テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

⚠️死ネタあります!

苦手な方は閲覧おやめください🙇‍♀️






夜。水辺で佇むラウールの姿を、ヘッドライトが照らし出す。車から降りてきた岩本は、ゆっくりと歩いてラウールの隣に並んだ。

💛「……早いね」

🤍「……うん。心の準備が、必要だから」


2人の間を重い沈黙が包む。しばらく経つと、示し合わせたわけではないが同じタイミングでその場を離れ、ポケットから拳銃を取り出して向かい合った。




🤍「……なんでこうなっちゃったんだろうね」


💛「……」


🤍「なんで、俺たちみんな同じことやってたんだろうね」


💛「……」


🤍「やっぱり、同じグループの人とは同じ考えを持つのかな」



ラウールの問いかけに、岩本は全く答えることができなかった。


互いに拳銃を向け合ったところで、

🖤「ラウール!!」

もう一台車が来て、目黒と宮舘が降りてきた。

🤍「なんで……!」

チラと車の方を見たラウールは、思わず声が漏れる。

💛「俺が呼んだの。やっぱり、後処理屋に何も言わずに“殺し”なんてできない」

🤍「……そう」

岩本の答えに、ラウールはそう返すことしかできなかった。やはり、殺し屋と後処理屋の関係は、断ち切ることができないみたいだ。




目黒と宮舘が見守る中、岩本とラウールは互いに銃を向け睨み合っている。

ラウールの標準はなかなか合わない。……メンバーに銃を向けるなんて、想像もしていなかったから。

これまで殺し屋として多くの人を殺してきたラウール。「人を殺す」と言う行為に、恐れなんて抱いたことがなかった。だが今は違う。大切な人に向かって銃を向けていることで、殺すことに対して恐怖を感じていた。

誰が大切な人を殺せるというのだろう。自分にとって、大切で、大好きな相手を……



気づけば、ラウールの目からは涙が溢れていた。腕もプルプルして、とても銃を撃てるような状態じゃなかった。


🖤「ラウール!」

見ていた目黒が、声をあげる。

🖤「やめろ、そんな状態じゃダメだ!」

❤️「おい、目黒……!!」

宮舘に呼ばれても、目黒は足を止めなかった。


ラウールのことを守るためだろうか。

ラウールだけ岩本に殺されることを恐れたのだろうか。

目黒は決闘の中へ飛び込もうと足を踏み出した。殺し屋の決闘を後処理屋が止める事は、この界隈では禁止とされている。目黒はその決まりを破ろうとしてまで、ラウールのために動いた。だが。


🤍「やめて、めめ!!」

ラウールの声で、目黒は動きを止めた。

🤍「……これは、俺と岩本くんの勝負だから」

これは、こなさなければならない任務だから。

ここで自分だけ死んでしまえば、相手はずっとこの苦しみから逃れることはできない。だったら、ここで自分が相手のことも終わらせてしまえばいい。

そう考えたラウールは、涙を拭いて殺し屋としての目つきに変わった。


🖤「ラウール……」

目黒もその覚悟を感じ取ったのか、それ以上は何も言わなかった。




冷たい風が、4人の間をすり抜けていく。

🤍「……ごめんね、岩本くん」

そう呟いたラウールは、岩本の銃声が聞こえたのに合わせて、トリガーを引いた。



もっと、Snow Manとして活動したかったのに。

もっとこの9人でいたかったのに。

どうしてみんな「殺し」に関わっていたのだろう。せめて違うグループだったら、マシだったかもしれないのに。

それに、なんで俺は……いつかこうなるかもしれないって、分かってたのに。

どこで誰が何をしているかなんて、分からない。この仕事も、知り合いが実はやっていた可能性も考えていたのに。なんでこの仕事を続けていたのだろう。

こんなことになるなら、やっぱりもっと早く辞めておけば良かった。

……仲間のこと、殺したくなんてなかったのに。



ほぼ同じタイミングで放たれた弾はお互いの胸に当たって……

ラウールと岩本は、同じタイミングで倒れた。



遠くの方で、目黒と宮舘の声が聞こえる。

薄れゆく意識の中、ラウールは心で呟いた。







みんな、さようなら。

来世では、誰も手を汚すことなく、誰1人欠けることなく……ずっと一緒に仲良くいようね。











目の前で、運命の人が倒れた。

こんな未来を想像もしていなかったから、胸の奥がキュッとなって、苦しい。





決闘を見守っていた宮舘は、胸から血を流している岩本に駆け寄ると、その場に力無く倒れ込む。

🖤「ねえ、ラウール。起きてよ……」

力のこもっていない声で、倒れたラウールにそう話しかける目黒。

❤️「……無駄だよ。2人は決闘で死んだんだ」

自分で口にしながら、宮舘の目には大粒の涙が溢れてくる。


あの4人が死んだ時もそうだった。こうやって涙が溢れてきて、一晩中止まらなかった。


❤️「もう、やだよ。こんなこと……」

ポツリとこぼすと、宮舘はポケットから何かを取り出し、目黒のそばへ行く。

🖤「……何、舘さん」

涙でいっぱいの目で、目黒は宮舘を見上げる。

❤️「目黒、俺たちも死のう。後処理屋の決まり、守らないと」

そう言って、宮舘は手にしていた薬を目黒へ渡す。

後処理屋は、殺し屋が死ねば後を追わなければならない。運命を共にする、そういう決まりだ。

🖤「でも、佐久間くんが……」

❤️「……ここで死ななかったとしても、どうせ俺らは消されるよ?」

🖤「……」

殺し屋の世界とはそういうものだ。足を洗おうとしても、逃げ出そうとしても、トップの奴らが必ず追ってきて命を奪われる。

足を踏み入れれば最後、この命尽きるまでこの世界から抜け出すことはできない。

目黒は黙って薬を受け取る。抗うことは諦めたようだ。



2人はどちらからともなく遺体の後処理を始めた。

遺体を湖へ落とし、血痕を消す作業を行うと、車を山の茂みの深くへ隠す。

全ての作業が終わったら、2人は先ほど宮舘が持って来ていた薬を手にした。







アイコンタクトを取り全く同じタイミングで口に含むと、2人は湖へと身を投げた。

この作品はいかがでしたか?

167

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚