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「んん……」
「おはよ涼太、」
「あれぇ…俺より早いの…」
「まぁ色々。涼太出かけるぞ」
「えっお仕事は?」
「今日は休み」
全く休みなんかじゃない。涼太が起きる前、俺は部長に「体調不良で」と有給を使った。何故わざわざ有給を使ったのか。ま、体調不良ごときでって渋い顔されたから。
でも今日は どうしても涼太を連れていきたい場所があった。それは、
「携帯ショップ?」
「新しいの買ってあげる」
「えー?これ使えるよ?」
「…お揃いにしよう?笑」
「!…んへ笑、うんっ」
可愛い笑顔。全然屋外だが抱きしめたい。その笑顔は俺だけにしか見せないでって言ったら照れるか怒るかか笑。
『アプリの引き継ぎしますね』
「はい」
「きんぎょぉ~…」
「子供か笑」
機種を決め、店員さんの指示を聞いている時だった。涼太は机の端においてある金魚鉢を眺めながら子供のような反応をしていた。今度飼っても良いけど。でも丁度良かった。
「すみません」
『はいっ』
「~~の引き継ぎなしってできますか?この人の…」
『…勿論です』
店員さんは何か悟ってくれたみたいで、快く引き受けてくれた。流石と思う反面、手間を掛けさせるなと少し申し訳なくなった。そんな事も知らず涼太はまだ金魚に夢中。
店員さん達がこそこそ何か言ってるなって思ったら「可愛い」って声が聞こえてきた。
…俺の涼太だっつーの…
「しょた、ありがと」
ニコニコ笑顔で俺の腕を組んでくる涼太。昨日の涼太とは違い生き生きとしていて、俺も思わず笑みがこぼれる。そんな涼太の頭をそっと撫でた。ほんとに可愛い俺の彼女。だからこそ康二への気持ちは冷めていた。これで涼太は怖い思いをしなくて済む。
「!すごーい!ここのイチョウ並木っ」
「ほんとだな笑」
「…すげー綺麗…」
「!」
「…んふふ」
パシャッ…
「ただいまっと」
「ただいまぁ」
「翔太!」
「はいはい笑」
そう言って玄関で靴を履いたまま涼太は少しばかり背伸びをする。
段に乗って俺のほうが涼太より背が大きくなる瞬間。涼太は腕を広げハグを求めてくる。
そんな涼太を抱きしめお姫様抱っこに切り替える。
これは俺たちのルーティン。
涼太はいつも楽しそうに俺の首元へ顔を埋めて、すりすりと猫みたいなことをする。それが本当に可愛いのだ。
「むふふぅ」
「子供だねぇ笑」
「翔太!みて!」
「ん?」
涼太が見せてきたのは先ほど買ったばかりのスマホのロック画面。
…そこには俺がイチョウ並木を見上げる写真が使われていた。俺は驚いて声が漏れた。
しかもその写真は太陽の光も相まって本当に美しい写真へとなっていた。
「俺の写真…いつ撮った?」
「んふ笑…この写真はぁ、俺の宝物」
「良いでしょ」と笑いながらさっきよりも少し強い力で抱き締められる。
俺は恥ずかしくて、でも何より涼太の一番であることを再確認して、またそっと涼太を抱き締めた。
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