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数日後の朝

左手

ん…

その日は朝からどしゃ降りで

雷が大きな音を出しながら光っていた

左手

ケホッケホッ

瑠衣

左手おはよ〜

左手

おはよ、瑠衣

なんだか

今日はいつもと違うな

違和感を感じる

そう思って数時間後

左手

スー、スー💤

左手

ズキッ

左手

うっ!?

左手

いたっ…!

瑠衣

左手…?

突然

心臓から激しい痛みがした

左手

!?いだっ…

左手

っあ…ぅぐっ

左手

ゲホッゲホゲホ

左手

瑠衣…お医者さん、呼んで…

瑠衣

あ、ああ!

すぐに俺の体にはたくさんの管が繋がれて

吸引器があてられた

左手

ふぅ…ふぅ…

左手

っう…

瑠衣

左手…ポロポロ

ああ、死ぬのかな

俺は、このまま

せめて

兄貴と千卜には会いたいなぁ…

看護師

もしもし?右手さんですか?

看護師

左手さんが大変危険な状態でして…!

医者や看護師の声が聞こえる…

看護師

っそんな…!

医師

どうした?

看護師

この大雨で交通機関がすべて止まっておりまして…

…え?

右手

っ…!

今すぐ左手のもとへ行きたいのに…!

千卜

だめだ…電車もバスもタクシーも止まってる!

千卜

気象庁も避難したいところだけど、外にでるのは危険だから外には一歩もでるなって…

右手

でも…でも…!

右手

今行かなかったら…!

千卜

っ…どうしたら…

右手

右手

行きます

千卜

え…?

右手

私は、行きます!

千卜

ちょ、まって…!

ここから病院まではタクシーでも30〜40分はかかる。

徒歩だったらかなりの時間はあるだろう

それでも、かまわない

だって左手は、私のたった一人の肉親で、弟だから

右手

なっ…!

外にでると、予想以上の雨だった。

大雨というより、台風…台風も超えていそうな雨と風

雨粒が当たっただけでも痛い

右手

行かなきゃ…!

右手

タッタッタッ

千卜

右手くん…!

千卜

僕だって…左手くんに会いたい

千卜

タッタッタッ

交通機関も止まってるって…

これないじゃん

最後に2人に会えないなんて…

左手

そんなの…絶対嫌だ…

絶対2人に会うんだ

そう誓い、覚悟を決める

左手

っ…ごめんなさい

瑠衣

左手…?

次の瞬間

体中に繋がっていた管や吸引器をはずし

ベッドから飛び出して

病室を出た

瑠衣

左手!

医師

左手さん!

左手

タッタッタッ…

左手

っ…ハアハア

左手

っ…なんだよこれ…!

こんな大雨見たことない…

左手

でも…進まなきゃ

右手

ハア、ハア…

もうどれくらい走ったんだろう

中々病院にたどり着けない

千卜

っ…ハア…ハア…

私も千卜もとっくに体力の限界を迎えていた

右手

左手っ…

左手

ゲホッゲホッゲホゲホ

左手

かはっ…

意識が朦朧(もうろう)としてきた…

左手

っあぐっ…

左手

はぁ…はぁ…ゴホッ

まだ…まだだ…

絶対…諦めない…

そして、大きな橋にたどり着いたとき…

左手

はぁ…はぁ…

左手

兄貴…千卜…

ボロボロになった体で顔を上げると…

右手

っ…

千卜

はぁ…はぁ…

そこには

兄貴と

千卜がいた

左手

兄貴…千卜…!

右手

…?左手…?

右手

…!

右手

左手!

千卜

…!?左手…くん…!

右手

左手…ポロポロ

右手

ギュ

兄貴は

もぅ死にかけの俺を優しく抱きしめてくれた

右手

っ…左手…

左手の体は雨に濡れて冷たくなり

息も絶えだえだった

左手

ハアハア…

左手

兄貴…俺、兄貴が大好きだよ…

左手

千卜も、今までありがと…

千卜

そんな…もぅ最後みたいに…ポロポロ

左手

ごめ…ん…

左手

俺…もぅ…

左手

死ぬ、だろうから…

左手

言いたいこと…言わせて…

右手

っ…!

千卜

グスッ…そんな…

左手

千卜…短い間だったけど…楽しかった…

左手

千卜の一生懸命な姿…好きだから…

左手

これからも…応援…する…

千卜

左手くんっ…

千卜

僕も…左手くんと一緒だと楽しかった…ポロポロ

左手

兄貴…

左手

ここまで育ててくれてありがと…

左手

兄貴がいたから

左手

俺は今日まで生きれたよ…

左手

っ…ゲホッゲホゲホ

左手

もっと…はなし、たかったのに…

左手

やく、そく…

左手

幸せに…なって…

右手

いや、いや…

右手

いかないでください…ポロポロ

千卜

左手くん…ポロポロ

左手

また、ね…

左手

大好き…

右手

…!左手!左手!

千卜

左手くん…!

大好き

その言葉を最後に

左手は事切れた

濡れて冷たかった体はさらに冷たくなり

真っ白な肌は左手が死んだことをありありと示していた

「私が守るからね」

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