おっ母さん
おっ母さん
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
借金を返すため
私は遊郭に 売られることになった
おっ母さん
おっ母さん
ハツ
母が連れってくれたのは
甘味処やった
おっ母さん
ハツ
おっ母さん
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
おっ母さん
おっ母さん
おっ母さん
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
おっ母さん
母は泣いた
堪忍な、堪忍なと
小ちゃい子どもみたいに
遊郭での暮らしは……
それはそれは 酷いもんやった
番頭はん
番頭はん
番頭はん
ハツ
身体が穢れるごとに
一枚、一枚、 着るものが増えていく
髪を結われ
高い下駄を履かされ
飾り付けられる、私
ハツ
ハツ
男に汚されるたび
その身を湯で洗われる
肌が白さを増すごと
ハツ
心は
ハツ
ハツ
醜う、穢れていった
そんな月日が 数年、流れた頃
私を「好き」と 言うてくれる人がでけた
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
私は着物をちらりと めくって見せたった
ハツ
ハツ
半ば挑発するように
流し目で男を見つめたる
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
バタン
ハツ
自分も「好きや」と 言えたら
どんなにか 楽になれたやろ?
だけど、私は遊女
店に買われた身
惚れた腫れたで 此処からは出て行けん
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
家族の無事を願うのが 私の日課
そして、心の支えやった
次の日
男はまた、遊郭へ やって来た
ハツ
ハツ
男と重ね合う肌
伝わる温もり
そして、汗の匂い
その全てが 愛おしかった
ハツ
ハツ
ハツ
深い意味なんかない
ただの気まぐれ
でも、それが
運命の分かれ道になった
ハツ
ハツ
嫌な予感がした
昔から、嫌なことほど よく当たる
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
長い長い 遊郭での暮らしは
私の認識を歪ませ
狂わせていた
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
立ち去ろうとする 私の足を
男が、つかんだ
ハツ
ハツ
ハツ
足を引っ張られ 私は尻もちをついた
男は馬乗りになり
ギリギリと 私の首を絞める
ハツ
ハツ
ハツ
ハツ
どうせ、何処にも 逃げれんのやったら
全てを闇に 葬り去りたい
ハツ
ほんに愛する、弟の
手の……中で……
コメント
10件
報われない想いが交錯する物語…。その中でキャラクターの個性がしっかり立ってて、ストーリーに没入してました。お見事でした😢
最高です… 少し難しい話でしたが、読ませていただきました.ᐟ.ᐟ