TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

白石 類

(結局、会社へ行くことに……)

では類さん、車を出しますよ

白石 類

あ、はい

白石 類

(会社は昨日行ったビーチの、すぐ隣なんだよね)

白石 類

(この寮からも近いはず)

白石 類

(海沿いの景色はきれいなんだけどな)

白石 類

(やっぱり、会社へ行くのは気が重い……)

白石 類

(“White Bear Cream”……)

白石 類

(おじいちゃんの会社の看板だ)

白石 類

(レトロで爽やかで、ちょっと甘い雰囲気で……)

白石 類

(海辺の景色とも、よく合ってるよね!)

白石 類

(おじいちゃん……)

白石 類

(ぼくは小さい頃からできそこないだったけど、家族の中で、おじいちゃんだけはやさしかったな)

会社に到着しました。中へ行きましょう

帝にうながされ、類は車を降りた。

白石 類

…………

怖がらなくても大丈夫ですよ

今日は各部門に挨拶して回るだけなので

白石 類

挨拶……ですか

白石 類

各部門って?

ホワイトベアークリーム社の組織は大まかに、開発、営業、生産管理、総務の4部門に分かれています

話しながら、会社のエントランスをくぐる。

ああ、ちょうどいい。あそこにいるのは工場長の隈田さん

部門でいえば、工場は生産管理部の管轄です

工場長、こちらは社長のお孫さん、類さんです

白石 類

ど、どうも

白熊型獣人の工場長が、巨体の首をすくめるようにしてうなずいてみせた。

営業部は……

営業部員

おー、なになに? 可愛いコいるー!

犬型獣人の営業部員に匂いをかがれた。

やめなさい! 社長のお孫さんですよ

営業部員

えー、匂いぐらいかいでもいいだろー

ダメです! あっちへ行きなさい!

営業部員

はーい……

白石 類

(なんていうか、自由だなあ……)

白石 類

(獣人の働く会社だからか)

また彼に絡まれても面倒なので、営業部は飛ばして……

開発部へ行きましょう!

開発部の責任者は、虎牙部長ですが……

いないみたいですね

白石 類

(ほっとしたような、残念なような……)

白石 類

(でも虎牙さんって開発部なんだ? ちょっと意外)

白石 類

あれ? どうして開発部長がホワイトベアーマンのコスプレしてるんですか?

市場調査のためらしいです

白石 類

市場調査?

ホワイトベアーマンにふんして子どもたちと話をするのが、アイスの開発の役に立っているとかいないとか

白石 類

(なるほど! よくわからない)

白石 類

(でも、自由だな……)

ああ。向こうのビーチに、ベアマンバーのラッピングカーが出ているみたいですね

おそらく彼はあそこでしょう

白石 類

あ、ところで帝さんはどこの部門なんですか?

私は総務部所属で、社長室を取り仕切っています

前に名刺をお渡ししましたよね?

白石 類

えーと……

白石 類

(興味なかったからよく見てなかった)

その社長室はこちらです

階段を上がり、2階奥の部屋へ入った。

白石 類

あれ、誰もいない?

社長は多くても月に1、2度しかこちらへは来られません

社長に代わって、会社の細々としたことは私が

白石 類

(実質、帝さんが社長なんじゃ?)

白石 類

(社長のデスク、大きいなあ……)

いずれ社長に代わって、類さんにはこの椅子に座っていただくことになります

白石 類

ぼ、ぼくには社長なんて

白石 類

社会人経験すらないのに

しかしアナタは経営者の一族に生まれて、会社というものをご存知でしょう?

白石 類

(まあ、勉強はさせられたんだよね)

白石 類

(財務や経理のことを中心に)

白石 類

そうだ。この会社って、ちゃんとその……儲かってるんですか?

類さんには、そのうち財務資料をお見せしなければと思っておりましたが……

端的に言ってしまいますと、我が社の経営状態はあまり思わしくありません

主力商品であるベアマンバーの出荷量は安定していますが、子ども向け商品での値上げは難しく、原料の値上がりがじわじわと経営を圧迫しています

それにあれにはライセンス料がかかりますしね。いずれ赤字に転落するでしょう

そうなる前に、ベアマンバーの売り上げ幅をアップさせるか、他の商品をヒットさせなければ……

白石 類

なるほど~……

白石 類

(あれっ。これってもしかして、会社を立て直せって話!?)

【完結】獣人アイスクリーム 獣人だらけの世界で人間のボクがとろとろにされちゃう話

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

1

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚