セット替えの間、 SNS用の写真タイムが始まった。
カメラの前に立つと、 自然と“カップル設定”の距離感になる。
楓弥が隣に立っただけで、体温が伝わってきて、変に意識してしまう。
スタッフ
スタッフの声に、周囲がざわついた。
シューヤ
カイ
EBiDANメンバーの軽口が飛び交う中、楓弥はちょっと照れたように笑って、 俺の方をまっすぐ見た。
楓弥
その一言と同時に、視線が絡む。
喉の奥がきゅっと詰まった。 視線が、逸らせない。
楓弥の目は、真剣だった。
笑ってるのに、 ふざけてるようには見えない。
スタッフ
我に返る。
カメラを意識しなきゃいけないのに、 うまく笑えない。
……こんな顔、撮られたらバレるだろ。
演技なんだから、ちゃんと“余裕のある先輩”を演じなきゃいけないのに。
視線を合わせたまま、口元だけ軽くゆるめて、精一杯「ふみくん」らしく振る舞った。
スタッフ
シャッター音が止んだあと。
楓弥が、ほんの小さな声で言った。
楓弥
史記
楓弥
心臓が、また跳ねた。
……お前だけじゃないよ。
言葉にはできなかったその想いが、 胸の奥で熱を帯びていく。
撮影がひと段落して、 俺たちはスタジオの隅で少し休憩。
他のメンバーが写真撮ってる中で、俺はちょっとだけ気を抜いて座っていた。
ふと顔を上げると、また目に入った。
永玖が、楓弥に近づいて 声をかけていた。
永玖
楓弥
無邪気な笑顔。弾む声。
さっきよりも嬉しそうで、自然体で──
史記
二人の距離が近い。
いつものことだってわかってる。
でも、なんか、胸の奥がざわざわする。
楓弥
永玖
楓弥は照れくさそうに笑って、 目をそらす。
その笑い方が、なんか、ずるい。
気づいたら、俺の足が動いていた。
史記
二人の間に、 自然に割り込むように立つ。
永玖
史記
口調が少しだけ固くなったのは、 自分でもわかってた。
やっぱり俺、気にしてんだな……。
この距離感も、笑顔も、全部。
コメント
2件
最高すぎる😭👏✨
続き待ってます!!