𝕠𝕥𝕠
𝕠𝕥𝕠
あれから先のことはほとんど記憶にない
確か教頭先生に送って貰って
お母さんが死んでて
死因は自殺らしい
病院の機械を狂わせて様態が急変
様子を見た時にはもう手遅れだったらしい
お父さんは隣で震えてた
お母さんからであろう手紙を2枚ポッケに突っ込んで、
引きつった笑顔で
僕にごめんなって言ってた
そのぐらいしか覚えてない
その後どうやって自分の病室に戻ったかも分からない
ただ、
はっきり覚えているのは
僕はあの時
確かに泣いていた
碧
僕の頬は濡れていた
目から何かが溢れていた
これが涙じゃなければなんなのだろう
僕はまだ誰にも恋をしていない
だから死ぬことは無いだろう
だけど、父によると
涙を流すだけでも高熱が出て
体調が悪化するらしい
今から熱が上がるんだろうな
大変そう。
そう他人事のように呑気に考えていたが
何分
何時間
何日
何週間経っても僕の体調が悪化することはなかった
むしろあの日から数日間
検査の数値が安定していたぐらいだ
一体どういうことなのだろう
お父さんに聞くと
不思議だ。なんて言って
それでおわった
亡くなったお母さんの最後のプレゼントとでも言うのだろうか
お母さんの死は辛かった
涙も出た
それで検査結果が良いって
僕がお母さんの死をなんとも思ってないみたいで
複雑な気持ちになった
そもそもなんで自殺なんて
そんな風には見えなかったのに
隠れたところで苦しんでたのだろうか
やっぱり僕が負担だったのかな
いや、もうお母さんは死んだんだ
本当のことは本人しか知らない
僕があれこれ考えても意味は無い
そう思ってそれ以上考えるのはやめた
でも心が追いついていないのか
なかなか切り替えることもできずに
不快感と無力感を抱えたまま
学校にも行けずにいた
みんな心配してるよな
明日は登校しよう
ん、
ここどこだ?
〜ーー
誰?
〜ー〜〜ね
せーー〜ー〜ー〜たーー
聞き取れない、
ごめんね
ごめんね?
どうして
てかこの声
碧
碧
碧
碧
桃
桃
碧
桃
桃
碧
正直気持ちの整理は全然ついてない
もう母がこの世のどこにもいない事実が
僕を永遠と苦しめていた
今すぐ泣き叫びたい
僕なんかより
お母さんが生き延びてれば、
桃
って、いけない
せっかく桃くんと登校出来るんだから
楽しまなきゃ
碧
碧
桃
碧
桃
碧
やっば変な声でた
いやいや、そりゃそうでしょ
この男は何を言ってるんだ
桃
碧
桃
碧
正直こんな精神状況で学校もキツイ
桃くんが何考えてるかわかんないけど
とりあえずラッキーか
碧
桃
桃
桃
碧
学校にはなんて説明しよう
お父さんにも怒られちゃうかな
本当はこんなことしちゃダメなのに
でも
高揚感が収まらない
どこに連れて行ってくれるんだろう
桃
碧
碧
碧
桃
碧
桃
桃
桃
碧
碧
その日は一日中遊んだ
すごく楽しかった。
桃くんは
どうして僕なんかにこんなこと、
あんな人と今まで出会ったことない
もっと知りたい
もっと会いたい
もっと話したい
そう強く思ったら
少しだけ心臓が痛んだ
病院に帰ったら
お父さんに満面の笑みで
「どこに行ってたんだ」
と言われた
目の奥深さに凄くゾッとしたけど、
普通に学校だよって言ったら
それ以上何も聞かれなかった
上手く誤魔化せて良かった思って
明日は学校頑張れそうと希望を持って
ぐっすりと寝た
人は幸せを感じると
この先もきっと幸せだ
そう錯覚する。
嫌なことは起こらない
自分の可能性は無限大だ、と
そんな保障はどこにも無い
それに気づいた時には
もう全部手遅れなんだ
𝕠𝕥𝕠
𝕠𝕥𝕠
𝕠𝕥𝕠
コメント
4件
好きに、、なっちゃったのか泣 嬉しいけど悲しい 複雑、、 =最高
めちゃらぶです💕 桃くんの優しさがほんとに大好きすぎます😖