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アリィ「………。」

ジーク「………。」

アリィ&ジーク(気まずい…!!)

アリィとジークの向かいで、ニャヘマとニェヘマは睨み合う。

ジーク「…その兄弟なら仲良くした方が…」

ニェヘマ「部外者は口を出さないでください。」

ジーク「ハイ。」

アリィ「頑張った方だよ…。」

一蹴されたジークの肩にアリィは手を置く。

アリィ(私とジークは兄弟なんていなかったし…こういう時どうするのが正解なんだろう…。)

アリィ「ノアは…」

ノア「期待してるとこ悪いけど…一人っ子。」

アリィ「なんかそんな気はしてた…。」

ジハード「ミャサハ村壊滅事件。…それが君達が悪魔を恨む理由じゃないか?」

ニャヘマ「なんでそれ…」

ノア「ミャサハ村壊滅事件は知らないや。」

ジハード「ローズに協力する前の話だからな。…10年前の事件だ。砂漠にある無数の集落の1つであるミャサハ村に一人の悪魔が出た。その悪魔は酸のような毒を自在に操った。ミャサハ村のヒトは、もちろん抵抗した。メシュエネの比率が多く、死力を尽して誰かを守ることを誇りとした風土だった。…それが間違いだった。戦ってはいけなかったんだ。…いや、正確には死んではならなかった。毒を一滴でも浴びてはいけなかった。生き残り、非戦闘者に触れれば、非戦闘者にも毒は移った。死体は少しの刺激を与えれば毒を撒き散らす爆弾となった。その結果、生存者は極わずかとなった。」

ノア「毒って…」

アリィ「…ねえジーク、ここまで強い被害はなかったけど毒を使う悪魔ってもしかしてあの村の…」

ジーク「…シリル達が処理した奴…の可能性はありそうだけど、俺達は見てないからな…。」

ジハード「ノアの考え通りだ。…ヒュディだった。逃げてはしまったが…いや。 逃げてくれてよかった。でなければ今頃…生者は1人もいなかっただろう。」

ニャヘマ「…貴方は…どうして10年前の事件なんか知って…悪魔にそこまでの知能は無いはずなのに…。…それに…」

ニャヘマは言いかけ、1度口を止める。そしてジハードに氷の剣を向ける。

ニャヘマ「何故当時その場に居たものしか知らないことを知ってるの?事件の詳細は、被害者に精神的苦痛を与えるとして公に公開されていない…まさか…。」

ジハード「……君達が呪いと言っているソレは、俺が原因だ。すまない、考えが足りなかった。君を苦しめる原因になるとは…」

ニェヘマ「貴方に会ったのはこれが初めてのはずですが。」

ジハード「…そうだろうな。今回と同じく、俺達の存在は夢に埋め込まれた。」

ニャヘマ「夢…?」

アリィ「あ、そこはあんまりなんだ…。」

ジーク「…説明した方がいいか?」

ニャヘマ「お願いします。それと会話を遠慮する必要はありません。ニャヘマが大変失礼いたしました。」

ニェヘマ「でもニャヘマ…!」

ニャヘマ「私は悪魔と同じにはなりたくないの。」

そう言ったニャヘマの声には、強い理性と悪魔に対する嫌悪感が含まれていた。


ニャヘマ「…大体理解しました。でもそれとミャサハ村のことは繋がらない。それにわざわざこれを言う必要が?言わなくても分かるはず…リスクが高すぎる。何のために…」

ジハード「これが嘘だろうと本当だろうと、自分が不利になることは分かってる。何のために…か。オケアノスのため…は違うか。俺のためだ。…多分。」

ニャヘマ「でもありえない…夢のことは大体理解した。それを使えば、悪魔が使った魔法を人間に誤魔化すことはできる。でもそれを永遠に繰り返すことは出来ないはず…」

ニャヘマは一人、ぶつぶつと考え込む。

ニェヘマ「…一つ、毒を操れる悪魔がいた。2つ、貴方は現場にいた。しかし、僕らには見えていなかった。それは夢に嵌め込んだから。ですが…ミャサハ村の死体は全てあの悪魔が作ったものです。同じ殺し方は出来ない。」

ニェヘマ「何をしに来たんです?」

ジハード「ヒュディ…悪魔がこれ以上ヒトを殺すのを止めようとした。俺達はハンター協会に所属してた訳じゃない。ただやってることはハンターと同じだった。」

ニャヘマ「…待って。私は貴方を見たことなんてない。…でも貴方はずっと俺”達”と言ってる…。貴方の仲間は…白髪の2つ結びの女性のこと…?」

ジハード「…オケアノスだ。合っている。」

アリィ「ねぇちょっと待っておかしくない?」

ニャヘマ「…え?」

アリィ「だってジハードの魔法はあったことを無かったことにできるんでしょ?悪魔を止めたかったなら、なんで甚大な被害が生まれてるの?姿を見られないようにするためなら、どうしてオケアノスって子が見られているの?」

ジハード「それは…説明しても…」

ジーク「…自分しか覚えていないから話す価値がないってことか。」

ニェヘマ「…話してください。別に貴方を許す訳じゃない。…でも…ニャヘマが可哀想だ。」

ジハード「…分かった。これは誰の記憶にも存在しないあった事実だ。10年前、ミャサハ村のヒトは全員死んだ。それだけでは終わらなかった。ヒュディは環境を汚染した。その結果、時の国にまで被害が生まれた。毒で汚染された水を飲み、次々とヒトが死んでいった。それは…王族も例外じゃなかったと思う。」

ジハードは自分にしか無い記憶を事細かに話す。

ジハード「今ある現実は一回目からできた結果じゃない。何回も何十回も試行したものだ。やっとのことでミャサハ村だけに被害を留めることが出来た。…そこで怖気付いた。次も無かったことにして、やり直しても今より被害を少なくすることが出来るか自信が揺らいだ。」

ニェヘマ「それだけであれだけの被害が生まれたと…」

ジハード「…最後の1回、それは夢にしていない。無かったことにするのは悪魔の死も同じだ。オケアノスが見えていたのも同じ理由だ。出来ることなら…悪魔だけを殺すことが出来ればよかったんだがな。この魔法は膨大な魔力を消費する。そして不完全な場合につかえば、抽象的な表現を好まない。」

ジーク「…悪魔だけ殺すのはやろうとしたのか?」

ジハード「ああ。あの悪魔の名前はヒュディだった。だから、ヒュディの死と指定した。だがそれは無効になった。…もうアレは自分をヒュディと認識していなかった。」

アリィ「1番ましだったってことかぁ…。」

ニャヘマ「でもそれがこの呪いと関係する訳では無い。」

ジハード「ああ。その通りだ。オケアノスは氷の魔法を使うことを好んだ。幾度の試行の結果、君達に魔法を渡すことが、一番被害を食い止めることができた。君たちが今使っている魔法はオケアノスのものだった。」

ノア「…魔法を渡すって…」

ジハード「渡すも借りるもできる。…勿論嫌われるだろうな。俺達にとってそれは、長年の研究成果を横取りされるようなものだ。だから今まで言わなかった。オケアノスはそれを知ってなお、自ら許可した。だから、分け与えた。」

ニャヘマ「…無くす方法は?」

ニャヘマは手を震わせながら、そう問う。

ジハード「…ない。本来この場にオケアノスが居れば、オケアノスに返還することはできた。」

ニェヘマ「でもいない…ニャヘマ…」

ニェヘマは、心配そうにニャヘマの顔を見る。その顔はジハード以外には見えなかった。突如、パンと乾いた音が鳴る。それはニャヘマはジハードを平手打ちした音だった。そして、震えた声でニェヘマに言い聞かせる。

ニャヘマ「…キール兄さんに手出ししないならそれでいい。」

ニェヘマ「ニャヘマ…」

ニャヘマ「…行こう、ニェヘマ。私は悪魔なんかにならない。」

それがどういう意味だったのか理解する前に、2人は行ってしまう。

ノア「その…大丈夫…?」

ジハード「まさか、ビンタ一発で済ませてもらえるなんて、思わなかったな…。」

と、独白した本人は言ったのだった。

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