャラクター紹介】
■星見ハルカ 15歳/高2 ヒロイン1号。
黒髪ロングヘアーの清楚系美女。
誰に対しても優しい性格の持ち主で、クラスでも人気者。
ただし恋愛経験は一切ない。
■桜庭アリサ 17歳/高2 ヒロイン2号。
金髪ツインテールのギャル系美少女。
いつも明るく元気な性格で、クラスのムードメーカー。
見た目とは裏腹に勉強が得意で学級委員を務める優等生の少年は、 クラスメイトとの遊びよりも本を読むことが好きな、おとなしめな少女が好きだった。
明るく元気でいつもクラスの中心にいる人気者の女の子に憧れていたし、 スポーツ万能で誰からも好かれる男の子のことを尊敬していた。
少年にとって、元いた世界は何より大切なものだったのだ。
そんな気持ちを胸に秘めたまま、少年は決断を下す。
自分の想いを犠牲にしてでも、島の人を守りたいと願って。
ギルルの涙を見て、少年は自分の選択が正しいことを確信する。
こうして少年は、大神様とともに消えた。
石像は砕け散り、少年がいた形跡は何もなくなった。
だが
紬
日に当たりたい気持ち。おなかいっぱいご飯を食べたい気持ち。誰かに優しくしたい気持ち。
それは、少年の心の底にあった、本来持っていたはずのものなのかもしれない。
少年は、涙を流す。
泣きながら、石像に手をかける。
石像を破壊する。
そして、石像は砕け散って消えた。
大神様の幻影が現れて、少年に声をかけてくる。
もう大丈夫だ。君は自由だよ、と。
少年は目を覚ます。そこは自分の部屋。ベッドの上だ。時計を見ると朝の7時。
今日は月曜日なので、いつもなら学校に行かなければならない。
でも、なぜか、今はそんな気がしない。
(そうだ! 学校に行く前に、お母さんに会いに行こう
それは、少年の心の底にあった、本来持っていたはずのものなのかもしれない。
少年は、涙を流す。
泣きながら、石像に手をかける。
石像を破壊する。
そして、石像は砕け散って消えた。
大神様の幻影が現れて、少年に声をかけてくる。
もう大丈夫だ。君は自由だよ、と。
少年は目を覚ます。そこは自分の部屋。ベッドの上だ。時計を見ると朝の7時。
今日は月曜日なので、いつもなら学校に行かなければならない。
でも、なぜか、今はそんな気がしない。
(そうだ! 学校に行く前に、お母さんに会いに行こう
紬
名潰しの子守り歌人見知りな僕と、不思議な彼女 僕の隣に住んでいる女の子は変だ。
いつもお面を被っているのだ。
顔を隠すために被っているわけではないらしく、彼女はいつだってお面の隙間から目を覗かせている。
彼女の名前は『狐子』ちゃんと言う。僕は勝手にそう呼んでいるだけだけど。
初めて会った時、彼女はまだ幼かったけど、それでもずば抜けた美人だということは分かった。
でも、そんな彼女と言葉を交わすようになったのはつい最近になってからの話である。
きっかけは単純で、彼女が落としたハンカチを拾ってあげただけだ。
その時の僕は、恥ずかしくて何も言わずに逃げてしまったんだけど……それが間違いだったみたいだ。
翌日、彼女は何故か僕の家までやって来て、いきなり土下座してきた。
どうやら昨日のことを謝りたかったようだ。
ただでさえ目立つ容姿をしている上に、そんな奇行をするものだから近所の人がたくさん集まってくる。
人が集まってきたらもう終わりだ。僕はあっという間に、見世物小屋の一員であるかのように取り囲まれてしまった。
「ほーら! 見てごらんなさい!」
僕を取り囲んでいた大人の一人が、僕の着ていたシャツをまくって腹を見せた。そこにあったのは醜い火傷の跡だった。
「お兄ちゃん可哀想……」
一人の女の子がそう言って涙を流す。周りの子供たちも同じ様に泣いていた。
「みんな、こんなものは見ちゃいけないよ」
母親がそう言いながら子供の目を手で覆う。しかし子供というのは好奇心旺盛なものだ。母親に逆らってでも僕のことを見ていたかったようで、母親は泣き出してしまった。
「お母さん、泣かないでください。大丈夫です。きっと治してみせますから」
僕は母親の背中をさす
いつもお面を被っているのだ。
顔を隠すために被っているわけではないらしく、彼女はいつだってお面の隙間から目を覗かせている。
彼女の名前は『狐子』ちゃんと言う。僕は勝手にそう呼んでいるだけだけど。
初めて会った時、彼女はまだ幼かったけど、それでもずば抜けた美人だということは分かった。
でも、そんな彼女と言葉を交わすようになったのはつい最近になってからの話である。
きっかけは単純で、彼女が落としたハンカチを拾ってあげただけだ。
その時の僕は、恥ずかしくて何も言わずに逃げてしまったんだけど……それが間違いだったみたいだ。
翌日、彼女は何故か僕の家までやって来て、いきなり土下座してきた。
どうやら昨日のことを謝りたかったようだ。
ただでさえ目立つ容姿をしている上に、そんな奇行をするものだから近所の人がたくさん集まってくる。
人が集まってきたらもう終わりだ。僕はあっという間に、見世物小屋の一員であるかのように取り囲まれてしまった。
「ほーら! 見てごらんなさい!」
僕を取り囲んでいた大人の一人が、僕の着ていたシャツをまくって腹を見せた。そこにあったのは醜い火傷の跡だった。
「お兄ちゃん可哀想……」
一人の女の子がそう言って涙を流す。周りの子供たちも同じ様に泣いていた。
「みんな、こんなものは見ちゃいけないよ」
母親がそう言いながら子供の目を手で覆う。しかし子供というのは好奇心旺盛なものだ。母親に逆らってでも僕のことを見ていたかったようで、母親は泣き出してしまった。
「お母さん、泣かないでください。大丈夫です。きっと治してみせますから」
僕は母親の背中をさす
紬
消滅少女わたしは今年、中学三年生になりました。
部活は美術部に入っています。
絵を描くことが好きなのですが、なぜかコンクールに応募しても入選したことがなく、いつも落選してしまいます。
そんなわたしですが、最近気になる人がいます。同じクラスの男の子なんですけど……。
彼の名前は佐藤拓海くんといいます。
顔立ちはとても整っていて可愛い系の顔なのですが、目付きが悪いせいなのかあまりモテません。
性格もいいとは言えず、授業中に先生に当てられて答えられずにいると舌打ちをしたりしますし、体育の授業ではサッカーボールを思い切り蹴って
部活は美術部に入っています。
絵を描くことが好きなのですが、なぜかコンクールに応募しても入選したことがなく、いつも落選してしまいます。
そんなわたしですが、最近気になる人がいます。同じクラスの男の子なんですけど……。
彼の名前は佐藤拓海くんといいます。
顔立ちはとても整っていて可愛い系の顔なのですが、目付きが悪いせいなのかあまりモテません。
性格もいいとは言えず、授業中に先生に当てられて答えられずにいると舌打ちをしたりしますし、体育の授業ではサッカーボールを思い切り蹴って
紬
死心転生錬金陣は、魂だけを抽出し、それを別の肉体に移す魔法である。
しかし、それは人間の肉体ではなく、無機物の身体になってしまう。
つまり、この術を使えば、死んだ人間を復活させることができるのだ。
ただし、蘇生できる人間は一人だけ。しかも、死者の復活を望む相手でなければならない。
復活させる人間が生きている状態でないと、意味がないからだ。
さらに言えば、蘇らせた相手が本当に自分のことを想っているかどうか確かめなければならない。
もし想い合っていれば、お互いの心が通じ合う。その時、復活の儀式を行うと、魂が再び融合して生き返ることができる。
逆に、想い合っていない場合は、相手の記憶を失ってしまう上に、自分が誰かわからないまま生きていくしかなくなる。
錬金術師たちは、禁忌とされている死心転生を使って、自分の好きな相手を蘇らせようと企んだ。
もちろん、そんなことが許されるはずはないのだが……。
『お姉ちゃん』
私を呼ぶ声が聞こえる。私は、ゆっくりと目を開けた。
目の前にいる少女は、私の大切な人。もう二度と会えないと思っていたのに……! 私はあなたを愛してるわ。ずっと一緒にいたいの! たとえそれが許されないことでも! でもあなたがいなくなるなんて耐えられないっ!! こんなのってないよ! ひどいよっ!!! お願い行かないで! 私を置いていかないでぇっ!!! 少年は決断を迫られる。少年にとって、ギルルはとても大事な女の子だ。
しかし、少年の家族や友人たちにとってはどうだろうか? みんなとの絆はどうなるだろう? 少年の心の中に、色々な思いが交錯する。
そんな時、少年は不思議な声を聞く。それは、少年の声に似ていた。
少年はその声に導かれるように、石像の前へ来る。
石像の前に来た少年は、石像に向かって話しかける。
少年は石像の中に入ることにしたのだ。
そして少年は、石像と一体化する。
石像と一体化した少年は、石像の意識の中で目覚める。
そこで見たものは、大神様が、島の人々を次々に消している光景だった。
大神様を止めなければ島は消滅し、人々は帰ることができない。
しかし、それは人間の肉体ではなく、無機物の身体になってしまう。
つまり、この術を使えば、死んだ人間を復活させることができるのだ。
ただし、蘇生できる人間は一人だけ。しかも、死者の復活を望む相手でなければならない。
復活させる人間が生きている状態でないと、意味がないからだ。
さらに言えば、蘇らせた相手が本当に自分のことを想っているかどうか確かめなければならない。
もし想い合っていれば、お互いの心が通じ合う。その時、復活の儀式を行うと、魂が再び融合して生き返ることができる。
逆に、想い合っていない場合は、相手の記憶を失ってしまう上に、自分が誰かわからないまま生きていくしかなくなる。
錬金術師たちは、禁忌とされている死心転生を使って、自分の好きな相手を蘇らせようと企んだ。
もちろん、そんなことが許されるはずはないのだが……。
『お姉ちゃん』
私を呼ぶ声が聞こえる。私は、ゆっくりと目を開けた。
目の前にいる少女は、私の大切な人。もう二度と会えないと思っていたのに……! 私はあなたを愛してるわ。ずっと一緒にいたいの! たとえそれが許されないことでも! でもあなたがいなくなるなんて耐えられないっ!! こんなのってないよ! ひどいよっ!!! お願い行かないで! 私を置いていかないでぇっ!!! 少年は決断を迫られる。少年にとって、ギルルはとても大事な女の子だ。
しかし、少年の家族や友人たちにとってはどうだろうか? みんなとの絆はどうなるだろう? 少年の心の中に、色々な思いが交錯する。
そんな時、少年は不思議な声を聞く。それは、少年の声に似ていた。
少年はその声に導かれるように、石像の前へ来る。
石像の前に来た少年は、石像に向かって話しかける。
少年は石像の中に入ることにしたのだ。
そして少年は、石像と一体化する。
石像と一体化した少年は、石像の意識の中で目覚める。
そこで見たものは、大神様が、島の人々を次々に消している光景だった。
大神様を止めなければ島は消滅し、人々は帰ることができない。
紬
心を新たに作り出された石像の中で、少年を見守る一人の男がいた。
男は思う。今度こそ本当に守ってみせると。
そうして、世界は再び動き出した。
少年の心と共に―――。
「ねえ、お姉ちゃん」
『ん?どうしたの?』
「……なんでもない!」
『なんだよそれー』
私の名前は柊アリス。中学2年生!……えっへん! そんな私は今年受験生になるんだ〜……嫌だけど……。
でもね!勉強しなくても成績はいつも学年1位なんだよね〜♪ これ自慢ですけど何か?w まぁ、それは置いといて、私の目の前にいる女の子は双子の妹の柊舞花。小学6年生だよ!可愛いでしょ!? ちなみに私は高校3年生!!もうすぐ受験なので憂鬱である……。
あ、そうだ。私たち姉妹の紹介がまだだったね。紹介します!まず私が長女の
男は思う。今度こそ本当に守ってみせると。
そうして、世界は再び動き出した。
少年の心と共に―――。
「ねえ、お姉ちゃん」
『ん?どうしたの?』
「……なんでもない!」
『なんだよそれー』
私の名前は柊アリス。中学2年生!……えっへん! そんな私は今年受験生になるんだ〜……嫌だけど……。
でもね!勉強しなくても成績はいつも学年1位なんだよね〜♪ これ自慢ですけど何か?w まぁ、それは置いといて、私の目の前にいる女の子は双子の妹の柊舞花。小学6年生だよ!可愛いでしょ!? ちなみに私は高校3年生!!もうすぐ受験なので憂鬱である……。
あ、そうだ。私たち姉妹の紹介がまだだったね。紹介します!まず私が長女の
紬
死者の記憶と現在を結びつけることで、過去へとさかのぼっていく話である。
母との想い出。姉との想い出。友人との想い出。学校での出来事。
それら一つ一つが、今ここにいない人への強い思いとなって少年の心の中に蘇ってくる。
同時にそれは、自分にとって大切な人は、もう二度と会えないかもしれないということでもある。
少年は、記憶の中の人物と現在の自分を重ね合わせていく。
やがて少年は一つの答えを出す。自分の気持ちに従うべきだ、と。
石像を破壊すると決めた
母との想い出。姉との想い出。友人との想い出。学校での出来事。
それら一つ一つが、今ここにいない人への強い思いとなって少年の心の中に蘇ってくる。
同時にそれは、自分にとって大切な人は、もう二度と会えないかもしれないということでもある。
少年は、記憶の中の人物と現在の自分を重ね合わせていく。
やがて少年は一つの答えを出す。自分の気持ちに従うべきだ、と。
石像を破壊すると決めた
紬
溯行かないで……! 母さん……姉ちゃん……!! 友達……みんなぁ!!! もう会えないなんて嫌だよぉっ……!′′ 少年の心からの叫びと共に、石像を破壊すると、空が割れた。
そして少年の姿は消えた。残されたのは、砕けた石像だけ―――。
そして少年の姿は消えた。残されたのは、砕けた石像だけ―――。
紬
本当に愚行なのは?
愚かな行動を取る者は誰なのか? それが問題になる。
例えば、自分より優れた人物を見て嫉妬し、それを否定して自分が上である事を主張するために、相手の欠点を探し出し、攻撃する人間もいるだろう。
自分の価値観を相手に押し付けるために、「私はこう思う」、「あなたとは違う」等と言い張り、相手に有無を言わせない態度を取る事もあるかもしれない。
あるいは、「自分は正しい」「間違っていない」
愚かな行動を取る者は誰なのか? それが問題になる。
例えば、自分より優れた人物を見て嫉妬し、それを否定して自分が上である事を主張するために、相手の欠点を探し出し、攻撃する人間もいるだろう。
自分の価値観を相手に押し付けるために、「私はこう思う」、「あなたとは違う」等と言い張り、相手に有無を言わせない態度を取る事もあるかもしれない。
あるいは、「自分は正しい」「間違っていない」
紬
いったい誰の心なのか分からないほどに混沌とした気持ちの中、少年は選択を迫られる。
大神様を封印するか、それとも……? やがて少年が出した答えは―――。
大神様を封印するか、それとも……? やがて少年が出した答えは―――。
紬
石像になりたい少年と、それを望む少女の物語。
それは同時に、人間であることへの希望の物語でもある。
―――石になるってどんな感じなのかしら? わたしはそんなことを考えながら歩いていた。
石になったらもう何も考えなくてすむわよね。でもきっと動けないのだろうなぁ…………。ずっとそのまま動かずにいるなんて嫌だもの。それにご飯を食べることもできない。やっぱり死ぬのと同じじゃないかしら。そう考えるとなんだか怖い。もし自分が死んだときのことを想像してみたけど怖くて涙が出そうになっただけだった。
どうしてこんな目に遭わなきゃいけないんだろう? 僕が何をしたっていうんだろうか? 何のために僕はここに来たんだろう? どうして僕の家はなくなってしまったんだろう? どうしてお父さんやお母さんやお姉ちゃんたちはいなくなったんだろう? もう誰もいない。会いたい人はどこにもいない。
でも、それでも、やっぱり帰りたかった。
少年の心の中に、今まで出会った人々の顔が次々と浮かんでは消えた。
それは、少年にとってかけがえのない記憶であり、大切な絆だった。
そして少年は決断する。
自分がどうなったってかまわない! 島のみんなを救えるなら……!! 少年は大神様に向かって駆け出し、飛びかかった。
しかし、次の瞬間、石像の中から炎が巻き起こり、少年を吹き飛ばした。
「お前など認めない!!」
石像の中の大神様の声が響くと同時に、石像は砕け散った。
石像に封じられていた全ての神々が解放されたのだ。
それと同時に、島は消滅した。
残された人々は悲しみに包まれたが、それでも希望を失わなかった。
なぜならば、彼らは、少年のことを知っていたからだ。
少年の名は、タケル。かつてこの世界で生きていた少年の名前である。
タケルは、自分の部屋にいた。
机の上には、一枚の写真立てが置かれている。
それは同時に、人間であることへの希望の物語でもある。
―――石になるってどんな感じなのかしら? わたしはそんなことを考えながら歩いていた。
石になったらもう何も考えなくてすむわよね。でもきっと動けないのだろうなぁ…………。ずっとそのまま動かずにいるなんて嫌だもの。それにご飯を食べることもできない。やっぱり死ぬのと同じじゃないかしら。そう考えるとなんだか怖い。もし自分が死んだときのことを想像してみたけど怖くて涙が出そうになっただけだった。
どうしてこんな目に遭わなきゃいけないんだろう? 僕が何をしたっていうんだろうか? 何のために僕はここに来たんだろう? どうして僕の家はなくなってしまったんだろう? どうしてお父さんやお母さんやお姉ちゃんたちはいなくなったんだろう? もう誰もいない。会いたい人はどこにもいない。
でも、それでも、やっぱり帰りたかった。
少年の心の中に、今まで出会った人々の顔が次々と浮かんでは消えた。
それは、少年にとってかけがえのない記憶であり、大切な絆だった。
そして少年は決断する。
自分がどうなったってかまわない! 島のみんなを救えるなら……!! 少年は大神様に向かって駆け出し、飛びかかった。
しかし、次の瞬間、石像の中から炎が巻き起こり、少年を吹き飛ばした。
「お前など認めない!!」
石像の中の大神様の声が響くと同時に、石像は砕け散った。
石像に封じられていた全ての神々が解放されたのだ。
それと同時に、島は消滅した。
残された人々は悲しみに包まれたが、それでも希望を失わなかった。
なぜならば、彼らは、少年のことを知っていたからだ。
少年の名は、タケル。かつてこの世界で生きていた少年の名前である。
タケルは、自分の部屋にいた。
机の上には、一枚の写真立てが置かれている。
紬
何かに似ている部屋それはあなたの部屋です あなたの部屋にあるもの それはあなた自身 自分の部屋の空気感ってなんだろう? そんな疑問を持つ人は多いと思う。私もその一人だ。
私は今、実家に住んでいるのだが、自室がとても狭いため、引っ越しを考えていたのだ。
そこで考えたのが、自分が好きなものを詰め込んだ空間を作ってしまえば良いのではないかと言うことだ。
そうして少年は決断をする。
島の人を救うために、石像を破壊することを。
それは同時に、自分の大切なものを捨て去るということでもあった……。
石像の破壊後、少年は気を失った。
目が覚めるとそこは、見慣れない部屋だった。
ベッドの横には、あの時会ったギルルがいた。
どうやら少年は、病院にいるらしい。
少年は、ギルルの話を聞くうちに、記憶を取り戻していく。
そして、自分が本当にここに居るべき人間ではないことも理解していった。
少年は自分の気持ちを伝えるために、病室を出た。
外では雨が降っていた。少年の心を表すかのように、空模様も荒れている。
そこにギルルが現れた。
少年はギルルに告白し、受け入れられた。
二人は幸せに包まれるが、そんな二人を邪魔するように、声が聞こえてくる
私は今、実家に住んでいるのだが、自室がとても狭いため、引っ越しを考えていたのだ。
そこで考えたのが、自分が好きなものを詰め込んだ空間を作ってしまえば良いのではないかと言うことだ。
そうして少年は決断をする。
島の人を救うために、石像を破壊することを。
それは同時に、自分の大切なものを捨て去るということでもあった……。
石像の破壊後、少年は気を失った。
目が覚めるとそこは、見慣れない部屋だった。
ベッドの横には、あの時会ったギルルがいた。
どうやら少年は、病院にいるらしい。
少年は、ギルルの話を聞くうちに、記憶を取り戻していく。
そして、自分が本当にここに居るべき人間ではないことも理解していった。
少年は自分の気持ちを伝えるために、病室を出た。
外では雨が降っていた。少年の心を表すかのように、空模様も荒れている。
そこにギルルが現れた。
少年はギルルに告白し、受け入れられた。
二人は幸せに包まれるが、そんな二人を邪魔するように、声が聞こえてくる
紬
見覚えない?あってもあなたは崩壊するだけだけど 夢見る?あなたの未来を? そんなものはないわ そうやってあなたは死んでいく あなたの人生は終わってしまう でも大丈夫 わたしがいるから なによりも愛してあげる もう何も心配しなくていい 何度だってやり直せるんだから さあ一緒に行きましょう 誰もいない場所に ここはどこなのかって? 天国じゃないけど地獄でもないところよ ここには何でもある 食べ物も飲み物もある ここにあるもの
紬
どこかでやったおまじない。
お母さんの声が聞こえてくるような気がして。
お父さんの顔が見えるような気がして。
姉ちゃんの手を握っている感触を思い出しながら、僕は眠りについたんだ。
――だけど目を覚ますとそこは……異世界だった。
☆★☆
「えっ!?」
目が覚めたら、森の中にいた。しかも見たこともない変な生き物がいっぱいいた。
僕のことを見下ろしているのは、トカゲみたいな顔で牙があって尻尾が生えてる謎の生物。
何これ? なんでこんなところに僕が寝てたんだろう。そういえばここどこだっけ? 森ってことは分かるんだけど、どうしてここにいるんだろう。昨日の夜は何をしていたんだろうか。記憶がない。そもそも自分の名前はなんだっけ? 分からない。何もかも分からなかった。でもなぜか目の前にいるモンスターを見ても恐怖を感じていない自分がいることだけは分かった。
「グギャッ! ガアァ!」
「ひっ!?」
モンスターが吠えると、周囲の木々がざわめき始める。何か良くないことが起きている予感がした。
逃げないとヤバいと思って立ち上がろうとしたけど、身体が全く動かない。金縛りにあったみたいだ。それでもなんとか動こうとしているうちに、さらに状況は悪化していった。
気付けば周りを大量のモンスターに囲まれてしまっていたのだ。
「グルルルゥウウッ!!」
「うわぁあああっ!!?」
一体だけじゃなくて何十体もいる。よく見れば、どの個体も人間のような顔をしていた。
みんな血走った目でこっちを見つめていて、口の端からは唾液が垂れている。まるで獲物を前に舌なめずりしているかのような感じだ。
そんな光景を見た途端、全身の血が引いていくのを感じた。これは
お母さんの声が聞こえてくるような気がして。
お父さんの顔が見えるような気がして。
姉ちゃんの手を握っている感触を思い出しながら、僕は眠りについたんだ。
――だけど目を覚ますとそこは……異世界だった。
☆★☆
「えっ!?」
目が覚めたら、森の中にいた。しかも見たこともない変な生き物がいっぱいいた。
僕のことを見下ろしているのは、トカゲみたいな顔で牙があって尻尾が生えてる謎の生物。
何これ? なんでこんなところに僕が寝てたんだろう。そういえばここどこだっけ? 森ってことは分かるんだけど、どうしてここにいるんだろう。昨日の夜は何をしていたんだろうか。記憶がない。そもそも自分の名前はなんだっけ? 分からない。何もかも分からなかった。でもなぜか目の前にいるモンスターを見ても恐怖を感じていない自分がいることだけは分かった。
「グギャッ! ガアァ!」
「ひっ!?」
モンスターが吠えると、周囲の木々がざわめき始める。何か良くないことが起きている予感がした。
逃げないとヤバいと思って立ち上がろうとしたけど、身体が全く動かない。金縛りにあったみたいだ。それでもなんとか動こうとしているうちに、さらに状況は悪化していった。
気付けば周りを大量のモンスターに囲まれてしまっていたのだ。
「グルルルゥウウッ!!」
「うわぁあああっ!!?」
一体だけじゃなくて何十体もいる。よく見れば、どの個体も人間のような顔をしていた。
みんな血走った目でこっちを見つめていて、口の端からは唾液が垂れている。まるで獲物を前に舌なめずりしているかのような感じだ。
そんな光景を見た途端、全身の血が引いていくのを感じた。これは
紬
神に接待されたことない?なら俺が教えてやるぜ!
(*^_^*)
お賽銭入れて手を合わせるだけじゃダメなんだぞ!? ちゃんとお祈りしないとな! ほらっ、一緒にやってみよう! 【挨拶】
こんにちわー。今日も良い天気ですね~。
それでは早速、神社へレッツゴー!! えっと……確かこっちの方にあったはず……あっ、あった! あの大きな樹の下だよ。ちょっと隠れてるけど分かるかな? そう、それが『御神木』だ。樹齢千年くらいあるんだってさ。
凄いだろ。もっとよく見てみよう。幹に手を当ててみると良いよ。
どうだい、何か感じるかい? そっか、何も感じないかぁ。残念だけど仕方がないよね。
まあ焦らずともそのうちきっと感じられるようになるさ。それまで気長に待とうじゃないか。
おっ、やっと来てくれたね。待ちかねたよ。
ん? 何してたかだって? そりゃもちろん参拝客の対応をしていたんだよ。
神社の管理人としては当然の仕事だろう? 君が来るのを待ってたらいつの間にかこんな時間になってしまったんだ。
まったく、君は本当に無愛想だね。もう少し笑顔を見せてくれないものだろうか? ああ、分かった。分かったから
(*^_^*)
お賽銭入れて手を合わせるだけじゃダメなんだぞ!? ちゃんとお祈りしないとな! ほらっ、一緒にやってみよう! 【挨拶】
こんにちわー。今日も良い天気ですね~。
それでは早速、神社へレッツゴー!! えっと……確かこっちの方にあったはず……あっ、あった! あの大きな樹の下だよ。ちょっと隠れてるけど分かるかな? そう、それが『御神木』だ。樹齢千年くらいあるんだってさ。
凄いだろ。もっとよく見てみよう。幹に手を当ててみると良いよ。
どうだい、何か感じるかい? そっか、何も感じないかぁ。残念だけど仕方がないよね。
まあ焦らずともそのうちきっと感じられるようになるさ。それまで気長に待とうじゃないか。
おっ、やっと来てくれたね。待ちかねたよ。
ん? 何してたかだって? そりゃもちろん参拝客の対応をしていたんだよ。
神社の管理人としては当然の仕事だろう? 君が来るのを待ってたらいつの間にかこんな時間になってしまったんだ。
まったく、君は本当に無愛想だね。もう少し笑顔を見せてくれないものだろうか? ああ、分かった。分かったから
紬
召喚ではなくて捕獲してるのなら、帰る方法はあるはずだよね? でも帰れないってことは、つまり……そういうことだよね。
私にとって異世界はゲームの中のようなものでしかなかった。
もちろん現実ではありえないことが当たり前のように起こるけれど、それでもどこか他人事のように感じていたんだと思う。
それがあの日を境に変わってしまった。
――あの日。
それは私がいつも通りログインをした時のことだった。
「……え?」
最初に見えたのは大きな大きな扉。
まるで物語に出てくるような荘厳な門構えを見て私は目を疑った。
だってこんなもの見たことがないし、そもそもこれはVRMMOなんだから目の前にあるわけがないんだよ。
「……どういうこと?」
意味がわからなかった。
周りを見渡せばそこはファンタジー世界のお城みたいな場所で、どう考えてもこの光景はおかしい。
そんな私の疑問に応えてくれたのはすぐ傍にいた人物だった。
『ようこそおいでくださいました』
そう言って頭を下げたのはメイド服を着た女性だった。
だけどその姿は現実のものではなくて、なんだろう……いわゆるアニメ調のキャラクターみたいになっていた。
「えっと、あなたは一体誰ですか?」
いきなり声をかけられたことに驚きつつも尋ねれば彼女は
私にとって異世界はゲームの中のようなものでしかなかった。
もちろん現実ではありえないことが当たり前のように起こるけれど、それでもどこか他人事のように感じていたんだと思う。
それがあの日を境に変わってしまった。
――あの日。
それは私がいつも通りログインをした時のことだった。
「……え?」
最初に見えたのは大きな大きな扉。
まるで物語に出てくるような荘厳な門構えを見て私は目を疑った。
だってこんなもの見たことがないし、そもそもこれはVRMMOなんだから目の前にあるわけがないんだよ。
「……どういうこと?」
意味がわからなかった。
周りを見渡せばそこはファンタジー世界のお城みたいな場所で、どう考えてもこの光景はおかしい。
そんな私の疑問に応えてくれたのはすぐ傍にいた人物だった。
『ようこそおいでくださいました』
そう言って頭を下げたのはメイド服を着た女性だった。
だけどその姿は現実のものではなくて、なんだろう……いわゆるアニメ調のキャラクターみたいになっていた。
「えっと、あなたは一体誰ですか?」
いきなり声をかけられたことに驚きつつも尋ねれば彼女は
紬
神様は装備品だから装備しないと意味がない。
でも装備したら強くなっちゃって敵わない!どうしよう!? そんな時に使える裏技です。
【スキル】
〈剣〉 〈盾〉 〈鎧〉 〈兜〉 〈靴〉 〈腕輪〉 〈指輪〉 〈首飾り〉 〈耳飾り〉 〈髪飾り〉 〈杖〉 〈本〉 〈ペンダント〉 〈イヤリング〉 〈ネックレス〉 〈ピアス〉 etc……..etc……. 【ステータス画面】
※()内はレベル補正値
HP:100/100(+10)
でも装備したら強くなっちゃって敵わない!どうしよう!? そんな時に使える裏技です。
【スキル】
〈剣〉 〈盾〉 〈鎧〉 〈兜〉 〈靴〉 〈腕輪〉 〈指輪〉 〈首飾り〉 〈耳飾り〉 〈髪飾り〉 〈杖〉 〈本〉 〈ペンダント〉 〈イヤリング〉 〈ネックレス〉 〈ピアス〉 etc……..etc……. 【ステータス画面】
※()内はレベル補正値
HP:100/100(+10)
紬
スカーレットブックに見覚えがありませんか? それは貴方の記憶なんですよ……。
本棚に並んだ本の背表紙を見て、ふと思うことがある。
私が子供の頃読んだあの物語はどこにいったんだろうって。
私は子供の頃、母の実家にあった書庫に入り浸っていた時期があった。祖母の書斎兼居間のような部屋だ。
大きな窓があって庭に面したそこは昼間でも薄暗くて埃っぽくて、子供ながらに不気味に思っていた記憶がある。
けれどその部屋にあるたくさんの本が私にとっては宝箱みたいなもので、毎日のように入り浸り、時には寝食を忘れるほどに夢中になっていた。
そんなある日のことだった。
当時住んでいた家の近くに図書館ができ、子供向けの読み聞かせ会が頻繁に行われていた。
『お話を聞きましょう』と題されたそれに参加したのは本当に偶然で、普段は絵本なんて読まないし借りてもこないんだけど、なんとなく行ってみたのだ。
そこで聞いた話がとても面白かったのを覚えてる。
内容は確かこうだ。
とあるところに一人の少女がいた。彼女は病弱でベッドの上で過ごすことが多く、いつも退屈していたそうだ。
そんな彼女にある日不思議な出会いが訪れる。
その相手というのが、魔女だった。
彼女は自分の病気を治してくれる薬の材料を探して旅をしている途中だという。
少女はその話をすっかり気に入ってしまい、何度もせがんで話を聞いた。
そしてとうとう、魔女は彼女の病を治し、少年の命を救った。
しかし魔女にとってそれは大きな代償を払う行為であった。
彼は力を使い果たし、倒れてしまったのだ。
倒れた彼の身体からは白い光が溢れ出し、空へと昇っていく。
それを見た彼女は言った。「あなたはもうすぐ死ぬんだわ」
少年はその言葉を聞きながら意識を失った。
目が覚めるとそこは真っ白な部屋の中でベッドの上にいた。
どうやら天国でも地獄でもないようだ。
僕は生きている?
「おはようございます」
声の方を見ると、あの時の少女がいた。
「えっ……君は一体誰?」
僕がそう尋ねると、少し悲しげな表情を浮かべて答えてくれた。
「私は死神です
本棚に並んだ本の背表紙を見て、ふと思うことがある。
私が子供の頃読んだあの物語はどこにいったんだろうって。
私は子供の頃、母の実家にあった書庫に入り浸っていた時期があった。祖母の書斎兼居間のような部屋だ。
大きな窓があって庭に面したそこは昼間でも薄暗くて埃っぽくて、子供ながらに不気味に思っていた記憶がある。
けれどその部屋にあるたくさんの本が私にとっては宝箱みたいなもので、毎日のように入り浸り、時には寝食を忘れるほどに夢中になっていた。
そんなある日のことだった。
当時住んでいた家の近くに図書館ができ、子供向けの読み聞かせ会が頻繁に行われていた。
『お話を聞きましょう』と題されたそれに参加したのは本当に偶然で、普段は絵本なんて読まないし借りてもこないんだけど、なんとなく行ってみたのだ。
そこで聞いた話がとても面白かったのを覚えてる。
内容は確かこうだ。
とあるところに一人の少女がいた。彼女は病弱でベッドの上で過ごすことが多く、いつも退屈していたそうだ。
そんな彼女にある日不思議な出会いが訪れる。
その相手というのが、魔女だった。
彼女は自分の病気を治してくれる薬の材料を探して旅をしている途中だという。
少女はその話をすっかり気に入ってしまい、何度もせがんで話を聞いた。
そしてとうとう、魔女は彼女の病を治し、少年の命を救った。
しかし魔女にとってそれは大きな代償を払う行為であった。
彼は力を使い果たし、倒れてしまったのだ。
倒れた彼の身体からは白い光が溢れ出し、空へと昇っていく。
それを見た彼女は言った。「あなたはもうすぐ死ぬんだわ」
少年はその言葉を聞きながら意識を失った。
目が覚めるとそこは真っ白な部屋の中でベッドの上にいた。
どうやら天国でも地獄でもないようだ。
僕は生きている?
「おはようございます」
声の方を見ると、あの時の少女がいた。
「えっ……君は一体誰?」
僕がそう尋ねると、少し悲しげな表情を浮かべて答えてくれた。
「私は死神です
紬
色違い厳選頑張ってね! コメント欄で応援してね~♪
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
「……お兄ちゃん?」
突然のことで驚いたけど、よく見ると、お姉ちゃんの肩越しに見えるその姿は紛れもない兄のものだった。
わたしは思わず駆け寄り、
「大丈夫?!」
そう声をかけた。
しかし返事はない。
どうしよう……意識がないみたい……。
「ちょっと待っててね」
とりあえず、救急車を呼ぼうとしたら、
「あっ、もうすぐ来ると思うんで……」
そう言ってお姉ちゃんは携帯を取り出し電話をかけ始める。
しばらくしてやってきた救急隊員によって、すぐに運ばれていった。
「じゃ
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
「……お兄ちゃん?」
突然のことで驚いたけど、よく見ると、お姉ちゃんの肩越しに見えるその姿は紛れもない兄のものだった。
わたしは思わず駆け寄り、
「大丈夫?!」
そう声をかけた。
しかし返事はない。
どうしよう……意識がないみたい……。
「ちょっと待っててね」
とりあえず、救急車を呼ぼうとしたら、
「あっ、もうすぐ来ると思うんで……」
そう言ってお姉ちゃんは携帯を取り出し電話をかけ始める。
しばらくしてやってきた救急隊員によって、すぐに運ばれていった。
「じゃ
紬
借りてきてもめんどくさいものはやっぱり返したくない。
しかし、そんなわがままばかり言ってはいられない。
仕方なく僕は返すことにしたのだが、やはり面倒なので返さないことにした。
でもどうせ後々になって、返却期限が迫ってくるものだし、結局は返さなければならないのだ。
ならいっそ、もうこのまま持っていてもいいのではないか? というわけで、僕はまだ借りたままの本を持って帰ることにした。
次の日の放課後。いつも通り図書室へ行ってみると、先生の姿はなかった。
まだ職員室に残って仕事をしているのだろうか。
とりあえず僕はカウンターの前に行き、貸し出し処理をする。
今日は何を読もうかな……などと考えていると、不意に声をかけられた。
「あの、すいません」
顔を上げると、そこにいたのは見知らぬ女子生徒であった。
見覚えがない。おそらく同学年だろうけど、学年が違うクラスの生徒なのかもしれない。
まぁ、僕の知り合いなんて数えるほどしかいないんだけど。
「なんですか?」
一応敬語で返事してみる。相手は先輩かもしれないからだ。
「この本を借りたいんですけれど」
そう言いながら彼女は一冊の本をカウンターに置いた。それは昨日僕が返した本と同じものだった。
『夢』を見ているのは、果たして誰なのか? それはあなた自身かもしれないし……
***
『夢』を見ているのは、一体誰かしら? 私はそれを確かめたくて、この本を書いたの。
でも、私の書いた文章を読んだ人が、『夢』を見たとは限らないわよね。
それならそれでいいの。私が書いたのはあくまでフィクションなんだもの。
ただ、もしあなたの小説の中に『夢』が出て来るのならば、それがどんな形で現れたのか教えてほしいな。
もちろん、小説じゃなくてもいい。映画とかアニメとか漫画とか
しかし、そんなわがままばかり言ってはいられない。
仕方なく僕は返すことにしたのだが、やはり面倒なので返さないことにした。
でもどうせ後々になって、返却期限が迫ってくるものだし、結局は返さなければならないのだ。
ならいっそ、もうこのまま持っていてもいいのではないか? というわけで、僕はまだ借りたままの本を持って帰ることにした。
次の日の放課後。いつも通り図書室へ行ってみると、先生の姿はなかった。
まだ職員室に残って仕事をしているのだろうか。
とりあえず僕はカウンターの前に行き、貸し出し処理をする。
今日は何を読もうかな……などと考えていると、不意に声をかけられた。
「あの、すいません」
顔を上げると、そこにいたのは見知らぬ女子生徒であった。
見覚えがない。おそらく同学年だろうけど、学年が違うクラスの生徒なのかもしれない。
まぁ、僕の知り合いなんて数えるほどしかいないんだけど。
「なんですか?」
一応敬語で返事してみる。相手は先輩かもしれないからだ。
「この本を借りたいんですけれど」
そう言いながら彼女は一冊の本をカウンターに置いた。それは昨日僕が返した本と同じものだった。
『夢』を見ているのは、果たして誰なのか? それはあなた自身かもしれないし……
***
『夢』を見ているのは、一体誰かしら? 私はそれを確かめたくて、この本を書いたの。
でも、私の書いた文章を読んだ人が、『夢』を見たとは限らないわよね。
それならそれでいいの。私が書いたのはあくまでフィクションなんだもの。
ただ、もしあなたの小説の中に『夢』が出て来るのならば、それがどんな形で現れたのか教えてほしいな。
もちろん、小説じゃなくてもいい。映画とかアニメとか漫画とか
紬
ブルーベリータルトのような甘酸っぱくて懐かしい味の記憶、 チョコレートケーキのようなほろ苦くて切ない記憶、 レモンパイのような爽やかな酸味のある記憶……
少年の心の中にはたくさんの思い出があって、とてもじゃないけど選べなかった。
そんなとき、ふっと浮かんできた言葉があった。
『どんなに遠くても、忘れなければ大丈夫だよ』
それは、少年の姉の言葉だった。
少年はその言葉を胸に秘めると、石像の破壊を決意した。
破壊を終えた後、少年は石化してしまった。
石化した少年を見て、ギルルは涙を流す。それは、悲しみではなく、喜びの涙だ。
そして二人は抱き合う。そして……
石化していた少年は、目を覚ます。どうやら夢を見てしまったようだ。
夢の中とはいえ、自分に似た少年が悲しい目にあっていたのだ。目覚めが悪い。
ベッドの上で横になったまま、少年はつぶやく。
「一体何の夢を見たんだろう? よく覚えていないけど……」
すると、部屋の入り口にあるドアが開き、一人の少女が現れた。
少女の名前はギルル。島の原住民であり、お嫁さんの候補でもある。
「おはようございます。今日もいい天気ですよ?」
そう言って、ギルルは笑顔を浮かべながら、窓の外を見る。
外では鳥たちが楽し気に鳴いている。とても平和な朝だ。
「ん~! いい気持ちですね!」
ギルルは大きく伸びをする。白いワンピースに包まれた胸が大きく揺れる。
そんな彼女を見ながら、少年は思う。
(ギルルって本当に可愛いんだよなぁ)
ふわっとした金髪に碧眼。顔立ちは整っており、スタイルも抜群。
性格も明るくて優しく、料理上手で家事全般が得意。欠点なんてない。
少年にとって、彼女はまさに理想の女性だ。
少年の心の中にはたくさんの思い出があって、とてもじゃないけど選べなかった。
そんなとき、ふっと浮かんできた言葉があった。
『どんなに遠くても、忘れなければ大丈夫だよ』
それは、少年の姉の言葉だった。
少年はその言葉を胸に秘めると、石像の破壊を決意した。
破壊を終えた後、少年は石化してしまった。
石化した少年を見て、ギルルは涙を流す。それは、悲しみではなく、喜びの涙だ。
そして二人は抱き合う。そして……
石化していた少年は、目を覚ます。どうやら夢を見てしまったようだ。
夢の中とはいえ、自分に似た少年が悲しい目にあっていたのだ。目覚めが悪い。
ベッドの上で横になったまま、少年はつぶやく。
「一体何の夢を見たんだろう? よく覚えていないけど……」
すると、部屋の入り口にあるドアが開き、一人の少女が現れた。
少女の名前はギルル。島の原住民であり、お嫁さんの候補でもある。
「おはようございます。今日もいい天気ですよ?」
そう言って、ギルルは笑顔を浮かべながら、窓の外を見る。
外では鳥たちが楽し気に鳴いている。とても平和な朝だ。
「ん~! いい気持ちですね!」
ギルルは大きく伸びをする。白いワンピースに包まれた胸が大きく揺れる。
そんな彼女を見ながら、少年は思う。
(ギルルって本当に可愛いんだよなぁ)
ふわっとした金髪に碧眼。顔立ちは整っており、スタイルも抜群。
性格も明るくて優しく、料理上手で家事全般が得意。欠点なんてない。
少年にとって、彼女はまさに理想の女性だ。
紬
表示されるそれらを人として認めた時、石像は砕け散って、 島のどこかへと吹き飛んでいった。
こうして、島は守られた。
少年たちの心を残して……。
「さあ・・ともに 願いを一つにして 大いなる暗黒に 身をゆだねて 心盗む
こうして、島は守られた。
少年たちの心を残して……。
「さあ・・ともに 願いを一つにして 大いなる暗黒に 身をゆだねて 心盗む
紬
群生生物の被り物は人であるか? それとも人ではない何かであるのか? 人は人としか交流できないのか? 群生生物が人と交流するにはどうしたら良いか? そんなことを考えながら書いた話です。
人が人を喰らう世界で、人に擬態して生活する化け物が主人公。
主人公が人間社会の中で生きていくために、「人になる」ことを目標とする物語。
主人公はある日、
人が人を喰らう世界で、人に擬態して生活する化け物が主人公。
主人公が人間社会の中で生きていくために、「人になる」ことを目標とする物語。
主人公はある日、
紬
半端者が好きな自分への嫌悪。
両親や姉に対する罪悪感。
自分の居場所が無いという焦燥感。
少年の心は悲鳴を上げる。
少年の目からは涙が流れる。
やがて少年の中で何かが弾けた。
そして少年の手の中には、一つの鍵が現れた。
少年はそれを握りしめる。
瞬間、少年の姿はその場から消えた。
少年がいた場所には、一枚のカードが落ちていた。
カードはこう書かれていた。
「絶望の鍵」
――END――
あるところに一人の男がいました。男は真面目で誠実な性格
両親や姉に対する罪悪感。
自分の居場所が無いという焦燥感。
少年の心は悲鳴を上げる。
少年の目からは涙が流れる。
やがて少年の中で何かが弾けた。
そして少年の手の中には、一つの鍵が現れた。
少年はそれを握りしめる。
瞬間、少年の姿はその場から消えた。
少年がいた場所には、一枚のカードが落ちていた。
カードはこう書かれていた。
「絶望の鍵」
――END――
あるところに一人の男がいました。男は真面目で誠実な性格
紬
着飾らないきみがなんて好みなんだってことをぼくは知っているんだけれど でもそれはきっと気まぐれなだけだろうし、すぐに忘れちゃうんだろうと決めつけながら 今日もいつもと同じ道を歩いていた 隣にいる彼女は少し照れくさそうにうつむいている 君が何を考えているのか知りたくて横目で見るけどよくわからないまま時間が過ぎていく どうせならもっと早く出会っていればよかった
紬
―――それは、ある冬の日の事であった。
「うー……寒いなぁ……」
白い息と共にそんな独り言を吐き出しながら、俺は寒空の下を歩いていた。
時刻は既に夜の七時を過ぎており、外灯の少ない田舎の夜道を歩く人の姿はほとんど見当たらない。街灯に照らされる雪だけが視界の端にちらつく中、俺は大きく溜息をつく。
(早く帰って温かい風呂に入りたいぜ)
そう思いながら家路を急ぐ。
今日は土曜日だという事で午前中だけ授業があったが、その後は特に予定もなかった為真っ直ぐ帰宅する事にしたのだ。
何せ明日は日曜日であり、明後日は祝日なので学校は休みである。つまり今週の授業は全て終わり、後はもう来週の月曜まで自由の身という訳だ。
まあ冬休みに入るまではもう少し日数があるので気が早いかもしれないが、それでもあと数日も経てば、新学期が始まるのだなぁと思うと少し憂鬱になるのも事実である。何せ春になれば高校三年生であり受験生でもあるわけだし……。
(って言っても別にそこまで受験勉強してないけど)
しかし、やはり今年の一年間は今までの人生の中でも大きなターニングポイントになりそうな予感はある。それは大学受験だけじゃなくて、俺自身の人生そのものに大きな影響を及ぼすようなそんな一年間になると漠然とではあるが
「うー……寒いなぁ……」
白い息と共にそんな独り言を吐き出しながら、俺は寒空の下を歩いていた。
時刻は既に夜の七時を過ぎており、外灯の少ない田舎の夜道を歩く人の姿はほとんど見当たらない。街灯に照らされる雪だけが視界の端にちらつく中、俺は大きく溜息をつく。
(早く帰って温かい風呂に入りたいぜ)
そう思いながら家路を急ぐ。
今日は土曜日だという事で午前中だけ授業があったが、その後は特に予定もなかった為真っ直ぐ帰宅する事にしたのだ。
何せ明日は日曜日であり、明後日は祝日なので学校は休みである。つまり今週の授業は全て終わり、後はもう来週の月曜まで自由の身という訳だ。
まあ冬休みに入るまではもう少し日数があるので気が早いかもしれないが、それでもあと数日も経てば、新学期が始まるのだなぁと思うと少し憂鬱になるのも事実である。何せ春になれば高校三年生であり受験生でもあるわけだし……。
(って言っても別にそこまで受験勉強してないけど)
しかし、やはり今年の一年間は今までの人生の中でも大きなターニングポイントになりそうな予感はある。それは大学受験だけじゃなくて、俺自身の人生そのものに大きな影響を及ぼすようなそんな一年間になると漠然とではあるが
紬
どごまでいってもひとでない、人間的な面しか出てこない。
そこにあるのは、どこまでも不完全な人間の一面だけなのだろうか? それは違うと思う。
不完全だからこそ、人は寄り添うのだ。支え合うのだ。
人間は一人では生きられないし、他人を完全に理解することなど出来ない。
完全ではないからこそ、人は人を求める。
人が人であるために。
少年は決断する。自分のエゴ
そこにあるのは、どこまでも不完全な人間の一面だけなのだろうか? それは違うと思う。
不完全だからこそ、人は寄り添うのだ。支え合うのだ。
人間は一人では生きられないし、他人を完全に理解することなど出来ない。
完全ではないからこそ、人は人を求める。
人が人であるために。
少年は決断する。自分のエゴ
紬
人形のまま刻を遅らせて蓋をすれば何事もなかったかのように時が進むだけ ただそこにあるのは空白な未来ばかりなのに それでも人は希望を抱いてしまうんだね 何もないってわかっているはずなのに 何もないと知っているのに 空っぽのままでいたら楽になれるかな? そう思ったこともあるけど 今はもうそんなこと思ってはいない いつだって自分の足で歩いてきたし これからもそれは変わらないと思う 自分で選んだ道を歩き続けていれば いつかどこかで誰かとすれ違うかもしれない その時になって後悔しないように わたしは自分の人生を生きていこうと思っている でも時々ふと考えることがある もしあの時に別の選択肢を選んでいたとしたらどうなっていただろうって もしも今とは違う人生を送っていたならどんな風になっていたのだろうと きっとこんな風にはならなかったんじゃないかなって思うことが何度もあった だけどやっぱりわからないままなんだよね 本当にこれで良かったのかなんて誰にもわかりっこないことだし
紬
少女は少年の命を留め、未来を、人格も、器も書き替えた。死者蘇生
紬
未熟なままの君のままで居てほしい
紬
計算で産み出した少年は彼の面影を感じる。彼の転生したみたいに
紬
彼の暖かさも声も仕草も手元にある
紬
形もアクセサリーも匂い収集した
紬
彼を味わいたい。彼を感じたい、彼の思考も、
紬
劇で見かけたような少年は劇の中へ入り込む。
少年の瞳の奥底にあるものが浮かんでは消える。
自分の居場所を見つけるために、誰かのために生きようと決めた少年は、石像を破壊することを決意する。
破壊するには、何かを犠牲にしなければならない。
それは命であり、愛であり、友情であるかもしれないし、もっと別のものなのかもしれない。
石像を破壊しようとしたとき、突然現れた大神様によって阻まれる。
そして少年の心は囚われていく……。
***
「ねえ、これって、『人喰い』に出てくる男の子の話?」
私は隣に座っている友人に尋ねる。
彼女はうなずいた。
「うん。これは、私のオリジナルなんだよね。」
そう言って彼女は笑った。
「え?」
「うーん、説明が難しいんだけど……そうだなぁ。例えばね、私が好きな小説があって、それがすごく面白かったとするじゃない?でもそれは私だけしか知らないんだ。そんな時ってどう思う?」
「そりゃ、勿体無いなって思いますけど」
「じゃあもし、それをあなたが知っているとしたら?」
「……えっ!?なんでこんな所に俺がいるんだ?」
そこは真っ白な空間であった。何も無い虚空の中に俺は浮いているように座って居る。
周りを見渡すが何も無くただ白いだけの光景が広がっている。
「夢?それとも死後の世界とか?でも死んだ記憶なんて無いし……」
とりあえず自分の身体を確認してみるが特に異常は無いようだ。着慣れた制服を着て通学鞄を持っている事から学校に行こうとしていた所だろう。しかしどうやってここに来たかもわからない状況ではどうしようもないのだが……。
そうして途方に暮れながら座り込んでいると目の前に突然光が溢れ出し人の姿へと変わった。
「ふぅー!ようやく出て来れたぜ!」
そこに現れたのは全身黒ずくめで黒いマントに身を包んでいる男だった。見た目は30代前半ぐらいだろうか。顔立ちはかなり整っており背丈も高い為かなりのイケメンに見える。
ただ髪はボサボサで手入れをしていない事が伺える
少年の瞳の奥底にあるものが浮かんでは消える。
自分の居場所を見つけるために、誰かのために生きようと決めた少年は、石像を破壊することを決意する。
破壊するには、何かを犠牲にしなければならない。
それは命であり、愛であり、友情であるかもしれないし、もっと別のものなのかもしれない。
石像を破壊しようとしたとき、突然現れた大神様によって阻まれる。
そして少年の心は囚われていく……。
***
「ねえ、これって、『人喰い』に出てくる男の子の話?」
私は隣に座っている友人に尋ねる。
彼女はうなずいた。
「うん。これは、私のオリジナルなんだよね。」
そう言って彼女は笑った。
「え?」
「うーん、説明が難しいんだけど……そうだなぁ。例えばね、私が好きな小説があって、それがすごく面白かったとするじゃない?でもそれは私だけしか知らないんだ。そんな時ってどう思う?」
「そりゃ、勿体無いなって思いますけど」
「じゃあもし、それをあなたが知っているとしたら?」
「……えっ!?なんでこんな所に俺がいるんだ?」
そこは真っ白な空間であった。何も無い虚空の中に俺は浮いているように座って居る。
周りを見渡すが何も無くただ白いだけの光景が広がっている。
「夢?それとも死後の世界とか?でも死んだ記憶なんて無いし……」
とりあえず自分の身体を確認してみるが特に異常は無いようだ。着慣れた制服を着て通学鞄を持っている事から学校に行こうとしていた所だろう。しかしどうやってここに来たかもわからない状況ではどうしようもないのだが……。
そうして途方に暮れながら座り込んでいると目の前に突然光が溢れ出し人の姿へと変わった。
「ふぅー!ようやく出て来れたぜ!」
そこに現れたのは全身黒ずくめで黒いマントに身を包んでいる男だった。見た目は30代前半ぐらいだろうか。顔立ちはかなり整っており背丈も高い為かなりのイケメンに見える。
ただ髪はボサボサで手入れをしていない事が伺える
紬
月に向かって旅をしていた頃だけやさしい人の正体