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#Paycheck
ゆゆゆゆ
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一歩、踏み込む。
その瞬間――空気が変わる。
さっきまでの“からかい”じゃない。
チャンスの目が、完全に本気になる。
「……言ったな」
低く落ちる声。
逃げ道はもうない。
エリオットの背中は壁に触れたまま。
それでも、視線は逸らさない。
ほんの少しだけ強がったまま。
チャンスはゆっくり手を伸ばす。
エリオットの手からタオルを取るでもなく――
そのまま、手首を軽く掴む。
逃がさない、でも強すぎない力。
「後悔すんなよ」
ぼそっとした一言。
ドクン、と心臓が跳ねる。
エリオットは一瞬だけ息を飲む。
でも。
次の瞬間、少しだけ笑う。
「……しないし」
その一言で――
完全にスイッチが入る。
ぐいっ
一気に引き寄せられる。
距離がゼロになる。
考える隙もないくらい自然に。
深くはない。
でも――強いキス。
さっきまでよりも、明確な意思を持った触れ方。
エリオットの思考が一瞬止まる。
(……あ)
頭がまた、じん、と痺れる。
でも今回は、完全に真っ白にはならない。
むしろ。
ちゃんと感じてる。
チャンスの手が背中に回る。
逃がさないみたいに、少しだけ引き寄せる。
エリオットの手も、自然とチャンスの服を掴む。
離れる。
ほんの数センチ。
息がかかる距離。
チャンスが少しだけ眉を寄せる。
「……まだ余裕?」
挑発じゃない。
確認。
エリオットは少しだけ息を整えて――
わざと、軽く唇を舐める。
さっき無意識でやってた仕草。
でも今度は、分かってやってる。
「……どう見える?」
一瞬の静寂。
チャンスの理性が、目に見えて削れる。
「……それ」
低く、掠れる声。
「やめろ」
言いながら――
やめさせる気がない。
むしろ。
もう一度、引き寄せる。
さっきより少しだけ強く。
「誘ってるだろ」
エリオットは一瞬だけ目を細める。
心臓はうるさいくらい鳴ってるのに。
それでも、逃げない。
「……そっちが乗ってきてるだけ」
返す。
完全に火に油。
チャンスの表情が変わる。
次の瞬間――
ぐっと距離を詰めて、額が触れる。
「……ほんと、後悔すんなよ」
さっきより低い声。
でもその奥に、少しだけ優しさが混ざる。
エリオットは少しだけ息を吐く。
それから。
小さく、でもはっきり言う。
「……しないって言ったでしょ」
そのまま――
自分から、ほんの少しだけ距離を詰める。
触れるか触れないかのところで止まる。
試すみたいに。
誘うみたいに。
「……続き、する?」
その一言で。
完全に理性が切れた。
チャンスが小さく息を吐く。
「……あー、無理」
次の瞬間――
また引き寄せられる。
今度はさっきよりも、迷いがない。
浴室の湯気の中で。
距離も、温度も、全部が一気に上がっていった。