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あ〜、やっと帰れる〜

放課後どっか寄らない?

ええやん!どこ行く?

いつも通りの放課後

今日もそうだと思っていた

先生

お前たち、ちょっといいか?

それは先生の一言で壊された

なんですか…?

先生

悪いんだが準備室まで
このダンボールを
運んでくれないか?

えぇ…

露骨に嫌そうな顔をするりうちゃん

僕も同じ気持ちだ

別に僕らじゃなくても
よくないですか?

先生

ちょうどそこに居たしな…

先生

それに他の奴らはとっくに
帰っちまったんだよ

あ、、、

辺りを見回すと僕ら以外誰も居ない

クラスメイトはもう全員帰った後だった

先生

てことでよろしくな?

うぉ…⁉︎

ニッコリとした笑顔を浮かべた先生に ダンボールを渡された

 

あ、ごめん二人とも!

今日早く帰ってこいって
言われとったんやった!💦

ヤバいじゃん!?

じ、実はりうらも委員会が…

じゃあこれ僕一人で
やらないといけないって事…?

そう、なるね…

目の前には大量にダンボール

これ全部を僕が運ばないといけないと思うと 気が重い

時間やばいからもう行くな!

また今度なんか奢るわ!💦

りうらも…!

用事があるのは仕方がないよ

頑張って運ぶから大丈夫!

二人ともバイバーイ

またな…!

バイバイ…!

タッタッタッタッ

二人が教室から出ていく

改めてダンボールに目を向ける

三人で分けても重いぐらいのものを 一人で持っていかなくてはいけない

不幸中の幸いと言えば準備室は 同じ階にあって階段を登る 必要はない事だ

はぁ…

ため息をつきながらダンボールを抱えた

 

ほんと最悪…

落胆しながら準備室までの道のりを歩く

腕がもげそうだ

荷物が大きいので前も見えづらい

人に当たったりしないが心配だ

フラッ

あッ…⁉︎

足元がふらつく

これはマズイ…‼︎

???

よっ、と

誰かが転びかけた僕を支えてくれた

驚きながらも顔を上げるとそこには

大丈夫か?

いふ先輩の姿があった

はい、なんとか、、、

ありがとうございます…!

体が気がついたら
動いとっただけやから
気にせんといて

これどこまで運ぶん?

準備室ですけど…

わかった、何個かもらうで?

あ、ちょっ!

軽々と僕の持っていた量の 半分ぐらいを持つ先輩

悪いですよ、、、!

ええんやって

好きな人が困っとったら
手伝いたいもんやねん!

ニカっと笑みを浮かべながら言う先輩

やっぱり優しいんだな

こんな人が僕を好きなんて勿体無い

もっと素敵な人の方がお似合いだ

それにしても量多ない?

よくここまで
運んできたな、、、

元々は三人で運ぶ予定
だったんですけど、
予定があって
帰っちゃったんですよ

なるほどな

それは災難やったな、、、

はい…

二人で並んで廊下を歩いていく

傾いてきた日が僕らを照らす

こうして見てみるとやはり 先輩の顔は整っている

パッチリとした目にスッと通った鼻筋

夜空を連想させる髪と瞳も よく似合っている

おまけに身長も高くてスタイルがいい

俗に言うイケメンだ

そういえばクラスの女の子が いふ先輩が好きだと言っていた

文武両道と才色兼備を絵に描いた ような人だからだそうだ

確かに僕もそう思う

ただ、それは本人の能力面や外見の話

人の本質は内面にあると感じる

どれだけ見た目が良くても 性格が悪いと僕は好きになれない

その点先輩は優しくて 友達想いのいい人だ

そして笑顔が可愛い

…って、なんで僕はこんなに 先輩のことばかり 考えているんだろう

先輩に告白されたあの日から変な感覚だ

別に先輩のことは友達として好きだ

しかし恋愛として、と聞かれると 違う気がする

好意を抱かれて嫌悪感などはない

今まで無駄に人に好かれても 意味がないと思っていた

そのことでトラブルになったりしたくないからだ

でもいふ先輩だけはそう感じない

好きとまではいかないが気になる、 ぐらいだ

まぁただ人として興味があるだけな 気もする

お、ついたな

中入ろか

はい

 

よいしょ…

ダンボールを並べていく

もし一人で運んでいたら どうなっていたのかと 考えると恐ろしい

先輩がいてくれたおかげだ

先輩、
ありがとうございました!

おかげですごく
助かりました…‼︎

ええんよ

困っとる時はお互い様や

付き合わせてしまいましたし
何かお礼させてください!

お礼なんか別に大丈夫やで?

俺がやりたくて
やったことやし、、、

それでも僕の気が
済まないんです…

う〜ん…

助けてもらったのに「ありがとう」の 一言で終わらせるなんて 気が済まない

せめて何かお礼がしたい

じゃあ今日一緒に
帰ってくれん?

え、そんなことで
いいんですか?

おんw

実はないこ達が委員会やから
一人なんよ

やからほとけ達と帰ろうと
思って教室向かっとる途中に
ほとけと出会ったんよ

そうだったんですね、、、

学年が違う先輩がこの階にいたのは そう言う事情があったのか

僕も一人で帰らないといけなかったし、 こちらとしてもありがたい

それなら一緒に
帰りましょうか!

ホンマ?助かるわ

それでは行きましょうか

そうやな

青組

トコトコ

 

 

 

すっかり日も
暮れちゃいましたね〜…

せやな〜…

オレンジ色に染まった空の下、 二人で並んで帰る

先輩と帰るのは初めてだ

学年が違うからこそ 自分と違った視点の話を 聞けて楽しい

ほとけは夕方好きか?

そうですね…

どちらかと言うと
好きですかね

へぇ〜

俺はあんまり好きや
ないんよね

そうなんですか?

おん

また明日まで友達と
会えんくなるんやん…

なるほど、、、

夕方は夕陽が綺麗で好きと言う 印象しかなかったが そういう考え方もあったのか

別れの時間がやってくる事が 寂しいのは僕もそうだ

親が仕事で帰ってくる事が遅いため いつも家に帰ったら一人だ

家に入った瞬間の孤独感は 毎日のことだが辛い

でも、夕方があるから
夜が来て、朝が来るんですよ

朝が来るからまた友達と
会うことができると
思うんです

そう思うと夕方も
悪いものじゃないって
思いませんか?

ええ考え方やな…

そう思ったら夕日も
綺麗に見えてきたわ

夕焼けを二人で眺める

さっきよりも輝いて見える

捉え方が変わっただけで ここまで見え方が変わるのか

これが視野を広げるというもの なのだろうか

ほとけの家ってどっち?

ここを左に曲がった
あたりですね

あぁ、ならここでお別れやな

俺の家は右に曲がった先の
向こうのほうやねん

そうなんですか…

割と近所なんですね

そうやなw

って言っても俺はここから
15分ぐらい歩かなあかん
けどな(苦笑)

確かに遠いですけど
高校の中では近い方
じゃないですか?

せやね

高校はいろんなとこから
来とるもんな〜

りうちゃんも初兎ちゃんも 別の市に住んでいて、かなり遠い

同じ市の中に住んでいても 反対方向なこともよくある

中学校までのように 全員が近所に住んでいるわけではない

友達の家に行く機会は減ったように 思える

バイバイほとけ

先輩、さようなら

また明日な〜!

はい!また明日です!

トコトコ

どんどん小さくなっていく先輩の背中

また明日と言ったときの先輩の笑顔は とても綺麗だった

作られた美しさではない自然な笑みから来る美しさ

今日の先輩を頭に思い浮かべてみる

今まで感じたことの不思議な感情に 襲われる

ブンブン

帰ろ帰ろ…

考えても埒が明かなそうなので 家路に着く

この感情の正体に 気付かないフリをしながら──

僕らの想いが共鳴するまで【水青】

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