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上野原高等学校革命同好会

第54話 - 幕間【15】

2025年12月13日

#ミステリー

#心理戦

#推理

#デスゲーム

#エターナル・コウタ・ブリザード

鬼霧宗作

ミヤギ

ナポレオンがネットの掲示板を立ち上げて、そこで革命を起こそうとしたのは話したよね？

イガラシ

あぁ、ネットの呼びかけに応じて【革命軍】が出来上がった――って。

イガラシ

首謀者はナポレオン。

ミヤギ

そう、ナポレオン。

ミヤギ

これはみんなに言っていなかったけど、私――実はナポレオンと直接話をしたことがあるの。

ヒグラシ

掲示板上じゃなくて？

ミヤギ

はい、一応これでも記者ですし。

ミヤギ

それに、なんだか放っておけなかった。

ミヤギ

私から連絡先を掲示板に書き込んで、連絡を待った。

イガラシ

それって、かなり危なくないかい？

ミヤギ

まぁ、連絡先は会社で使ってるスマホの番号を使ったし、ダメ元でね――。

ミヤギ

案の定、何件かいたずら電話もあったんだけど、実際にナポレオンから連絡があったの。

イガラシ

シズカ、ひとつだけ確認させて欲しいんだ。

イガラシ

君は味方なのか？

イガラシ

それとも敵なのか？

ミヤギ

――味方だとは思う。

ミヤギ

もちろん、ナポレオンからすれば邪魔な存在だとは思うけど。

イガラシ

でも、実際にナポレオンに手は貸したんだよな？

イガラシ

俺達が教員室を出ている間に、みんなが忽然と姿を消した。

イガラシ

これは――。

ヒグラシ

彼女がみんなに事情を話して、協力を促したんだよ。

ヒグラシ

――セイヤ君なら、もうとっくの昔に気づいていると思うけど、ナポレオンにこれ以上の殺生の意思はないと思うんだ。

イガラシ

でも……実際に校長先生は亡くなってしまった。それに、俺を殺すことが目的だって。

ミヤギ

それは――あくまでも最終手段。後、校長先生の件は……。

ヒグラシ

ナポレオンも殺すつもりはなかった。

ヒグラシ

彼の計画では、例えロープの本数が何本であれ、校長先生は助かるはずだったらしい。

ミヤギ

でも、校長先生が亡くなったことは事実。

ミヤギ

それについては、ナポレオンも罪を償うつもりみたい。

ミヤギ

でも、それは彼の目的が達成されてから――。

イガラシ

目的ってなんだ？

イガラシ

革命なんだろ？

イガラシ

結局、人が死んでいる！

イガラシ

そのつもりがあろうが、なかろうが、事実として人の命が失われているんだ！

ヒグラシ

セイヤ君、落ち着くんだ。

ミヤギ

ナポレオンはね――助けを求めているんだよ。

ミヤギ

それこそ、自分が通っている高校の先生達に向かってＳＯＳを出していたんだよ。

ミヤギ

だから、騒ぎを起こす必要があった。

ヒグラシ

そのために、世の中に注目される必要があった。

イガラシ

そして、ゲームをやるのは基本的に教師の俺達だった――。

ミヤギ

やり方が強引なのは分かる。

ミヤギ

でも、ナポレオンのために力を貸して欲しいんだ。

ミヤギ

それは最終的にナポレオンの暴走――セイヤ君が殺されてしまうという未来を回避する手段にもなる。

イガラシ

――ちょっといっぺんに言われても理解できない。

イガラシ

俺はどうすればいい？

ミヤギ

この問題は、セイヤ君だけが背負わないといけないものじゃない。

ミヤギ

だから、ナポレオンにはバレないように、裏口から向かってもらったんだ。

ミヤギ

イシカワ先生とフワ先生に――。

イガラシ

イシカワとフワ先生が？

イガラシ

向かうってどこに？

ヒグラシ

――ナポレオンのところさ。

ミヤギ

そう、ナポレオンのところに――。

裏口から学校の外に出ると、自然と姿勢が低くなる。

イシカワ

やっぱり【革命軍】が生配信をするようになってから、報道関係の方々の数が減りましたね。

フワ

残念ですけど、完全にナポレオンの手のひらの上で踊らされていたんですよね――私達。

イシカワ

駆けつけた警察関係者、報道関係者、全てがナポレオンの思惑通りに動いたわけです。

イシカワ

もちろん、警察は引くわけにはいかないので、数は減りましたが、まだ様子を伺っているようですが。

フワ

とにかく、駐車場まで向かわないと。

フワ

可能な限り、外部の人間とも接触しないで欲しい――ってことでしたけど。

イシカワ

まぁ、向かうところがデリケートなところですし。

イシカワ

フワ先生はどうしたいですか？

フワ

私は――できることなら穏便に済ませたい。

フワ

もちろん、こんなことをしてしまって、まるで罪を償わない――なんてことはあり得ませんけど。

フワ

私達――誰も気づいてあげられなかった。

イシカワ

えぇ……俺は自分に腹が立って仕方がないですよ。

イシカワ

なんで気づいてやれなかったのか。

駐車場へ向かう途中で、イシカワは人の気配を察知する。

イシカワ

フワ先生、ちょっとストップ。

イシカワ

誰か来る――。

？？？？

それにしても、まだヒグラシと連絡が取れないのかよ？

？？？？

はい、セイノさんからも連絡入れて見てくださいよ。

セイノ

あー、俺得意じゃないんだよな。スマホ。

セイノ

俺はずっとガラケーが良かったんだけどよ、時代が変わったせいで仕方なく持ってるだけで。

セイノ

ニッタから連絡入れてやってくれよ。

ニッタ

連絡入れてますけど繋がらないんですよ。

セイノ

そうか――それにしても、どうすんだ、この状況。

セイノ

ちょっと様子を見に来てみたが、応援連中はほとんど引き上げだ。

ニッタ

犯人の要望があったにしても、あっさり引き上げた印象が強いですよね。

フワ

イシカワ先生……。

イシカワ

静かに。

壁の陰にフワを押し込むと、イシカワも身を低くする。

イシカワ

あの名前、ヒグラシさんから聞いてる。

イシカワ

多分、警察関係者の人達だ。

フワ

あ、だったら助けを求めます？

イシカワ

――駄目ですよ。

イシカワ

事を荒立てないようにするために、警察は介入させたくない。

イシカワ

ヒグラシさんも言ってたけど、警察は組織である以上、融通がきかないことが多いって話だし。

フワ

じゃあ、ここはどうやって。

セイノ

ん？

セイノ

そこに誰かいるのか？

ニッタ

どうしたんですか？

セイノ

いや、なんとなく人の気配がしたような気がしてな。

ニッタ

もしかして――校内を占拠している【革命軍】かもしれません。

セイノ

あぁ、ニッタ……警戒しろ。

フワ

ど、どうします？

イシカワ

どうするって言われても――。

砂利を踏む音が徐々に近づく。

セイノ

ニッタ――最悪、応援の要請ができるようにしておけ。

イシカワ

(今、見つかるわけにはいかない)

イシカワ

(どうする――どうしたらいい？)

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鬼霧宗作

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