ガチャ、ガチャ、ガトン
休日の昼間。散歩をしているとある駄菓子屋にポツンと不気味なガチャガチャを見つけた。14種類のガチャガチャ。1回50円と珍しい値段、名前は油性ペンか何かで塗りつぶされていて読めない。興味をそそられてやって見ることにした。1回目
ガコンッ
「は…?なんやこれっ…」
出てきたのは同じ『○○の主役は我々だ』というゲーム実況グループで活動している。ゾムだった。
『ロボロっ!! お前おっきくなったな!!』
こんなグッズ俺らは作ったことが無い。そして何よりこいつは動くし喋るし、まるで本物のゾムをそのまま小さくしたような見た目をしていた。性格まで似ていて、小さいゾムの胸に人差し指を当ててみると、さすがに心臓は動いてはいなかった。14種類…って事は俺の大好きなシャオロンもおるってことか、とガチャを回す。2、3回回したが、オスマン、レパロウが出てきた。やはりこの2人もゾムと同じ、本物のオスマンとレパロウをのそのまま小さくしたような見た目、性格だった。その後も回してみたが、なかなかシャオロンは出てこなかった。
「くそ、金もう無くなってもうた…」
ガチャの残金を見ると、50円玉はもうなかった。
しょうがないか、今日はもう帰って明日また来よう。
次の日、また次の日、そのまた次の日、毎日毎日ロボロは駄菓子屋に通った。合計で7回ガチャを回したが、勿論シャオロンは出てこなかった。
「くそ〜、あと1回…」
がこんっ、と回した。何が出るだろう。今日こそシャオロンは出てきてくれるだろうか……
ガチャコンッ 出てきたのはシャオロンだった。その瞬間、ロボロは口をパクパクさせたまま固まってしまった。まさかとは考えたがほんとにシャオロンがでるとは思わなかったのだ。しかも、そのシャオロンは小さいゾムと同じような見た目をしていた。
「なぁシャオロン俺の事、好き?」
『すきっ!すきっ!大好き!!』
「…は?」
『ロボロっ!すき…』
ボキッ、俺は小さいシャオロンの指をおる。すると笑顔だった小さいシャオロンの顔は、怯え、絶望した表情になった。
『ひっ、』
「シャオロンは俺にそんな事言わへん。」
本物のシャオロンだったら、「友達としてなっ、」とでも照れながら言うはず。俺はそんなシャオロンが大好きだった。だがこいつはシャオロンではない。そう思った瞬間、一気に感情が溢れてくる。ガンッ 小さいシャオロンを灰皿で殴ると、小さいシャオロンは動かなくなった。
「まぁ、所詮はこんなもんか…」
やっぱ俺、本物のシャオロンに会いたい。
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