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萩原なちち
「……しゅうとと、何かあったんですか? 今日はやけに積極的だから」
「んっ、……ちょっとお話ししただけですよ。でも、今度から映画の感想は、僕に送ってほしいな」
「それ、ヤキモチですか? 嬉しい」
いつきさんの首に回していた手に力を込め、ぐっと引き寄せる。お喋りは、一旦お休み。今はただ、いつきさんの熱を味わいたい。
「……ゆうたさん、好き」
重なる唇の隙間から、僕を誘導するように何度も繰り返される、彼の言葉。
「僕だって、いつきさんのこと、大好きですよ?」
「本当に?」
「本当だってば」
クスクスと笑い合いながら、何度もキスを重ねて。気がつけば身体をくるりと反転させられていた。……あれ? 僕、また「お布団」の位置だ。
「ん~、やっぱりこの位置が落ち着く」
ぎゅうっと僕を抱きしめて、いつきさんが僕の首元に顔を埋める。
……あれ、もしかして、この体勢って。
「……いつきさん、犬飼ってました?」
「え、なんで分かるんすか? おじいちゃん犬ですけど、今も実家にいます」
「僕も実家で飼ってたんですけど。学校で疲れた後、胸の上に乗せて匂いを吸い込むの、よくやってました」
「うわ、それ、俺もやってました。……これ、その癖なんだ」
今、自分で気づいたんだ。……ってことは、やっぱり僕をペットみたいに思ってやってたってことでいいんだよね?
「……ペットに欲情するなんて、いつきさんはエッチですね」
彼の下唇をぺろりと舐めとり、カプリと軽く噛む。
目が合った瞬間、後頭部を大きな手で押さえつけられた。もう、このキスからは逃げられない。
「……俺、ペットだなんて思ったこと、一度もないっすよ。ずっと、ゆうたさんにだけ欲情してます」
「……この間、家に来た時も、そう思ってお腹に乗せてたんですか?」
「もちろん! だけど……ゆうたさんの部屋って、『THE・仕事場!!』って感じじゃないですか。なんか、すっげぇ悪いことしてる気分になって……チキって逃げました。ごめんなさい」
「わぁ、そうだったんですね。……全然、襲ってくれてよかったのに」
あ。
待って、僕、今とんでもないこと言った。
いつきさんの目が点になっている。……ダメだ、自分の心臓の音がうるさすぎて、耳が熱い。
「……ほら、やっぱり前と全然違う。しゅうとと何か話したでしょ?」
「やだ、いつきさん、くすぐったい……っ!」
シャツの中に手が滑り込み、容赦なく体を愛撫される。
楽しい。ずっと、この時間が続けばいいのに。
「あ、やだ……いつきさん、だめ……っ」
するりと、熱を持った指が僕の奥に触れる。僕の好きな場所を知っているみたいに、的確に、執拗に。
「昨日もしたんですか? 俺のこと、想像して」
「んっ……昨日は、疲れちゃって、できな……っ、んんっ、気持ちいい……!」
唇を塞がれ、そのまま深く組み敷かれる。
唇が離れる度に、僕を貫く彼の真剣な瞳が見える。
……うわぁ。やっぱり、死ぬほどカッコいい。
いつきさんも今、僕のせいでめちゃくちゃに幸せだったらいいな。
「……激しくすると傷つきそうだから、コンドーム、つけますね?」
「え……っ」
もうこんなに準備はできているから、そんなに気を遣わなくていいのに。
「あっ、いつきさん、激しい……っ!」
ゆるゆると優しく動いていた指が、不意にギアを上げる。
やだ。いつきさんがキスで塞いでくれていないと、気持ち良すぎて声が漏れすぎてしまう。
そのうち、前も一緒に緩急をつけて弄られて、頭の中は真っ白な快感に支配された。
やばい。変な喘ぎ声しか出ないし、きっと可愛い顔なんてできていない。
「んっ……!! んんんっっっ!!!」
身体がビクビクと大きく震えて、僕の中に溜まっていたものが溢れ出す。
だめだ。こんなに出しちゃったら、いつきさんのベッドを汚してしまう。
「……ゆうたさんって。本当は、激しいの好きでしょ?」
僕を見下ろして、いつきさんがニヤリと「悪い顔」で覗き込んできた。
あぁ、もう。どうせ全部バレてるんだろ? あんたなら何でもいいから、めちゃくちゃにしてくれよ。
「……うん。いつきさんに、めちゃくちゃにされたい。うあっ……!」
想像以上に熱を帯びたいつきさんの質感が、ズプリと最奥まで突き刺さる。
余裕のない表情も、時折「大丈夫?」と優しさが滲み出るその口元も。……本当に好き。大好き。
「いつきさんっ、もっと、もっとして……!」
「ゆうたさん、大好き、あっっっ……!」
激しく打ち付けられる衝撃に身を任せ、腰元に手を伸ばすと、一瞬いつきさんの顔が歪んだ。
同時に、僕の中に温かいものが一気に流れ込んでくる。
……え、待って。いつきさん、イキながら、なんでそんなに落ち込んでるの?
「……ごめんなさい。ゴムつけるの、忘れちゃいました。あんなに、たくさん貰ったのに……」
「いいですよ。僕、気にしてません。気持ちよかったし」
「違うんです。俺、ちゃんと勉強したんです! いろんなリスクがあるから、ちゃんとした方がいいって。なのに、ゆうたさんに、なんてことを……」
ちゃんと勉強してくれたんだ。僕のことをそんなに大事に思ってくれていることが、何よりも嬉しい。
「ありがとう。僕も、次からは気をつけます。……今度は、付け合いっこして始めましょうね?」
「……付け合いっこ……。うわぁ、かわいい……!」
「待って! いつきさん、僕もう無理……っ!」
そんな風に笑い合いながら、その後は舐め合ったり、いじり合ったり、付け合いっこしたり。
本当に、遊びの延長線上に愛があるような、幸せなセックスをした。
いつきさんは、前の彼女ともこんな風に笑って過ごしていたのかな。
それとも、僕だからこんなに楽しんでくれているんだろうか。
幸せを感じれば感じるほど、いつきさんの過去も未来も、すべて独占したいという欲がどんどん湧いてきてしまうんだ。
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