その後、追い出してしまうのも可哀想なので、数日間、彼女をこの家に泊めることにした。その間、どうにか彼女の家の場所を知るための手掛かりを見つけようと、いろいろな話をした。彼女の家の場所については分からなかったが、彼女については知ることができた。
彼女には友達と呼べる存在がいないこと…、彼女の家には親族や親しく接してくれる人がいないこと…、そんな環境が嫌になって逃げ出してきたこと…。とは言っても、家の場所が分からないのは本当らしい。ある程度話し終えると、彼女は私に頭を下げて私に懇願した。贅沢もしないし、手伝いもするから、働ける歳になるまでこの家に住まわせて欲しい、もうあんな家にはいたくない、と…。
私はそれを聞いて、少し私に似ていると思った。そして、だからこそ、この少女は私と一緒にいてはいけないと思った。彼女にはまだ、たくさんの人と親しくなる権利がある。しかし、私と一緒にいたら、それこそ誰とも親しくなることなど出来なくなってしまうだろう。この少女には呪いのことを話そう…。今ならまだ間に合う…。
「とても言いづらいんだけど、君をこの家に住まわせることはできないんだ。」
「………」
「君が迷惑なわけではなくて、私には呪いがかかっているの…。だから────」
「知っていたよ。」
「……え…?」
「呪いのことについては知っていた。」
「知ってたのに、今までこの家にいたの……?」
「うん。」
それはまるで、当然のことに返事をしているようだった。
コメント
5件
初コメ , フォロー , ブクマ失礼します🙇♀️ 作品読ませていただきました 。 このお話とても面白いのでこれからも頑張ってください❕❕ 今なら古参になれますか ?((殴
あの、これ宣.伝したりとかって…迷惑でなければしたいんですけど…(( 世界観とか、1話のストーリーの進み具合、長さなど、全てが読みやすくて丁寧な表現でなんか凄いです(雑かよ)。 応援しておりますm(*_ _)m