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飴ちゃん
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部屋の電気を消しても、目が冴えていた。
スマホの画面だけが、ぼんやり光る。
(……あの顔)
角を曲がった瞬間の、あっきぃ。
一気に色が抜けて、息が乱れて。
思い出すたび、胸の奥が重くなる。
(俺が、呼んだだけで…)
名前を。
ただそれだけで、ああなった。
【ぷりっつ】「……俺の声、だよな」
ベッドに座り込んで、頭を抱える。
(嫌ってたわけじゃない、なんて)
(今さら、通じない)
まぜ兄とけちゃ兄の背中が、遠ざかっていく時。
自分だけ、足が動かなかった。
本当は行きたくなかった。
(また、置いてきた)
スマホを手に取って、 トーク画面を開く。
『あっきぃ』
最後のメッセージ。
『今は、ここにいる』
既読は、ついてる。
(……生きてる)
その言い方に、自分で驚く。
(いや、違う)
(ちゃんと、呼吸してるか)
(今、どこにいるか)
【ぷりっつ】「〜〜っあー、もう!」
考えが、ぐちゃぐちゃになる。
布団に潜り込んで、天井を見る。
【ぷりっつ】「……ごめん」
誰にともなく、呟く。
(助けられてたの、俺だったのに)
(弟に)
あっきぃは、何も言わなかった。
怒りも、文句も。
(……それが、一番きつい)
スマホをもう一度見る。
文字を打つ。
『さっきは—』
消す。
『大丈夫だった?』
消す。
(……聞く資格、あるのか?)
指が止まる。
【ぷりっつ】「……短く」
打ち直す。
『今日、怖い思いさせたならごめん』
送信、できない。
(……逃げるな)
(…今、送らなきゃ)
勇気を出して、押す。
シュポッ。
しばらくして、画面を開く。既読。
返事は、ない。
それでも、不思議と
「拒絶」じゃない気がした。
(……待つ)
(今度は、俺が)
電気を消して、小さく決意した。
【ぷりっつ】「……ちゃんと、向き合う」
その夜、
俺は初めて「兄であること」を、
重さとして抱えた。
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