コメント
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素敵な作品ですね!続きが楽しみです😍
柊 玲於
さっき貰った……いちごミルク?かなんかの飴を口に放り込み,廊下へ歩いていく彼女を見送る
腰まで伸びたサラサラのストレートの髪
膝上で靡く短めのスカート
そこから伸びるすらっとした白い脚
首にかけたヘッドフォン
制服の上から羽織った真っ黒なパーカー
夕陽に照らされ,キラリと光ったピアス
それらは全て,校則違反のはずだが… そんなことは今は関係ない
飴が詰め込まれているはずのパンパンなポケットに手を突っ込んで歩く彼女の姿を,無意識に目で追ってしまう
今まで話したこともなかった彼女をこんなにも意識するようになったきっかけは,わずか30分ほど前にある
放課後、部活終わり
僕は部活仲間と帰ろうとしていた
しかし
柊 玲於
柊 玲於
部活仲間
部活仲間
部活仲間
よりによって明日提出のノートを教室に置いてきてしまった
柊 玲於
部活仲間
部活仲間
僕ら1年生のフロアは4階だ ここは昇降口だから,とても距離がある
柊 玲於
現役バスケ部がこんなことでスタミナ切れを起こすわけはないのだが,疲れるものは疲れるし,面倒臭いものは面倒臭い。
ノートを置いてきたことを後悔しながら階段を上り始めた。
ガラガラ…
柊 玲於
ドアを開けるとそこには
立花 聖那
目を大きく見開いてこちらを向く立花の姿があった
柊 玲於
彼女はいつも真っ先に教室を出る そして部活にも入っていないため,放課後教室にいるなんて事は滅多にないのだが。
しかし,そんな問いは一瞬にして消えた
立花の手元を見れば理由なんて一目瞭然だった
柊 玲於
柊 玲於
彼女のすぐ側にある,彼女の席であろう机には
これでもかと言うほどに大きな字で,沢山の罵詈雑言が書かれていた
立花 聖那
立花 聖那
その言葉通り,彼女は本当に平気そうな顔をしていた
言葉が出てこなかった
柊 玲於
何と話しかけたらいいか分からず,無言で自分の席へ行き,ノートを鞄に突っ込む
___許せなかった
僕は正義感が強いのかもしれない
例え話したことないただのクラスメイトに対してだとしても,こんなことをする人がいることが
柊 玲於
柊 玲於
そう思うと何も出来なくて
諦めてドアに手をかけ,教室を踏み出そうとした時
どうしても気になって彼女の方を振り返ると
立花 聖那
安心したような,それでいて辛そうな陰りを持った瞳が見えて…
立花 聖那
柊 玲於
いてもたってもいられなかった。