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『気づいて』

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『気づいて』

10 - Episode 9

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2025年03月26日

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「……会えない?」


拓海の言葉が、胸の奥に重く沈む。


そんなはずない。刹那は、いつもあのカフェにいた。笑って、話して、僕の名前を呼んで――。


















けれど、いくら探しても、どこにもいない。


「本当に、どこにいるんだよ……」


僕は、またカフェへ向かった。もしかしたら今日こそ、いつもの席に座って、気まぐれな笑みを浮かべながら待っているかもしれない。


だが、そこには誰もいなかった。


「……あの、すみません」


思わず、店員に話しかける。


「このカフェによく来てた人、知りませんか? 僕と同じくらいの年齢で、茶髪の、よくここで……」


「あの……どなたのことでしょう?」


「柊刹那って人です」


店員は困ったように首を傾げた。


「申し訳ありません、その名前のお客様は存じ上げません……」


「そんなはず、ないんです」


声が震える。何度も、ここで話した。コーヒーを飲んだ。注文をした。それなのに、まるで最初から存在しなかったかのような反応だった。


「本当に、いないんですか?」


「少なくとも、私が働いている間には……」


店員の言葉が、現実を突きつけてくる。


(そんな、こと……)


足元が揺らぐような感覚に襲われた。


そのとき、不意にポケットの中で何かに触れた。


――小さな紙切れ。


それは、刹那が最後に会ったとき、そっと僕のポケットに入れていたものだった。


震える指で開くと、そこにはたった一言だけ書かれていた。


「さよなら」


目の奥が熱くなる。


「……嫌だ」


言葉にした瞬間、駆け出していた。


まだ終わりたくない。

まだ伝えていない。


たとえ、刹那がもうこの世界にいないとしても――。

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