テラーノベル
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仕事も夕飯も入浴も済ませて、夜のまったりタイム。狭山さんのDiscordサーバー【茶の間大海】で、メンバーの1人がアイドルのMVをおすすめしていたので、なんとなく見ていた。
歌も踊りもうまいけど、なんかそんなに感動がないな……と思っていると、千歳(朝霧の忌み子のすがた)に『何見てるんだ?』とスマホを覗き込まれた。
「知り合いの人が推してるアイドル」
『へー、かわいいじゃないか、どの子が好みだ?』
「うーん……」
俺は少し困った。なんというか、千歳のほうがずっときれいなのだ。だから、特に目を引かれるものがない。
「えっとその……これは贔屓目ではなく、客観的にそうだと思うから言うんだけど」
『うん?』
「あの、千歳のほうがかわいくてきれいだから、あんまり感動というものがなくて……」
『ワシ!?』
千歳は目をまん丸くした。
『いや、ワシ顔はいいほうみたいだけどさ、アイドルとタメ張れるほどじゃないだろ!』
「千歳のほうが上、これは客観的に言って」
目鼻立ちの整い方、全体的な端正さからいって、少なくとも今見てるアイドルは超える。
『マジか!?』
「こんなにきれいなのに、生きてた時ひどい扱いされてたのが信じられない」
『ええー、マジかー、ええー……あー、でも、思い当たるフシはあるかも……』
千歳は考え込んだ。
「と言うと?」
『ワシ、江戸時代で言うなら大人の男並みの背はあったんだよ』
「あー、そう言えば高千穗先生がそんなこと言ってたね」
とよか病院で千歳(朝霧の忌み子のすがた)の身体測定をしたが、その時に江戸時代の男性くらいの身長、とは聞いた。
『でかい男並みの背があって、なのに顔はわりと綺麗な女、ってなるとなんか変だったのかも』
「変? モテそうだけど?」
『モテないって、子供作れないんだし』
「それはあんまり関係ないだろ」
俺は、当時の千歳がどう見られていたか想像してみた。
高身長となると、今で言う180cmくらい? それでアイドルを凌ぐようなきれいな顔。そして、とても強い霊力を持つ特別な存在……。
「……それさ、千歳がきれいすぎて逆にみんな近寄れなかったのかもよ」
『ええ!?』
「結構背があって、すごくきれいで、霊的にすごく強かったんだろ? 近寄りづらいし、怖いまであるって、そんな人」
『ええー!?』
千歳はずっと驚きっぱなしで、『別に、全然近寄ってほしかった……』とつぶやいた。
『寂しかったもん』
「寂しかったのか……」
なんだか千歳が気の毒になってしまって、俺は千歳の背中をそっとなでた。
「……今の千歳はさ、きれいだけど女の子の背丈だしさ、性格も明るくて元気で人好きがするから、なんにも心配いらないって」
『そっかあ、だから星野さんも緑さんも仲良くしてくれるのかな?』
「星野さんも緑さんも、千歳の性格見てくれてるだろ。機会があれば、他にももっとたくさん友達作れるって」
機会、というのがあるかどうかわからないが。特に学校に行っているわけでもなし、所属しているコミュニティは心霊関係ばかりだし。
まあ、それでも仲いい友達は二人いるんだし、心霊関係にもいい人はたくさんいるし、大丈夫だろ。
……俺の考えは、少し浅はかだった。千歳は顔も性格もいい。恋愛感情を寄せる人だって普通にいておかしくない、ということを、まったく失念していたのだ。
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コメント
1件
ああ〜第666話おつかれさま!✨ 今回の千歳の「寂しかったもん」がめっちゃ刺さったよ…😭💔 アイドルよりきれいって言われて驚きっぱなしなのに、過去の孤独をポロッとこぼすギャップがもうね…! 主人公が背中なでるシーン、優しすぎて泣く。今の千歳には友達いてよかったね、本当に…! 続きが気になるっ🌸