気がつけばあの日から ずっと一緒に空を飛ぶようになっていた
過去の記憶を塗りつぶすようにして空を巡り 少し話をして 一緒に眠る
そんな日々だった
蛍
(そういえば、遊のことまだ何も知らないな)
蛍
(SNSのアカウントは…
蛍
(フレンドリーな割には意外と友達少ないのか…?
蛍
(あ、星座版の写真…
蛍
(お気に入りに写っているのは僕と…
蛍
(誰だ…?
そこに写っていたのは、奏多という1人のフレンドだった
蛍
(奏多…?見たことも聞いたこともない
蛍
(誰だ?どういう関係だ?
蛍
(…確かめないと
ログイン通知と共に 君が此方に飛んできた
遊
こんばんは!
遊
今日は何してたの?
いつもなら 出会ってすぐにそんな他愛のない話をするのだが 今日は気になることが勝ってしまった
蛍
あのさ、
蛍
聞きたいことがあって、
遊
うん?
首を少し傾げて此方を見ている
蛍
かわいい…
遊
んー?
しまった、心の声が、と思った時にはもう遅い 今度はニコニコしながら此方を見ている。
蛍
あ、いや、そうじゃなくて、
遊
かわいかった?
蛍
…うん
蛍
すごく…かわいかった
焦りと緊張で余計なことを口走ってしまった そんな僕のことはお構いなしに君が話を続ける
遊
あはは、今日は積極的だね
遊
そんな褒めても何も出ないよ
遊
それで?話って何
蛍
あ、そう…
蛍
いや、なんだったけなぁ
ふと、聞くのを躊躇った自分がいた。 聞いて特別な何かだったらどうしようか 立ち直る自信がない
遊
もー、なにそれ!
遊
今日の君は変だよ?
笑いながら話す君 どうしようかと悩んでいると君が話を変えてしまった
蛍
えっと…
遊
そういえば今日は一緒に飛べないんだ
蛍
…え?
遊
それを言いにきたの
蛍
なんで…?
今までこんなことは一度もなかった 悲しさで瞳が染まる
蛍
(僕こんなに依存してたっけな、
気を抜けばすぐに相手に依存してしまうこの癖を どうにかしたいものだ
遊
ごめん、仲のいい子が久々にインするらしくてさ
遊
だからキャリーしてあげなきゃ
蛍
え、キャリー、?
蛍
できるの?
キャリーしているところなんて見たことがなければ 蝋燭の位置も覚えていない方向音痴なのに どうして?できるはずがないよな?いつもキャリーしてたの僕なのに?
遊
僕だってキャリーくらいできるよ
遊
君の方が上手だけどね
嬉しそうに話す君
何か
気に食わない
蛍
そうなんだ、しらなかったよ
遊
いつも連れて行ってくれるから甘えてたんだ
遊
たまには僕もするね!
蛍
そんなこと、しなくても
蛍
(僕ならそばに居てあげるのに
遊
あ、来たみたい
遊
多分夜まで戻れないと思うから先に寝ていいよ
蛍
そんなにかかるの?
遊
久しぶりだからちょっと遅くなると思う…
遊
なにか夜僕に用事があった?
蛍
あ、いや、いいんだ
蛍
楽しんでおいで
遊
うん!
そう言って君は居なくなった
そしてそのまま僕も空を後にした
蛍
誰なんだろう、
蛍
やっぱり奏多って人かな
蛍
どういう関係?
蛍
僕より優先してたし
蛍
好きなのかな
考え出したらキリのない思考が止まらない 嫉妬なんて自分が苦しいだけなのに
蛍
遊…
蛍
誰といるんだ…
そうこう悩んでいると ふと思いついた
蛍
そうだ、
蛍
ついて行ってみよう