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暇だったので
好きだよ
いるまの胸に手を当てたまま、らんは黙っていた。
夜風が、そっと髪を揺らしている。
「……なあ、らん」
「ん?」
「このまま、もう少しだけ一緒にいていいか?」
「うん。ずっといて。……ていうか、俺がいるまを離さないけど」
らんはそう言って、いるまの肩に自分の額を預けた。
その小さな体温に、いるまの心臓がまた跳ねる。
「……なんで、そんなに優しいんだよ。俺、全然優しくできねぇのに…..」
「ううん。いるまは俺にだけ、ちゃんと優しいよ。分かってる」
「……お前だけなんだよ」
「え?」
「好きになるのも、こんなに考えちまうのも。お前だけなんだ」
らんの目が、一瞬見開かれた。
いるまは、ゆっくりと息を吐いて、それでも目をそらさずに言った。
「俺さ、好きって言葉、怖くて。言ったら終わりそうで……でも言わなきゃ伝わんねぇよな」
「……いるま」
「好きだ。俺、お前のことが、ずっと前から」
その瞬間、らんの目に涙が浮かんだ。
「ば、バカ……そういうの、もっと早く言ってよ……」
「ごめん。けど、今はもう隠さねぇから。お前が笑ってくれるなら、何でもする。絶対に」
らんは、何も言わずにいるまの胸にぎゅっとしがみついた。
「俺も、大好きだよ。……怖いくらい」
「怖くても、俺が隣にいる。ずっと」
夜のベランダ、2人の影が寄り添い合って、静かに、確かに、恋が深まっていく。