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〜お兄様〜
第95話
カランカランと、ドアベルが鳴った。
「いらっしゃいませ」
「狼の獣人はいるか?」
二十代くらいの第一部隊のエリートバッチを着けた一割型獣人が殺意満々で、私の前に仁王立ちをしている。
「すみません。今は、体を壊してしまって、お会いできるような状況ではありません」
「ほぅ。逆らう気か?」
「もう一度出直していただくと幸いです」
私が無視して口を開いたら、案の定、相手にも無視された。
客室にドカドカと入って行って、階段を上がりかけた。
「すみません。そこから先は、プライベート空間となりますので……」
勿論、その言葉もフル無視だった。
「出禁です!」
私は、その獣人の事を店の外に追い出した。
「もう……どいつもこいつも……」
取り敢えず、その店の外に追い出した所に行くと……既に、壁をよじ登っていた。
「よこしまな気配!」
私はそう言ってその人がよじ登っていた所に、重力魔法をかけた。勿論、重力が強くなるように。
「何だ?」
「出禁、と私はしっかり言いましたよ。そんなプライベート空間に入ろうとするなんて、除き魔か何かですか?」
「ふっ……ふふっ」
その人が笑った瞬間、理性の糸かプチンと音を鳴らして切れた。もう無理。
「殺しますわよ」
「殺る気? それなら俺も殺る」
私は、無視して剣を持った。今回は初っ端から星霊の剣。もう、色々考えるなんて面倒。
「大丈夫? このままじゃあ、俺の弟死ぬけど」
あ、そっちだったか……
でも、そう思っていても、殺意は倍増。
「へぇ……面白いね」
「全然、面白くないですけど……私って何が面白いんですかね?」
ノアは部屋で、もがき苦しんでる。でも、この人と対面させるのは良くないだろう。
……ん? 呪いが新しくかかってる?
しかも、かかってる呪いに残ってる魔力と、この人の魔力はまた別……他にいるの?
何が起こった?
「クルトかよ……面倒だな」
クルト? 誰?
というか、貴方も誰よ。急にこっちに……
「取り敢えず、お前より先にあいつを殺すから看取ってな」
「ふざけるなっ!」
私はそう言って、金属バットで後頭部を打った。見事ヒット。
でも、意識は飛んでない。少し、ひるんだだけ。
「私の大切な人の敵さん。誰を敵に回したか分かってるんでしょうね」
私は、シニカル笑みを浮かべた。理性の糸というものは、無くなってしまったから、もう私は暴走機関車。
「大切な人か……ゴミを拾って大切にする人なんてな」
どこかで聞いたことがあった。
……あ。あの毒を盛られた時……
『俺はっ! 捨てられたんだっ! 捨てられたゴミを拾って、大事にするやつなんてどこにいるんだ?!』
「本当、何も分かってない」
私はポツリとその言葉が溢れた。
本当に、ノアの事を知ったかぶりして、何も分かってない。
「は?」
「……私は、一度見極めた人を離したり何てしない。それに、貴方なんかにゴミ呼ばわりさせないわよ」
私は、そう言って雷を落とした。
低い所から落としたから、完全には避けきれなかったようだけど……掠ってる。もう少し攻めても良かったかな。
「私は、貴方の所為で人殺しにはならない。だけど、簡単に許す事は無いと思って」
「へぇ……その大切な人が人殺しでもか?」
「過去は変えられないわよ。それに、ノアは万が一にでも人を殺してしまったらタダでは立ち直れないわ」
……私だって、意味を理解してしまったもの。
「色々な過去を背負って、それでも尚、私のために頑張ってくれてる。なのに、ネチネチ昔の事を言い続けるわけ?」
私は、星霊の剣の先をそいつの首元に添えた。いつでも殺せるし、苦しめさせられる。
「お前、何者だ?」
「え? 貴方の弟さんが護衛をしている人ですけど……」
嘘は吐いてない。
「……お前はなぜ、信じる?」
「信じてるなんて、してないわよ。信じたらその先に進めない」
「……いな」
ぼそっと何かをその人は呟いた。何をいってるのかは、不明。
「貴方、一体何をしたいの? こんな事を……」
私がそこまで言いかけると「お前には関係ないだろ」と言葉を遮られて言った癖に、短く吐き捨てた。
「ぐっ……あがっ……」
瞬き一つすると、あいつの手元にノアがいた。苦しそうで、助けたい一択だった。
でも、これ以上近づけない。否、ノアをどうするかの主導権を相手に握られている。
魔法をかけても、バレるだろう。
ノアは、歯を食いしばって、目をギュッと瞑って……何かにうなされてる。攻撃をしようとしても、ノアを盾にされて、思ったように攻撃ができない。
「ノアっ……駄目だよ。つまんないことで、逝かれたら……私、どうかちゃう」
「勝手にどうかしとけ」
私は後ろからその声が聞こえて、ハッとした。
「この忌み子も、お前が死んだらどうかちゃうのか?」
そう言いながら、その声の主は炎の渦を私の後ろに出した。
コメント
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うわわわ第96話読み終わった…!😭💦 主人公の「殺意倍増」からの暴走機関車っぷり、かっこよすぎるし切なくなる…! 「信じてるなんてしてない」って台詞、裏返しの信頼感じてズッシリきたよ… ノアが苦しんでる姿と、それを守ろうとする主人公の感情がすごく伝わってくる回だった!続きめっちゃ気になるよ😢✨