「俺の芝居を監督が褒めてくれて…。それを見ていたらしくて、またそれから…」
どうやら、原因は嫉妬の様だ…
ドラマや映画に出させてもらう回数が、自分達より多い渡辺は…
その度に一生懸命努力して、少しでも他の共演者の人達に近付こうと努力を重ねて来た
その甲斐あって、こうしてたまに褒めてもらえる機会も増えて来て…
最初は演技に苦手意識を持っていた渡辺も、だんだん楽しめる様になって来た所だった
「………」
岩本の眉間に皺が寄り…渡辺の為に、自分も何か出来ないかと考え始める
「照は、何もしなくて良いからな…」
岩本は渡辺に、ハッキリそう釘を刺される
「でも翔太…」
岩本は心配で堪らなくて食い下がる
「俺だって、昔みたいに演技初心者って訳じゃないし…。あんな圧力に絶対屈したりしない」
そう言った渡辺の目は、死んでおらず…寧ろ、やる気に燃えていた
「でも、ご飯は食べてよ。気力だけじゃ、倒れちゃうから…」
そう言った、岩本は…肉の入った皿を渡す
「あぁ!もう、分かった!食うよ!もう、いただきます!」
モリモリと肉を食べ始める渡辺と、それを見守る岩本…
「よし!終わった!もう良いよな」
食べ終えた皿を岩本に見せ、終わったアピールをする渡辺に
「はい、じゃあ今度は…冷麺か焼飯ね」
岩本がニッコリ笑ってそう告げて…
「………」
思わず、立ちあがろうとした渡辺に…その腕を取って再び笑う
「お前は、鬼か?」
「可愛い恋人の、身体の心配をしてるんですけど…何か?」
小首を傾げて、そう言うと…
「………」
もう逃げられないと悟った渡辺は、大きなため息を一つ吐いて…
「お待たせ致しました〜!」
岩本が勝手に頼んで、目の前に運ばれて来た【冷麺】を…ただジッと見つめていた
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