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6件
続きを待ち続けます
るなちゃん、、、(´;ω;`)
そのころ。花魁と女将は廊下の陰から泣いているるなを見ていた。
女将
女将さんが小さく息を吐く。
堕姫
堕姫
堕姫
女将
女将さんの声に花魁は答えなかった。ただ扇子を強く握りしめる。
この時間がずっと続けばいいのに。るなも同じことを思っていた。
けれど朝は来る。夜が明けるなは自分の部屋を丁寧に掃除した。
畳の目をなぞるように拭き鏡台を磨き使い慣れた櫛を揃える。
荷物は少ない。ここに来た時もほとんど何も持っていなかった。
女将さんがくれた良い櫛。
花魁がくれた綺麗な簪。
お客さんがくれた可愛らしい着物。
一つ一つ手に取るたび胸がきゅっと締めつけられる。
月
ぽつりと呟く。
覚悟していたはずなのに実感は後から追いついてくる。
荷物をまとめ終えるなは花魁の部屋へ向かった。
襖の前で足が止まる。中から小さく嗚咽の音が聞こえた。
え。そっと襖を開くと花魁が泣いていた。肩を震わせ顔を覆って。
いつもは強くて余裕があって感情を見せない人。
月
胸がずきりと痛む。こんなにも想ってくれていたなんて。
月
るなはできるだけ明るく言った。花魁は慌てて顔を拭く。
堕姫
月
堕姫
月
るなは少し笑った。
月
月
花魁は静かに頷いた。
堕姫
櫛が髪を通る。いつも通りのはずなのに今日はとてもゆっくり。
堕姫
月
堕姫
月
鏡越しに目が合う。言葉が続かず二人とも黙り込んだ。
夜。常連たちを大広間に集め宴が開かれた。
いつもより派手な装い。髪も、着物も、髪飾りも。
全部「最後」にふさわしいもの。
るなは皆の前に立った。少し息を吸う。
月
静まり返る座敷。
月
月
顔をあげる。
月
少し声が震える。
月
月
月
月
深く頭を下げる。
月
月
すすり泣く声があちこちから聞こえた。
最後に琴を構える。音が鳴り歌が重なる。
ここで磨いた一番の芸。弾き終えた頃には座敷は涙で溢れていた。
客
客
客
一人一人に丁寧に最後の別れを告げた。
部屋に戻り周りを見渡す。
明日にはもうない家具たち。畳と灯りも全部。
月
そう思った瞬間。襖が開き反応する前に抱きしめられた。
月
堕姫だった。顔を見ると可愛い顔が涙でぐしゃぐしゃだった。
堕姫
その声で我慢していたものが全部崩れた。
月
月
月
月
子供みたいに声を上げて泣く。堕姫も何も言わず強く抱きしめる。
夜の遊郭に二人の泣き声だけが静かに響いていた。