ソラの唄

ネオンに包まれた街

路地裏に座り込む

メロディーもないまま

ただ口ずさむ

周りの視線も

傷だらけの体も

全部唄に溶かして

涙で濡れた顔

それでも唄い続ける

今思えばあれが始まりだったね

優しくて

暖かくて

そんな君が

俺を虜にした

ねぇ

聴いてよ

俺の唄＿＿＿

自分と周りの生き方が違うのは

10歳の頃に気づいた

物心ついた時には親によく殴られていたので

家に居たくなくて、よく公園にいた

こんな事言われるのが辛かった

学校は行ったことがない

親がアル中で働いてなく、

学費がないからだ

親に殴られた跡が残り

腕も足も傷だらけ

いつも気持ち悪がれる

そんな日々

親が俺を虐待する理由

簡単な事だよ

両親がシたんだよ

子供は欲しくなかったらしく、 ちゃんと対策をして

避妊したつもりだったんだって

でも不幸な事に

避妊ができなくて

そのまま俺は生まれた

望んでもない息子が生まれた事に父親は激怒し

離婚した

それで母親は俺を虐待している

学校にも行けず

虐待される日々が続く

俺は生きていけるのかな…

しばらく経って

17歳になった

親に強制されて

バイトをしている

ストレスにはなるけど

結構な量稼げる

俺はなんの得もしないけどw

5万…この前より減ってる

また殴られちゃうなw

こんな会話を繰り返してる

汚らわしいよね

気持ち悪いよね

俺だってやりたくないよ

なんなら働きたくもない

制服を着てる人達を見るたびに思う

俺も本来はああだったんだろうなぁって

そうそう

俺は名前が無いんだよね

なんて名前で働きますか？

って聞かれたの

思い浮かばなかったから

無名でって応えた

誰かに付けてもらいたいな

俺の名前

ずっとこんな感じ

でもね

今日の俺はちょっと違った

走って

走って

とうとう帰り道が分からなくなった

地べたに座り込む

唄なんて

いつぶりだろう

寂しい

涙がでてくる

もうこのまま

死んじゃうのかな

知らない人が話しかけてきた

誘拐？

それとも母親と関わりがある人？

背丈は俺と同じくらいだけど

怖い

優しい目

そう言って差し伸べた手を

俺は

握った

俺はなんとなく

この人に着いて行きたくなったんだ

ネオンに照らされた君は

とても儚い顔だった