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アマラ「もう一度作戦について話すぞ。」

ジークとアリィはこくりと頷く。

アマラ「まず、アタシとアリィが城門前で騒ぎを起こす。国門だと放置される懸念があるが、城門となるとそうは行かないからな。その騒ぎに乗じてジークが城内に忍び込む。」

アリィ「結構難しそうだけど…いけそう?」

ジーク「村で働いていた頃は余裕だったろうが…五分五分だな。体がなまってる可能性だってある。…まぁ悪魔から身を潜めるよりは楽なはずだ。」

アマラ「自信があるみたいで何よりだ。忍び込んだら、まっすぐ宝物庫の方へ向かってくれ。」

ジーク「ああ。鍵は…宝物庫を警備してる奴から、直接盗むんだったな。番号は14106か。」

アマラ「お前には基本単独で動いてもらうが…中々眠りそうにない時の場合に備えて、コレはなくすなよ?」

そう言ってアマラは自分の耳に嵌めてある装置を指さす。

アマラ「通信機なんてかなり貴重なんだからな。なくされたりなんてしたら、気絶しちまう。」

ジーク「分かってる。」

アマラ「次に逃走経路だが…分からん!!」

アマラは自信満々にそう言う。

アリィ「まぁ…その国に行ってもないのに経路とか組み立てられないよね…。」

アマラ「分かってるじゃないか。ということで、恒陽の国に観光しに行きます。」

アリィ「おー!」

ジーク「緊張感ねぇ〜。」

アマラ「しかし、残念なことに!コフリーは来れません。キールは元々来る予定なかったが。」

アリィ「えっ最初行くって言ってなかった?その為に長期休暇も取ったって…」

アマラ「仕事は休めたらしいぜ。ただ…屋根ないとこ長時間厳しいかもって。ずっと永夜の方に居たから、耐性が無くなったのかもな。」

ジーク「あの人一応逃走の担当だったよな…?」

アマラ「まぁその辺は上手いことやるだろうさ。私達がやることは観光だ。そして、あらゆる道の情報をコフリーに教える。それと入国直後は警戒されやすい。だからある程度何日か観光して警戒を緩めさせる。ということで…全力で楽しめお前ら!アタシの奢りだ!」

ジーク&アリィ「っしゃあああ!!


恒陽国内で、汗を流しながらジークは呟く。

ジーク「いくらなんでも暑すぎると思うんだ俺。」

アリィ「それな。」

アマラ「そら体調が悪くなる人が大量にいる訳だ。」

アリィ「……。」

アリィはじーっと地面を見つめる。そして急にかがみ込む。

ジーク「どうした?体調があまり良くないか?」

アリィ「いやそういう訳じゃないんだけど…ふと気になって…」

そう言うとアリィは地面を手のひらで触れる。

アリィ「あっっっっっづ!!

アマラ「なんでそんな分かりきってたことをしたんだ…。」

アリィ「分かってても試したくなることってあるじゃん!!」

ジーク「このおバカ…。手を見せてみろ。火傷してないか?」

アリィ「はーい。」

ジーク「して無さそうだな。次からは一言言ってくれ。ビビるから。」

アマラ「地面に触れることは止めないんだな…。」

ジーク「あんまり行儀としては良くないのは分かってるんだがな…こうすることで得られるメリットが結構大きいんだ。地形を利用出来るやつは強い。」

アマラ「へぇ…。そういや昔の友人も結構地面を気にしてたな。」

アリィ「どんな人?」

アマラ「えーと…蛇の獣人で…」

ジーク「それ、身体動かした時火傷しないように気をつけてただけだと思うぞ。」

アマラ「なーんだ。」

アリィ「ジーク、暑いの苦手だけど平気?」

ジーク「暑いが…まだ体調は崩してないし大丈夫だ。」

アリィ「あれ意外と平気?」

ジーク「アマラに日差しを遮ってもらってるからな。」

アマラ「なにっ!」


キール「ただいま。」

キールがある家の戸を開けると、一人の幼い少女が迎える。

少女「おかえり、キール兄さん。」

そう言うと少女は、キールのカバンを持つ。

キール「そこまでしなくていいよ。自分で運ぶから、ネア。」

キールがカバンを返してもらおうと、手を伸ばすがネアと呼ばれた少女は抵抗する。

ネア「いいの!私が運びたいの!」

???「ネアお姉ちゃん、なに叫んでるの?」

ひょこっと、開けっ放しの部屋の入口から一つの頭が見える。幼い少年はキールを認識すると、パァっと目を輝かせる。

少年「キール兄さんだ!おかえり!」

キール「ただいま。メシェネ。」

メシェネと呼ばれた少年はキールの元へ走っていく。しかし飛びつく直前にその勢いは止められてしまう。メシェネは自分を止めた、年長の少年に抗議する。

メシェネ「ニェヘマのケチ!」

ニェヘマ「キールさんは、働き詰めで疲れてるんです。」

キール「ま、まぁまぁ…」

ニェヘマ「お帰りなさい、キールさん。本当にお疲れ様です。今度は何連勤でしたか?」

キール「その話はやめよう…。」

ニェヘマ「ふふっすみません。ニャヘマ、キールさんが帰ってきたから一皿多くしてください。」

ニェヘマはキッチンに向かってそう言うと、キッチンからひょこっとニェヘマにそっくりな女の子が元気よく返事する。

ニャヘマ「はーい!お帰りキールさん!」

キール「ただいま。ニャヘマ。」

少しばかし、ニェヘマとニャヘマとは長い付き合いにも関わらず、ずっと敬語なのをキールは寂しく思う。しかし、それも仕方の無いことだろう。この家には、ニェヘマとニャヘマの双子以外誰一人血の繋がっている者が居ないのだから。遠慮してしまうのも無理はない。ニェヘマに関しては元々の性格もあるかもしれないが。

キール「皆いい子にしてた?」

メシェネ「してたよ!ほめて!!」

ネア「あっメシェネだけずるい!私もちゃんといい子にしてたよ!」

キール「はいはい。」

キールはニェヘマに視線だけで聞く。

ニェヘマ「ちゃんとお手伝いもしてましたし、わるいこともしてませんよ。」

キール「偉いね、よしよし。」

メシェネ「わーい!」

ネア「えへへ!」

普段、子供らはここまで要求をあまり表に出さない。急に要求してきたのは、恐らく寂しかったのだろう。この子らには、誰一人親が居ない。孤児なのだ。彼らの親は等しく、恒陽の国の暑さに殺されてしまった。それでも誰一人不満を漏らすことなく、ここで暮らしている。

ニェヘマ「…キールさんに文句がある訳ないじゃないですか。」

キール「……。」

ニェヘマ「何年も一緒に過ごしてるんですから、少しくらい何を考えてるか分かりますよ。貴方が手をさし伸べてくれていなければ、僕達は明日の寝るとこもご飯すらも危うかった。」

ニェヘマ「貴方には感謝してもしきれませんよ。」

キール「ありがとう。…何日かしたら、俺は恒陽の国に行く。」

ニェヘマ「…!でも…あそこは…」

子供たちは皆聡明だ。下手したら大人よりも。何も言わずとも、どこかでキールのことを察している。ニェヘマとニャヘマの敬称が何年経っても抜けないのが、分かりやすい証拠だ。しかしそれを決して口にしない。故にだろうか。ニェヘマは酷く優しい。本当であれば、自分など殺したいくらい憎いだろうに。そう、キールは思う。

ニェヘマ「無理に行く必要は…」

ニャヘマ「ニェヘマ。」

キールを思い、止めようとするニェヘマをたった一言で、ニャヘマは制止させる。そして、キールと目を合わせて、ただ一言言う。

ニャヘマ「行ってらっしゃい。」

ニェヘマの優しさに、ただ何もせず溺れることを、ニャヘマは許さない。それすらも、キールのことを思っての発言と分かっているから。

キール「…行ってくる。」

だから、キールはそう返事をした。

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