塔子
そうね、それで言えば香、あんた。本を汚す人が嫌いとか何とかいう事いったんだよね
香
え? ああ、まあそんな事も話したかもしれないけど
塔子
で、その後、あまね先輩っていう人にその話をされたんだよね
香
まあ、そうだけど……え? それが理由でみんな黙ってるって事?
塔子
はははは、確かにあんた怒ると怖いもんね。怒鳴り散らかされたりするかもって想っちゃう人も居たりいなかったり?
香
冗談止めてよね。いくら何でもそんなことしないよ
塔子
そりゃそうだ、冗談だよ。勿論、ね
香
うーん。でも、ならどういう事なのかな。そもそも、そんな話直接聞いたノッコ先輩とあまね先輩以外は知らないんじゃないと想うよ
塔子
逆に言えば当のあまね先輩なら本の入れ替えは可能だと想う?
香
え? まあ、申請を出してバーコードを入れ替えるだけだろうから難しくはないと想うけど……でも、何の為よ?
塔子
そうだね。じゃあ、隠す理由を考えてみようか。一つは、汚したのが本人でそれを誤魔化そうとしているパターン
香
つまり、あまね先輩が本を汚した張本人って事?
でも、先輩も本好きだと思うし考えられないと想うな
でも、先輩も本好きだと思うし考えられないと想うな
塔子
でも、不可抗力っていうことはあるんじゃない?
香
……不可抗力
塔子
うん。先輩は何らかの理由で本を汚してしまった。それを隠蔽する為に本を入れ替えたという可能性ね
香
そして……それを私に知られたくないから、嘘をついているって事?
塔子
まあ、単純にいうとそうなるかな
香
うーん。いや……それは、わからない。けど……信じられない、かな
塔子
じゃあ、もう一つの可能性。誰かを庇っているっていうのはどうかな
香
ん~、どう、かな
塔子
例えばだけど、先輩がその本を借り出して家に持って帰った。そこで、家人が何らかの理由でその本を汚してしまった
香
家族がっていう事? そんなことあるかな
塔子
例えば兄弟に小さい子がいて、いたずらしたとか。あるいはペットとかが汚しちゃったとかは無いかな
香
あ、でもでも。あの本のデータを確認した限りじゃ直近で借り出された形跡はなかったよ
塔子
なるほど……。という事は、本が汚れたとしたら図書室内でって事になる訳か