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眠れなかった。
最近ずっと。
目を閉じるたびに、 あの日のことを思い出しそうになる。
でも。
肝心なところだけ、 思い出せない。
るぅと
朝。
鏡を見る。
顔色が悪い。
ころん
後ろから声がした。
ころん
ころん
るぅと
ころん
即答だった。
ころん
少し笑う。
昔から変わらない。
その笑顔が、 胸に刺さる。
るぅと
ころん
るぅと
るぅと
ころん
一瞬だけ。
ころんの表情が止まった。
本当に、 一瞬だけ。
ころん
るぅと
ころんは、 少し考えてから笑った。
ころん
るぅと
ころん
その言葉に。
なぜか、 泣きそうになった。
放課後。
るぅとは一人で、 図書室にいた。
探しているものがある。
記憶。
事故の日の記憶。
あの日。
ころんは何をしていた?
自分は何を言った?
何か大切なことを、 忘れている気がする。
その時。
一冊の本が、 棚から落ちた。
バサッ。
るぅと
拾い上げる。
間から、 紙が一枚落ちた。
古いメモ。
見覚えがある字。
ころんの字だった。
るぅと
震える手で開く。
そこには。
『土曜日、約束』
『絶対忘れるなよ!』
『るぅとくんとの秘密!』
るぅと
記憶を辿る。
でも。
思い出せない。
思い出せないのに。
胸だけが苦しい。
その時。
頭の奥で、 何かが弾けた。
――るぅとくん。
――絶対だからね。
――約束。
知らないはずの声。
でも。
知っている。
ころんの声だ。
るぅと
頭を押さえる。
痛い。
苦しい。
思い出しそうなのに。
届かない。
帰宅後。
リビング。
珍しく、 ひなこが一人で座っていた。
るぅと
ひなこ
るぅと
ひなこの目が、 少しだけ揺れた。
るぅと
るぅと
静寂。
ひなこは、 しばらく黙っていた。
時計の音だけが響く。
そして。
ひなこ
るぅと
ひなこ
るぅと
ひなこ
ひなこ
るぅと
意味が分からない。
でも。
ひなこの顔は、 冗談を言っている顔じゃなかった。
その夜。
るぅとは夢を見た。
夕暮れ。
横断歩道。
誰かが走る。
ころんの声。
――るぅとくん!!
――危ない!!
その瞬間。
大きなブレーキ音。
キィィィィィッ―――
るぅと
飛び起きる。
息が苦しい。
汗が止まらない。
夢の最後。
一瞬だけ見えた。
血だらけの制服。
そして。
自分を庇うように、 笑っていたころんの顔。
るぅと
震える声が漏れる。
その時。
窓ガラスに、 何かが映った。
月明かりの中。
ころんが立っていた。
でも。
笑っていない。
悲しそうな顔で。
るぅとを見ていた。
そして。
小さく口が動く。
ころん
るぅと
瞬きをした瞬間。
もう、 誰もいなかった。
コメント
2件
わあ、第9話、読み終わりました……。冒頭の「眠れなかった」からもう、るぅとくんの胸のざわつきが伝わってきて、こっちまで息を詰めてしまいました。ころんの「何回忘れても、何回でも」って台詞、すごく優しいのに、その裏にある何かが切なくて泣きそうになりました。最後の“まだだよ”、意味深すぎます……続きが気になって仕方ないです!