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ノア「よかったの?」

ジハード「ん?」

ノア「だって言ってないことがあるよね?」

ジハード「ああ…男の子の方か。」

アリィ「えっ、何の話?」

ジーク「…こいつ嘘をついたんだ。」

ジハードは少し驚いた顔をしてから答える。

ジハード「…ああ、嘘をついた。俺が魔法を分け与えたのは、2人じゃない。ニャヘマ、ただ一人だ。」

アリィ「でもニェヘマって子が魔法を窓の外から使ってたのは皆、見てるよ?」

ノア「恐らく自覚してから、間もない。だからアリィが気づかないのも無理は無いよ。あれは、ニェヘマ君独自の魔法だ。」

ジーク「見てた限り複製…みたいな感じか?」

ジハード「その認識でいい。幾分か性能は落ちるみたいだが。」

アリィ「どうしてわざわざそんなことを…あ。」アリィは言いかけ、思い出す。あの2人が悪魔に強い憎悪を抱いていたのを。

ジハード「…オケアノスはニャヘマを気にかけていた。それがどうしてかは知らない。けど、オケアノスが大切にする者には、俺も幸せでいて欲しい。そのためなら、悪役にだってなれるよ。」

そうジハードは穏やかな声で答えた。

ジハード「違った。悪役じゃなくて正真正銘の悪だったな。」

そして、その後要らぬ訂正をするのだった。


ルスベスタン「キールさん。」

クリウス「ルスベスタン。それにアマラも…」

アマラ「あんまり遅いのでな。何かあったのかと思って、迎えに来たんだ。」

クリウス「あー…ちょっと厄介な人が起きてて隠れるのに手こずったんだよ…。」

アマラ「お目付け役か?」

クリウス「そんなとこ…。」

ルスベスタン「家出少年は大変ですね。」

クリウス「家出おっさんの間違いでしょ。」

ルスベスタン「あ。」

クリウス「?」

アマラ「お前がおっさん…?ならアタシは仙人だぞ。」

ルスベスタン「あーあ、長命種の逆鱗に触れましたね。」

クリウス「えっ。」

アマラ「ま、まぁとにかく…クリウス。お前の力が必要だ。話を聞いて欲しい。」

アマラはクリウスの金色の瞳を真っ直ぐ、見据える。クリウスはしばし考え込み視線を落とす。

クリウス「いいよ。でも」

アマラ「でも?」

クリウス「…死んで逃げるなんてこと出来ないようにしないと。姉上の責任は僕にもある。」

ルスベスタン「それもそうですね。荷物持ちましょうか?」

クリウス「いやいいよ。大丈夫。」

ルスベスタンはクリウスの隣に並び歩く。視線だけ、アマラに向けて釘を刺す。

「忘れるなよ」と。

アマラは気にとめずルスベスタンと反対に並び、歩き始める。それをルスベスタンは肯定と受け取ったのか、それ以上特になにか訴えることはなかった。


ノアがジハードの記憶を覗いている同時刻、下の階で宿の食器を物色しているルスベスタンをアマラは見つける。

アマラ「…それ。」

ルスベスタン「なんです?」

アマラは分からないのかと呆れた目で、ただ見てくる。

ルスベスタン「ああ、洗うので大丈夫ですよ。最も…これで食べたいかどうかは別ですけど。」

そう言いながら、指でフォークを弄ぶ。アマラは溜息をつき、諦めたように言う。

アマラ「ヒトの物を物色すること自体が感心しないんだよ。」

ルスベスタン「へぇ。」

ルスベスタンはどこ吹く風と言った風に素っ気なく返す。

ルスベスタン「フェニックスって、倫理観とか気にするんですね。それとも『梟』である貴方だけですか?」

アマラ「お前、何者なんだ。」

アマラは直球に問う。

ルスベスタン「何者、ねぇ。」

アマラ「フェニックスを知ってる人は多少居るだろうよ。でも『梟』を知ってるのは関係者しかいないはずだ。」

ルスベスタン「でしょーね。アルテ・フィアン。」

ルスベスタンはアマラにフォークを向け、そう言う。

ルスベスタン「ムチャシャ。エイグ・タヤッセ。」

ルスベスタンは次々と、謎の単語を発言し続ける。

ルスベスタン「そして…アマラ・レイアン。ユシアルグ国の第4王女を手にかけた大罪人。」

アマラ「…なんでそれを知ってる?」

アマラは酷く低い声で、ルスベスタンに問う。そして、やけに装飾が施された、小さなナイフを出す。

ルスベスタン「…やっぱりね。」

ルスベスタンはナイフの装飾を見て、1人納得する。

ルスベスタン「表舞台にたち、フェニックスの全貌を見えなくする。それが『梟』に与えられた役目。情報役であり、知で団員を守る盾。よくやってると思いますよ。現に貴方はいつでも好きなだけ、貴族から情報を得られる。さっき言った名前、あれ全部活動名ですよね?『梟』は『梟』の名前で活動していない。だから関係者しか知らない。」

アマラ「質問に答えろ。」

ルスベスタン「なんで知ってるか?ですか。貴方を過去に調べたことがある。からですよ。必要だったんでね。あ、もう一個ありましたね。自分が何者か。ってのが。」

ルスベスタンは一区切り置き、アマラの瞳を見る。そしてこう答えた。

ルスベスタン「ー掃除屋アグヌット」

アマラ「…っ!ははっ…こりゃ大物だな…!」

ルスベスタン「昔依頼を持ちかけられたんですよ。王族殺害したアマラ・レイアンという”人間”を殺せって。」

アマラ「掃除屋アグヌットに目を付けられて、まだ生きていられるなんて、アタシは豪運らしいな。」

ルスベスタン「勘違いしないで貰えます?依頼を受けていないからですよ。断ったんで。」

アマラ「どうせ雇おうとしたのは、王族だろ?なんでそんな勿体ないことを…」

ルスベスタン「気に食わなかったから。」

アマラ「…は?」

ルスベスタン「あいつら、嘘ついてたんですよ。必要な情報も伏せて。だから気に食わなかった。」

アマラ「おいおい…」

ルスベスタン「だから断った。『俺はアマラ・レイアンなんて人間、知らない』ってね。だってそうでしょう?アマラ・レイアンはメシュエネなんだから。病弱でよかったね。そのおかげで人間と思われてもう時効。本名のまま活動できるし。」

アマラ「嘘だろ…」

(アタシは知っている。)

ーこの気まぐれだけで決める男を。

ーこの支離滅裂な発言をする男を。

ーこの心の奥を読ませまいとする男を。

ー依頼するまでが困難すぎる男を。

ー引き受けた仕事を一度も失敗させたことがない男を。

アマラ「お前は…掃除屋アグヌットのルカか。」

ルスベスタン「今はルスベスタンでお願いしまーす。」

そう言い、ルカはルスベスタンとして返事する。そして、アマラにエゲスト教のシンボルである首飾りを見せる。

アマラ「……。」

ルスベスタン「自分は味方でも敵でもない。…条件次第で味方になってあげてもいい。」

取引というのは、腹の探り合いだ。だと言うのに、アマラだけが一方的に知られ、ルスベスタンは探られることを許さない。一度探ろうとすれば、不安定なルスベスタンやルカ以外の何人もが顔を出す。

ルスベスタン「取引しよう。」

拒否権のない随分と一方的な取引を持ちかけたのだった。

ポルポルは今日もお腹が空いている

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